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欲があるからこそ頑張る
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(……こっちが見られてるのが解ってないと思ってるのかな)
十一階層に転移して探索を始めてから数日後……ティールたちは十五階層のセーフティーポイントで休息を取っていた。
丁度良い夕食の時間ということもあり、ティールは亜空間の中から食材を取り出し、料理を始めていた。
(誰にどういった視線を向けるかなんて自由なのは解ってるけど、あんまり見られ過ぎるのはやっぱり嫌だな~)
竜人族の良い強面顔の青年と、黒髪美人の女戦士? そこにまだ少年寄りの冒険者が共に居る。
その組み合わせに関して色々と考える者が多い……しかし、今はティールの調理光景に視線が集まっていた。
「やはり、どこにいてもマスターは人気者だな」
「人気者、か。料理ぐらい、少しは頑張れば良い話だと思うんだけど」
「冒険にはあまり関係無いと思う者が多いのだろう。まぁ、料理に関してはマスターに甘えてしまっている俺はあまりとやかく言えないが」
ティールは冒険で得た金を、それなりに調味料などの購入に使用している。
この世界では塩や胡椒などはそれなりに貴重品。
とはいえ、ある程度生活に余裕が生まれた冒険者たちで、購入できない額ではない。
「他の欲を抑えれば調味料などを購入出来るのだろう。しかし、他の欲の為に我々は頑張っている……だからこそ、料理などに周る金はないのだろう」
「多分、アキラさんの言う通りかと。俺は他の人よりも食への欲が、強いかもしれません」
あれこれ話している間に調理が終わり、ディナータイム。
ダンジョン内で充実したディナーを食べる三人に、更に視線が集まるものの……三人のリーダーが少年であると解っているため、彼らは中々行動に移せないでいた。
少年と言える外見の者に頭を下げられないといったプライドや、この中に先日、ギルド内で起こった光景を知っているものもおり……迂闊に行動に移せないでいた。
(そんなに涎垂らしそうな顔をするなら、少し我慢してそっちにお金を使えば良いのに)
それはそれで難しいのかもしれないと解らなくもないティールだが、やはり食事中にあまりジロジロと視線を向けられるのは不快であった。
「ところで、ニ十階層のボスはどうする?」
どうする、という質問は誰が戦うかという内容。
「私は十階層でメタルスケルトンソルジャーと戦わせてもらった。故に、今回は遠慮しよう」
「そうですか。確か、ニ十階層のボスはクロウスパイダーと三体のバンデットゴブリンでしたね」
「……どうする、マスター」
「…………ふふ、それじゃあ、今回は俺が戦るよ」
ラストの表情から、何かを察したティールは自分が戦うと宣言した。
(ふっふっふ、メタルスケルトンソルジャーみたいな奴が相手ならともかく、クロウスパイダーだもんな。蜘蛛系のモンスターの中でも近距離攻撃が強い部類ではあるけど、ラストの好みではないだろう)
主人であるティールから戦えと言われれば、ラストは迷うことなくクロウスパイダーと三体のバンデットゴブリンたちと戦う。
しかし、十階層でアキラがメタルスケルトンソルジャーと戦った時の様に、わざと時間を掛け……じっくりとその強さを味わうことなく、速攻で倒してしまう。
(あ、あのガキ……今、俺が倒すって言ったのか?)
ティールの言葉をしっかり聞き取っていた同業者たちは、一瞬自分の耳が腐ったのかと疑う。
「そうか。では、その次は俺が戦う」
「ティール、一応複数体だが、問題無いか?」
「問題無いですよ。バンデットゴブリンたちはDランクですからね」
やはり自分たちの耳は腐っていなかったと確信する冒険者達。
ティールは間違いなく、ニ十階層のボスを相手に自分一人で戦うと宣言し、仲間達もそれを容認している。
(バカなのか? それとも、あのガキはCランクのモンスターが相手でも一人で倒せるぐらい強いのか??)
