あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

部隊の編制？

ティールたちは先日倒したグリフォンなどの解体を全て終わらせてから、山岳地帯から街へ戻る。
解体にはかなりの時間がかかったが、二人の脚の速さなら、日が暮れる前に街へ到着するのは難しくない。

「おっと」

とはいえ、道中……どうしてもモンスター遭遇することは避けられない。

しかし、今回に関しては全スルー。
さっさと街に戻りたいという思いが強いので、全て無視した。

そして無事に日が暮れるギリギリにバラックへと到着。
その際に、門兵を担当している兵士二人がティールとラストの存在を確認し、驚きの表情を浮かべる。

（どうしたんだ？）

ティールは何故門兵二人がこんなにも驚いているのか、直ぐには解らなかった。
ただ、理解する前に門兵二人に直ぐ冒険者ギルドに向かって欲しいと頼まれた。

二人は言われた通り、街に入ると直ぐに冒険者ギルドへと直行。
ギルドの中へ入ると……ギルド内にいた人物の視線、全てがティールとラストに向けられた。

冒険者やギルド職員、男女関係無く……全ての視線が二人に向いていた。
この事実に何事か？　と思ったティールだが、ここでようやく……自分が先日、何を行ったのか思い出した。

そしてラストは……やってしまったと思った。

（そうか……グリフォンを倒した時、一度街に戻るべきだったな）

二人はクララ・インタールという令嬢と、その護衛がグリフォンと、グリフォンに従っている鳥系モンスターに襲われたところを助けた。

当然、クララたちはバラックに戻れば、直ぐにその状況をギルドに報告する。
そうなれば……二人と親しい者たちが、助けに行こうと部隊を編成し、クララたちに教えられた場所に向かう。

「ティールさん、ラストさん！　ご無事だったんですね！！」

「あ、はい。無事でした」

二人の依頼受理を担当したことがある受付嬢が速攻で駆け寄り、二人が本当に無事なのを確認。

今回は二人でBランクモンスターに挑んだので、腕が斬りとばされることもなかった。

「あ、あの！！　その、グリフォンを倒したん、ですよね！！」

「はい、なんとか倒せました」

「「「「「「「ッ！？」」」」」」」

ティールは以前戦ったスカーレットリザードマンや、ブラッディ―タイガーとの戦闘を隠してはおらず、それらの戦績をギルドも把握している。

なので、二人に声を掛けた受付嬢も二人ならもしかしたら……という気持ちはあった。

「さ、流石です！！　それで、その……ギルドマスターから少しお話があるのですが、今お時間宜しいでしょうか」

二人がお疲れであれば、また後日でも構わない。

だが、解体解体解体でそれなりに疲れはしたものの、わざわざお話を後日にするほど疲れは溜まっていない。

「大丈夫ですよ」

ティールとラストは他の職員や冒険者に注目される中、受付嬢にギルドマスターが働いている部屋へと案内された。

部屋の中には一人の女性が黙々と書類作業を行っていた。

「良く無事だったなティール君、ラスト君。とりあえず座ってくれ」

女性の美しいギルドマスターは二人に座るよう促し、二人に事情を聞き始めた。

当時の戦況や、何故討伐した後に直ぐバラックへ戻らなかったのか等々。

（ふむ……本物だ）

二人の報告やグリフォン倒したという言葉を信じない訳ではないが、ギルドマスターは一応ティールにグリフォンの魔石を見せてほしいと進言。

ティールは迷うことなくグリフォンの魔石を見せ、ギルドマスターは鑑定の効果が付与されたメガネで調べ……渡された魔石が、グリフォンの物であろうと確認できた。

（二人の今までの実績を考えれば、妥当な結果かもしれないが……やはり末恐ろしいと感じてしまうな）

ギルドマスターはティールにグリフォンの魔石をギルドに売ってくれないかと伝えたが、あっさりと断られた。