あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
463 / 833

素質を感じたからこそ

しおりを挟む
(ふ~~~ん、割と連携度は高いな。絶え間なく仕掛けて、ゴブリンとウルフ系モンスターのコンビネーションが炸裂。発見されたのはつい最近らしいけど、もしかしたら随分前から組んでたのか?)

どれぐらい連携度が高いといった内容を肌で感じて理解しても、いったい彼らがいつから組んでいたのかまでは解らない。
鑑定を使ったとしても、そういった事情は調べられない。

(……あんまり興味深いモンスターはいないし、雑に戦っても良いかな)

「ッ!? ギャギャっ!!!???」

「ワゥっ!!??」

武器を振り下ろしてくるゴブリンの腕を掴み、そのまま力一杯ぶん投げる。
それを何度も何度も繰り返し、雑に仕留めていく。

効率など関係無く、ただ力任せに投げているだけだが、ティールの腕力があれば投げたモンスターと激突したモンスター、両方が内臓を深く損傷、もしくは破裂してもおかしくない。

(あっ、逃げ始めた。全部仕留めなくても……別にいっか)

既にウルフ系のモンスターも含めて、数十体の死体が転がっている。
ゴブリンとウルフ系のモンスターの群れを潰したと伝えるには、十分過ぎる量である。

「ふぅ、こんなところか。ん~~~……多分、手を貸さなくても大丈夫そうだな」

ラストの戦闘光景を見て、手助けは必要ないと判断。
証拠集めの為に、転がっている死体から魔石の回収を始めた。

現在ラストは群れのボスであったゴブリンジェネラルと、ジェネラルに従うヴァルガングと激しくも心が躍る戦闘を行っていた。

(コンビネーションの練度が高い……と言うよりは、ヴァルガングがゴブリンジェネラルの動きを先読みし、カバーするのが上手いと言ったところか)

ヴァルガングがカバーが予想以上に上手い。
だからといって、ゴブリンジェネラルの手斧の扱いが下手という訳ではない。

ゴブリンジェネラルもどこまでヴァルガングがカバー出来るかを把握した上で前に出てラストを切断しようとする。

(あの風を纏う斧は、おそらく冒険者を殺して奪った物だろう。だが、ゴブリンジェネラルの腕力が合わさったとしても……やはり脅威なのはヴァルガングの咬みつき、爪撃と爪から放たれる斬撃刃だな)

ゴブリンジェネラルのランクはC。
Cランクの中でも基本的には統率に優れた個体だが、ヴァルガングが従うジェネラルは同じCランクモンスターのオーガよりも上。

これまでの戦闘経験から、ラストは多くのゴブリンとウルフ系モンスターを従える強さを感じ取っていた。

(どうやら、一般的なゴブリンジェネラルとは身体能力が異なるようだが……ヴァルガングはそこに惚れ込んで従っているのか?)

全然違う……とは言えない。

まだゴブリンジェネラルがただのゴブリンだった頃から、通常種と比べて並外れた力を有していた。
それを示す戦いぶりを偶々見たヴァルガングは……ゴブリンの中から、王の素質を感じ取った。

このゴブリンは……いずれキングとなる。
それは予想ではなく確信と言えた。
その場でゴブリンの下に就き、いずれ王となるゴブリンと共に行動することを決めた。
当然ながら最初こそ警戒されたが、まだそれなりにバカだったこともあり、自分はそれだけ凄い存在なのだと思い、それ以上疑問を持つことはなかった。

順調に成長したゴブリンは数回の成長を得て、ジェネラルへと進化。
このまま行けば……ゴブリンキングへと進化出来た可能性は十分にあり得た。
ただ……本当にタイミングが悪かった。

通常種とジェネラル以下の上位種、多くのブラウンウルフだけとはいえ……中にはCランクモンスターであるブラックウルフも混ざっていたにもかかわらず、たった数分でほぼ全滅。
オーガジェネラルの咆哮によるバフがかかっていたにも関わらず、掠り傷すら付けられていない自分たち以上の化け物。

加えて、現在自身がジェネラルと一緒に戦っている竜人は……常に笑みを絶やさない。
それらの強さ、要素から……既にヴァルガングは自分たちが詰んでいるのを理解していた。
しおりを挟む
感想 123

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。 そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。 二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。 やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。 そんな彼女にとっての母の最期は。 「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。 番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます

初昔 茶ノ介
ファンタジー
 代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。  常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。  しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。  そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。  そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。  そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。  これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。   ーーーーーーーー  のんびりと書いていきます。  よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。

処理中です...