この場にティールの違和感に気付く者はおらず、大半の者たちは三人の会話……ティールの事をバカにしていたが、その思いは心の中にしまっていた。
何故なら……時折ラストやアキラたちが鋭い視線、闘気を飛ばして牽制しており、どう考えても自分たちが叩き潰される未来しかイメージ出来ないから。
十一階層に転移して探索を始めてから数日後……ティールたちは十五階層のセーフティーポイントで休息を取っていた。
丁度良い夕食の時間ということもあり、ティールは亜空間の中から食材を取り出し、料理を始めていた。
(誰にどういった視線を向けるかなんて自由なのは解ってるけど、あんまり見られ過ぎるのはやっぱり嫌だな~)
竜人族の良い強面顔の青年と、黒髪美人の女戦士? そこにまだ少年寄りの冒険者が共に居る。
その組み合わせに関して色々と考える者が多い……しかし、今はティールの調理光景に視線が集まっていた。
「やはり、どこにいてもマスターは人気者だな」
「人気者、か。料理ぐらい、少しは頑張れば良い話だと思うんだけど」
「冒険にはあまり関係無いと思う者が多いのだろう。まぁ、料理に関してはマスターに甘えてしまっている俺はあまりとやかく言えないが」
ティールは冒険で得た金を、それなりに調味料などの購入に使用している。
この世界では塩や胡椒などはそれなりに貴重品。
とはいえ、ある程度生活に余裕が生まれた冒険者たちで、購入できない額ではない。
「他の欲を抑えれば調味料などを購入出来るのだろう。しかし、他の欲の為に我々は頑張っている……だからこそ、料理などに周る金はないのだろう」
「多分、アキラさんの言う通りかと。俺は他の人よりも食への欲が、強いかもしれません」
あれこれ話している間に調理が終わり、ディナータイム。
ダンジョン内で充実したディナーを食べる三人に、更に視線が集まるものの……三人のリーダーが少年であると解っているため、彼らは中々行動に移せないでいた。
少年と言える外見の者に頭を下げられないといったプライドや、この中に先日、ギルド内で起こった光景を知っているものもおり……迂闊に行動に移せないでいた。
(そんなに涎垂らしそうな顔をするなら、少し我慢してそっちにお金を使えば良いのに)
それはそれで難しいのかもしれないと解らなくもないティールだが、やはり食事中にあまりジロジロと視線を向けられるのは不快であった。
「ところで、ニ十階層のボスはどうする?」
どうする、という質問は誰が戦うかという内容。
「私は十階層でメタルスケルトンソルジャーと戦わせてもらった。故に、今回は遠慮しよう」
「そうですか。確か、ニ十階層のボスはクロウスパイダーと三体のバンデットゴブリンでしたね」
「……どうする、マスター」
「…………ふふ、それじゃあ、今回は俺が戦るよ」
ラストの表情から、何かを察したティールは自分が戦うと宣言した。
(ふっふっふ、メタルスケルトンソルジャーみたいな奴が相手ならともかく、クロウスパイダーだもんな。蜘蛛系のモンスターの中でも近距離攻撃が強い部類ではあるけど、ラストの好みではないだろう)
主人であるティールから戦えと言われれば、ラストは迷うことなくクロウスパイダーと三体のバンデットゴブリンたちと戦う。
しかし、十階層でアキラがメタルスケルトンソルジャーと戦った時の様に、わざと時間を掛け……じっくりとその強さを味わうことなく、速攻で倒してしまう。
(あ、あのガキ……今、俺が倒すって言ったのか?)
ティールの言葉をしっかり聞き取っていた同業者たちは、一瞬自分の耳が腐ったのかと疑う。
「そうか。では、その次は俺が戦う」
「ティール、一応複数体だが、問題無いか?」
「問題無いですよ。バンデットゴブリンたちはDランクですからね」
やはり自分たちの耳は腐っていなかったと確信する冒険者達。
ティールは間違いなく、ニ十階層のボスを相手に自分一人で戦うと宣言し、仲間達もそれを容認している。
(バカなのか? それとも、あのガキはCランクのモンスターが相手でも一人で倒せるぐらい強いのか??)
この場にティールの違和感に気付く者はおらず、大半の者たちは三人の会話……ティールの事をバカにしていたが、その思いは心の中にしまっていた。
何故なら……時折ラストやアキラたちが鋭い視線、闘気を飛ばして牽制しており、どう考えても自分たちが叩き潰される未来しかイメージ出来ないから。
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