あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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依頼を受けて倒せばいい

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「というか、一つ気になってたんだが……ティールとラストはそういう関係なのか?」

ティーラスは手の甲を指さしながら尋ねた。

「……えぇ、そうですよ」

自分のことをマスターと呼ぶラスト。
呼び方を考えれば、自然とその考えに至るのは普通。

隠しても意味がないと思い、ティールは素直に肯定した。

「ここに来るまで一人で生活してたんですけど、知人や友人たちからなるべく複数人で行動した方が良いと言われたんで」

「なるほどね。確かにラストみたいな存在は信用出来るメンバーになる……ん? ちょと待て」

ティーラスだけではなく、他四人は一瞬食事の手が止まった。

「なぁ、ティール。今なんて言った」

「知人や友人から複数人で行動した方が良いと言われて」

「その前だ」

「ここに……ヤドラスに来るまで一人で生活してました」

テーブルの空気が固まった。
ティールが普通ではないというのは、レッサーヴァンパイアとの戦いはキラータイガーと戦った話を聞く限りなんとなく分かっていた。

ソロで行動する冒険者が決して珍しいという訳ではない。
ただ、ティールのような子供が一人で冒険者生活を送る……一人で旅をするのは非常に危険なのだ。
その事に関してティールが解っていないとは思えない。

だが……ティールはヤドラスまで一人で生活してきたと断言した。

「……マジでか」

「はい、マジです」

「そ、そうか……まぁ、深くは聞かないでおく」

「そうしてくれると嬉しいです」

聞きたいことは山ほどある。
ただ、今同じテーブルで夕食を食べているとはいえ、ティールとは出会ったばかり。

しかも自分たちを絶体絶命の状況から助けてくれた命の恩人。
失礼な真似は出来ない。

(……奴隷のラストをパーティーメンバーに入れてるってことは、相当珍しいギフトを持ってるんだろうな)

本人に直接尋ねはしないが、心の中で考察はしてしまう。
どんなギフトを持っているのかは分からない。

それでも一人で……ソロで活動できる程の何かを持っているのだけは五人とも直ぐに察した。

「まっ、一人で冒険してたんだったら友人知人は直ぐにでもメンバーを増やした方が良いって助言するだろうな。けどよぉ……あれだ。ラストはかなり強いじゃねぇか」

「そうですね。とても頼りになる仲間です」

主人であるラストに褒められ、表情にこそ出ていないが体から嬉しいオーラが零れていた。

「……懐は大丈夫なのか?」

本日、キラータイガーだけではなくヴァンパイアも倒したので、それなりに懐は温まった。
それはティーラスも分かっていたが、ラストの値段が並ではないのも実際に戦いを観たからこそ解る。

(ティールが結構特殊な武器を渡したとはいえ、素人に毛が生えた程度の奴が強力な武器を持ったとしても、ヴァンパイアは勝てる相手じゃない)

ブラッディ―タイガーの素材から造られた斬馬刀とソードブレイカー。
プロの冒険者でも喉から手が出るほど欲しいと思わせる、高性能な武器。

ただ、その高性能を十分に引き出せる実力者でなければ、再生力に身体能力と魔法を兼ね備えたハイスペックモンスター、ヴァンパイアには敵わない。

「結構吹き飛びましたね。ただ、金を稼ぐことは決して難しくないんで。依頼を受けてモンスターを倒してたらお金はサクッと貯まるんで」

「……はっはっは!!! 確かにその通りだな! モンスターぶっ倒して解体してれば金は自然と貯まるよな」

「そう簡単なことじゃないのだけどね……ねぇ、ティール君。ここ最近だとキラータイガーやヴァンパイア以外にどんな珍しいモンスターを倒したの?」

単純に興味が湧いた。
キラータイガーを少々無茶な技で倒し、レッサーヴァンパイアをあっさり倒したティールが倒した珍しいモンスター。

答えたくないなら、別にそれでも構わない。
そう思っていたが、ティールはブラッディ―タイガー以外のモンスターについて、サラッと話した。

「そうですね……珍しいかどうかは分かりませんが、サイクロプスやツインヘッドベアーと戦いました」

「どっちもCランクのモンスターじゃない。もしかして一人で倒したのかしら?」

「は、はい。まだラストと出会う前だったので」

一瞬芽生えた気持ちは消したが、ミレットやリーシアと違って大人の色気を持つニーナと目が合い、思わず頬を赤くしながらもどもらず答えた。
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