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知ったことではない
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ディリスにラストを奴隷という立場から解放しろと言われてから一週間、それ以降……ティールがディリスやラストに惚れている同じDランクの冒険者たちから絡まれることはなかった。
少し考えれば分かる話だが、ディリスがやろうとしていたことは完全なる強奪だ。
ティールの奪取≪スナッチ≫のように何かを得る為に敵を倒すという条件を乗り越える訳ではなく、払う金がないにも関らずラストを開放しろとアホ丸出し言葉をティールにぶつけた。
この話は本来であれば、ティールとディリス……他には店の従業員や客のみが知っている話。
店に来ていた客が何処かでこんなことを言ってる人がいたと話すことがあるかもしれないが、そこまで二人の会話内容が広がることはなかった……かもしれない。
だが、あまりイギルの様なティールの実力を認めない力だけはあるルーキーに絡まれようとも、心の底からイライラしないのだが……この時ばかりは本気でイライラしていた。
普段ならラストからいったいどんな事を話していたのか尋ねられても「大した話じゃないよ」と誤魔化すか、犯罪まがいの行為を行おうとしてる部分は隠していた。
ただ……ラストを奴隷という立場から解放しろと言いながらも、開放する為の金すら用意していない。
用意しないくせに、正論をぶつけられてもモジモジしながら中々諦めない。
その態度にフラストレーションが溜まりに溜まり、女性でなければ本気で顔面を殴っていた。
ディリスがラストの値段を知らないのは当然だが、奴隷という立場から解放するために白金貨数枚は無理だとしても一枚……いや、金貨数十枚を用意していればティールのイライラも軽減されていた。
ようやくルーキーの域を抜け出して、Dランクの冒険者になったとしてもティールの様な例外ではない限り大金を貯蓄するのは難しい。
そんな状況の中で、金貨数十枚も用意すれば大したものだ……と、感心する。
感心するが、売りはしない。
しかしディリスはティールの想像以上に馬鹿で甘ちゃんであり、終始ティールをイライラさせるだけで会話は終了。
そして冒険者ギルドに戻ってから先輩冒険者たちにその件について、愚痴を漏らしてしまった。
冒険者のそういった話が広まるのは早く……あっという間にディリスは多数の冒険者から白い眼で見られるようになった。
同じ感情を持っていた同期は同情し、距離を取ることはなかったが、先輩や下のルーキーたちからは「こいつアホ過ぎるだろ」と思われている。
現在ディリスがそんな状況に身を置いているのだが、二人に全くもって関係無い。
ティールはランクが上の冒険者と偶々一緒に夕食を食べる時、その話を聞いたが……普段は比較的優しいティールでも「ざまぁみろ、アホ女」と、心の中で呟いた。
同席しているラストに関しても「当然の報いだ」と思い、例え向こうが自分に好意を持っている相手でも、、相変わらずマスターの敵には容赦ない様子。
「ふぅーーー。それなりに強かったな」
「あぁ、腕力だけは大したものだった」
二人はグレーウルフの毛皮を二体分欲しいという依頼を受けたついでに、Cランクのモンスターフォレストコングと森の中でバチバチに戦っていた。
運良く二人と遭遇したフォレストコングの数は二体。
譲り合いになることなく二人はフォレストコングとの肉弾戦を楽しみ、ティールは衝撃を内部に通して心臓を破壊。
ラストは鉄槌で脳を破壊して戦闘終了。
相変わらずランク不相応の実力でCランクまでのモンスター相手であれば、無双状態だった。
「これの買取をお願いします」
「か、畏まりました」
二人がCランクのモンスターを狩ってギルドの買取所で売る光景は、もはや当たり前。
当たり前だが、受付嬢たちからすれば毎度普通ならあり得ない光景を見せられているので、ベテランでなければ若干引いてしまう。
「ティールさん、ラストさん。少しお時間宜しいでしょうか」
