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残り一年半をどう過ごすか
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「……ティール君は、いったい何者なんですか?」
「何者なんですかと言われても……村出身の冒険者、としか答えられませんね」
知性と奪取≪スナッチ≫というギフトを持っていることを除けば、その言葉に間違いはない。
だが、目の前に広がる店に出てくるのと変わりない料理を見れば、ソニアが思わずそう呟いてしまうのも無理はない。
「野営での料理はもっと、こう……質素なものだと思うんだけど、ティール君がいると全くそんなことないね」
「ディックスの言う通りだな! こんなに美味い夕食が食べられるなんて、マジで最高だ!!!」
そう言いながらボルガはクラッシュディアの焼肉に思いっきり食らい付く。
「その、調味料って高いですよね」
「そうですね……ちょっとびっくりする時はあります」
塩や砂糖など、料理に使う調味料は意外と高い。
なので、冒険者たちは野営時に料理を行う時用に調味料を買ったりすることは少ない。
「でも、結構な量を持ってますけど……お金は、大丈夫なんですか?」
「それは大丈夫ですよ。基本的に毎日依頼を受けるか、森の中に入って狩りをしてるんで、自然とお金は溜まります」
「そういえば連続でBランクのモンスターを倒したんだったよな。やっぱり素材を売ると結構入ってくるのか」
ボルガは将来的に冒険者の道か騎士の道に進むか迷っているのだが、冒険者の道に進みたいという思いがやや強い。
「そうですね……やっぱり倒すのは難しいと思いますけど、倒した時の達成感は段違いですし、入って来るお金も凄いのは間違いないかな。な、ラスト」
「あぁ、そうだな。BランクのモンスターはCランクのモンスターと比べて……雰囲気が違うのは当たり前だが、強さが確実に一段階違う。まさに強敵と呼べる強さを持っている」
真剣な表情で話すラストの気迫に圧され、ボルガはごくりとつばを飲み込んだ。
「ただ、やはりそこは自身の力量……仲間の力量次第と言ったところだろう。俺は自分の力にそれなりに自信があったが、リザードマンジェネラルとの戦いではマスターから借りた斬馬刀がなければ勝てなかった」
「斬馬刀って……もしかしてあの、バカデカい剣のことか!!??」
「あぁ、そのバカデカい剣の事だ。マスターが持っている斬馬刀の質は高く、付与効果もデカ物を相手にするには丁度良い」
四人の中で斬馬刀に関しての知識はボルガしか持っておらず、他の三人はポカンとしながら首を傾けていた。
(確かにリザードマンジェネラルはかなり大きいらしいから、大剣や斬馬刀みたいな武器じゃないとパワー負けするよな……ラストが質が高くて、付与効果も良いって言うんだから相当凄い斬馬刀なんだろうな)
若干武器マニアのボルガとしてはその斬馬刀が非常に気になった。
「自分の強さと仲間の強さと、質の高い武器ね……質の高い武器は頑張って買えばなんとかなるでしょうけど、強さをそう簡単に手に入るものじゃないわよね」
「それはそうでしょうね。俺も長い間鍛錬を続けて今の力を手に入れた訳なんで……四人と違う点があれば、レベルや経験値の差は置いといて、訓練だけに時間を費やせる。その点は俺の方が有利だったというか……強さに差が現れる点だと思います」
「……マスターの言葉には一理あるな。詳しくは知らないが、四人の場合は貴族として勉強することが多いのではないか? 今もそうだとは思うが」
「うっ! そ、そうだな……勉強は結構大変だぜ」
四人の中であまり勉強や礼儀作法について得意ではないボルガにとって、勉強というのは悩みの種だった。
「四人がこれから先どういった道に進むのかは分からないけど……もし、今よりも強さを求めるなら先行投資って感覚で学生でいる間だけでも死に物狂いで鍛錬を積み上げる。勿論体を壊さないという点は重要だけど、それが一番良いと思う……かな。無茶できるのはその間だけの様な気がするし」
「死に物狂いで、か……そうだね。我武者羅に無茶できるのは今だけかもしれない」
四人にとって、ティールの言葉は心に深く残った。
現在彼らは二年生であり、卒業までまだ一年半以上あるが……その時間をどう過ごすかは、四人に次第。
