あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
458 / 864

あなたの腕は本物だ

しおりを挟む
「よぅ、兄さん。調子はどうだ?」

「順調と言えば順調かな。今は休憩中だ」

子供たちへの指導を終えた昼過ぎ、ティールとラストは暇つぶしに工房へ訪れた。

「それにしても……ティール、冒険者ってのはそんなに儲かるのか?」

ティールが必要な素材や、自分たちの為に購入してくれた鉱石などのお陰で、自身の腕を上げるのに困ることはない。

ただ、モンスターの素材はともかく、鉱石などは自身の手で採集する方法もあるが、本人から大半は買ったと聞いている。

「俺の場合、ギルドまで持って帰れる量が多いから、他の冒険者よりも儲けてるだよ」

「実力もあるから、金になるモンスターもそこまで苦労せず倒せるって訳か」

「自慢になってしまうけど、そういうことになるね……それで、そこら辺に置いてあるのが、自警団の装備なんだよね」

「おぅ、親方が造った渾身の作品たちだ」

冒険者として多くの武器、防具を見てきたティールとラスト。

箱の中に入っている品々が決して並みの職人では造れないクオリティだと、一目で見抜く。

「やっぱり、親方に素材を渡して正解だったね」

「うむ……良い品だな」

「親方はティールがこれだけ大量の素材や鉱石を用意してくれたからこそ、ここ最近腕が一つ上がった気がするって言ってたよ」

「それは良かった……うん、良かった」

良いことに変わりはない。
ただ、鍛冶の腕が……もっと細かく言えば、鍛冶スキルがレベルアップすれば、同じ素材を使ったとしても、少なからずクオリティが上昇する。

そうなってくると、まだ造られていないジンの新しいロングソードは、いったいどれほどの品質になるのか。

(……まっ、村長も村人たちも村での生活に文句があるって訳ではなさそうだし、別に反乱なんて起こさないよな)

さすがにそれは勘弁してほしいと願うティール。

「おぅ、お前ら来てたのか」

「お疲れ様です、親方」

「むっ……すまんな、甘えさせてもらうぜ」

ティールが亜空間から取り出した冷えた果実水を一気に飲み干し、火照った体を落ち着かせる。

「ふぅーーーー。酒が呑めたら最高だったんだが、贅沢は言ってられねぇな」

「全部の仕事が終わったら、ジンさんやリースさんたちと一緒に吞みますか?」

「……それも悪かねぇな。ところでティール……本当に、アサルトレパードの素材とか使っちまっても良いのか?」

弟子であるセントに鍛冶の腕が確実に一段上がったと伝えたのは、決して嘘や誇張ではなく、親方の腕は間違いなく
一段上の領域へ足を踏み入れた。

一流の鍛冶師が触れてこそのBランク以上の素材、ミスリル鉱石などを扱えるなんて正直なところ、狂喜乱舞もの。
ただ、まだ一度も触れたことがない品質の物であるため、いざ制作に移るとなると……本当に自分で良いのかという思いがこみ上げてくる。

「はい、全然大丈夫です!!!!」

そんな親方の内心を知らないティールは……超良い笑顔で大丈夫だと答えた。

(……人は人。大人であろうと子供であろうと、変わらない部分はある、か)

しかし、ラストは親方の心境を僅かに感じ取っていた。

「今、そこにはあなたが積み上げてきた結晶が形になった物がある。あまり偉そうに語れるほど多くの武器を見てきた訳ではないが、あなたは一流の鍛冶師に劣っていない……それが俺の感想だ」

自分の半分程しか生きていない若造に心の内を見透かされた。

その事実に……特に怒りは感じなかった。

(若い者にここまで励まされるとは……いや、俺が弱音を吐いたからだ。ったく、弟子の前で情けない背中を見せちまったな)

もう、その顔に迷いは一寸たりとも残っていなかった。

「ありがとよ、ラスト。仕事が終わったらお前も一緒に呑もうぜ」

「……あぁ、分かった」

雑念を完璧に振り払った親方は本日最後の一振りに全集中。
見事素材の価値、質を無駄にすることなく、ランク五のロングソードを完成させた。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

処理中です...