買い取りも終わったので夕食を食べに行こうとした二人は、受付嬢に呼び留められてしまった。
(……多分だけど、絶対にハイとしか言えない空気だな)
少し考えれば分かる話だが、ディリスがやろうとしていたことは完全なる強奪だ。
ティールの奪取≪スナッチ≫のように何かを得る為に敵を倒すという条件を乗り越える訳ではなく、払う金がないにも関らずラストを開放しろとアホ丸出し言葉をティールにぶつけた。
この話は本来であれば、ティールとディリス……他には店の従業員や客のみが知っている話。
店に来ていた客が何処かでこんなことを言ってる人がいたと話すことがあるかもしれないが、そこまで二人の会話内容が広がることはなかった……かもしれない。
だが、あまりイギルの様なティールの実力を認めない力だけはあるルーキーに絡まれようとも、心の底からイライラしないのだが……この時ばかりは本気でイライラしていた。
普段ならラストからいったいどんな事を話していたのか尋ねられても「大した話じゃないよ」と誤魔化すか、犯罪まがいの行為を行おうとしてる部分は隠していた。
ただ……ラストを奴隷という立場から解放しろと言いながらも、開放する為の金すら用意していない。
用意しないくせに、正論をぶつけられてもモジモジしながら中々諦めない。
その態度にフラストレーションが溜まりに溜まり、女性でなければ本気で顔面を殴っていた。
ディリスがラストの値段を知らないのは当然だが、奴隷という立場から解放するために白金貨数枚は無理だとしても一枚……いや、金貨数十枚を用意していればティールのイライラも軽減されていた。
ようやくルーキーの域を抜け出して、Dランクの冒険者になったとしてもティールの様な例外ではない限り大金を貯蓄するのは難しい。
そんな状況の中で、金貨数十枚も用意すれば大したものだ……と、感心する。
感心するが、売りはしない。
しかしディリスはティールの想像以上に馬鹿で甘ちゃんであり、終始ティールをイライラさせるだけで会話は終了。
そして冒険者ギルドに戻ってから先輩冒険者たちにその件について、愚痴を漏らしてしまった。
冒険者のそういった話が広まるのは早く……あっという間にディリスは多数の冒険者から白い眼で見られるようになった。
同じ感情を持っていた同期は同情し、距離を取ることはなかったが、先輩や下のルーキーたちからは「こいつアホ過ぎるだろ」と思われている。
現在ディリスがそんな状況に身を置いているのだが、二人に全くもって関係無い。
ティールはランクが上の冒険者と偶々一緒に夕食を食べる時、その話を聞いたが……普段は比較的優しいティールでも「ざまぁみろ、アホ女」と、心の中で呟いた。
同席しているラストに関しても「当然の報いだ」と思い、例え向こうが自分に好意を持っている相手でも、、相変わらずマスターの敵には容赦ない様子。
「ふぅーーー。それなりに強かったな」
「あぁ、腕力だけは大したものだった」
二人はグレーウルフの毛皮を二体分欲しいという依頼を受けたついでに、Cランクのモンスターフォレストコングと森の中でバチバチに戦っていた。
運良く二人と遭遇したフォレストコングの数は二体。
譲り合いになることなく二人はフォレストコングとの肉弾戦を楽しみ、ティールは衝撃を内部に通して心臓を破壊。
ラストは鉄槌で脳を破壊して戦闘終了。
相変わらずランク不相応の実力でCランクまでのモンスター相手であれば、無双状態だった。
「これの買取をお願いします」
「か、畏まりました」
二人がCランクのモンスターを狩ってギルドの買取所で売る光景は、もはや当たり前。
当たり前だが、受付嬢たちからすれば毎度普通ならあり得ない光景を見せられているので、ベテランでなければ若干引いてしまう。
「ティールさん、ラストさん。少しお時間宜しいでしょうか」
買い取りも終わったので夕食を食べに行こうとした二人は、受付嬢に呼び留められてしまった。
(……多分だけど、絶対にハイとしか言えない空気だな)
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