ティールはただの雇われ冒険者なので、学園生活の過ごし方を強制することは出来ない。
「何者なんですかと言われても……村出身の冒険者、としか答えられませんね」
知性と奪取≪スナッチ≫というギフトを持っていることを除けば、その言葉に間違いはない。
だが、目の前に広がる店に出てくるのと変わりない料理を見れば、ソニアが思わずそう呟いてしまうのも無理はない。
「野営での料理はもっと、こう……質素なものだと思うんだけど、ティール君がいると全くそんなことないね」
「ディックスの言う通りだな! こんなに美味い夕食が食べられるなんて、マジで最高だ!!!」
そう言いながらボルガはクラッシュディアの焼肉に思いっきり食らい付く。
「その、調味料って高いですよね」
「そうですね……ちょっとびっくりする時はあります」
塩や砂糖など、料理に使う調味料は意外と高い。
なので、冒険者たちは野営時に料理を行う時用に調味料を買ったりすることは少ない。
「でも、結構な量を持ってますけど……お金は、大丈夫なんですか?」
「それは大丈夫ですよ。基本的に毎日依頼を受けるか、森の中に入って狩りをしてるんで、自然とお金は溜まります」
「そういえば連続でBランクのモンスターを倒したんだったよな。やっぱり素材を売ると結構入ってくるのか」
ボルガは将来的に冒険者の道か騎士の道に進むか迷っているのだが、冒険者の道に進みたいという思いがやや強い。
「そうですね……やっぱり倒すのは難しいと思いますけど、倒した時の達成感は段違いですし、入って来るお金も凄いのは間違いないかな。な、ラスト」
「あぁ、そうだな。BランクのモンスターはCランクのモンスターと比べて……雰囲気が違うのは当たり前だが、強さが確実に一段階違う。まさに強敵と呼べる強さを持っている」
真剣な表情で話すラストの気迫に圧され、ボルガはごくりとつばを飲み込んだ。
「ただ、やはりそこは自身の力量……仲間の力量次第と言ったところだろう。俺は自分の力にそれなりに自信があったが、リザードマンジェネラルとの戦いではマスターから借りた斬馬刀がなければ勝てなかった」
「斬馬刀って……もしかしてあの、バカデカい剣のことか!!??」
「あぁ、そのバカデカい剣の事だ。マスターが持っている斬馬刀の質は高く、付与効果もデカ物を相手にするには丁度良い」
四人の中で斬馬刀に関しての知識はボルガしか持っておらず、他の三人はポカンとしながら首を傾けていた。
(確かにリザードマンジェネラルはかなり大きいらしいから、大剣や斬馬刀みたいな武器じゃないとパワー負けするよな……ラストが質が高くて、付与効果も良いって言うんだから相当凄い斬馬刀なんだろうな)
若干武器マニアのボルガとしてはその斬馬刀が非常に気になった。
「自分の強さと仲間の強さと、質の高い武器ね……質の高い武器は頑張って買えばなんとかなるでしょうけど、強さをそう簡単に手に入るものじゃないわよね」
「それはそうでしょうね。俺も長い間鍛錬を続けて今の力を手に入れた訳なんで……四人と違う点があれば、レベルや経験値の差は置いといて、訓練だけに時間を費やせる。その点は俺の方が有利だったというか……強さに差が現れる点だと思います」
「……マスターの言葉には一理あるな。詳しくは知らないが、四人の場合は貴族として勉強することが多いのではないか? 今もそうだとは思うが」
「うっ! そ、そうだな……勉強は結構大変だぜ」
四人の中であまり勉強や礼儀作法について得意ではないボルガにとって、勉強というのは悩みの種だった。
「四人がこれから先どういった道に進むのかは分からないけど……もし、今よりも強さを求めるなら先行投資って感覚で学生でいる間だけでも死に物狂いで鍛錬を積み上げる。勿論体を壊さないという点は重要だけど、それが一番良いと思う……かな。無茶できるのはその間だけの様な気がするし」
「死に物狂いで、か……そうだね。我武者羅に無茶できるのは今だけかもしれない」
四人にとって、ティールの言葉は心に深く残った。
現在彼らは二年生であり、卒業までまだ一年半以上あるが……その時間をどう過ごすかは、四人に次第。
ティールはただの雇われ冒険者なので、学園生活の過ごし方を強制することは出来ない。
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