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思わず黙る
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「本当にありがとうございました」
「「「ありがとうございました!!!」」」
二十一階層まで戻って来たティールたち。
深緑のファミリアの四人はティールたちに深々と頭を下げ、感謝の気持ちを伝えた。
「地上に戻ったら、是非一杯奢らせてください」
「分かりました。楽しみにしてますね」
リーダー同士握手を交わし、解散。
ティールたち三人はそのまま彼らと共に地上へ戻ることはなく、また二十五階層までゆったりと探索を始めた。
「このまま私たちと一緒に戻るのかと思ってたけど、ここからまた二十五階層まで雷鳥を探しながら降りてくなんて……なんか、ちょっと色々と凄過ぎるね」
「そうだね。強いのは解ってたけど、体力や行動力まで僕らとは別次元と言うか」
「それはちょっと言い過ぎじゃない? とりあえず私たちと比べて凄過ぎるってのは確かだけど」
二十一階層に戻るまでの間、殆どの戦闘をティールたちが担当していた。
四人は自分たちも戦うと伝えたのだが、ティールから「中々遭遇出来なくて、ちょっとストレス溜まってるからさ」と、見た目に似合わない重厚なオーラを出しながら言われてしまった為、殆どお任せしてしまった。
その間、ティールは四人を休ませる為……ではなく、本当に少々ストレスが溜まっており、遭遇するモンスターを全て素手で叩きのめしていた。
「……ヒツギ君が僕たちよりも強いのは確かなんだけど、初めてティールさんたちに会って、その強さを見て……色々とティールさんの方が上に思えたね」
「それ、俺も思った。いや、あの人の強さは見た目だけじゃ超解らないから…………ぶっちゃけ最初は見下してしまうのは解るんだけど、今思うと……あいつ、よくあんな色々と凄い人に失礼な態度取ったよな」
四人は地上に戻り、冒険者ギルドに到着するまで、ずっとティールたちの話で盛り上がり続け……同じクランに所属している同年代の冒険者、後輩たちと出会う度にあのティールがどれ程凄いのかを伝え続けた。
決して、四人がティールの狂信的なファンになったという訳ではない。
物理的な強さ、まだとても十五歳にもなっていないとは思えない精神力。
なにより……四人は自分たちを追い込んだモンスター、ダーディーディアスを腕力で無理矢理仕留めた光景が印象強く残っている。
その恐ろしさもあって、同じクランに属している……仲間と言える面々が、ティールに潰されてほしくないという思いで、どれだけ凄い存在なのかを伝えに伝えた。
「誰かの英雄、か……」
「ど、どうしました、アキラさん」
「いや、ふとティールが先日、彼らに伝えた話を思い出してな。こう…………心の染みる言葉だと感じてな」
見た目に反して、非常に大人びた考え方……というのは、出会ってから何度も思った内容であり、口には出さなかった。
「ティールも、そう思った時があったのか?」
「ん~~~~…………特に、英雄になりたいと思ったことは……あっ、でも……その……似た様な事は、考えたことがあるかもしれません、ね」
元々モテの為に強くなろうと、努力を重ね始めたティール。
自分が英雄の様な存在であれば、初恋の人の好意を自分に向けられていたのではないか。
そんな事を考えたことはあった。
「ほ~~ぅ。マスターもそういった事を考えた時があったのだな」
「もう何年も前の話だよ。別に今は……英雄とか、そういうのは特に考えてない。今はラストと、アキラさんと楽しく冒険出来れば、それで良いからな」
「「…………」」
ラストは改めて素晴らしい主人に出会えたと思い、その感動で……思わず黙ってしまった。
そしてアキラは……冒険者として活動してる間に、こんな人格者に出会えたことに、こんな素晴らしい同業者に一緒に楽しく冒険出来たら良いと思われることに感動し……思わず黙ってしまった。
「「「ありがとうございました!!!」」」
二十一階層まで戻って来たティールたち。
深緑のファミリアの四人はティールたちに深々と頭を下げ、感謝の気持ちを伝えた。
「地上に戻ったら、是非一杯奢らせてください」
「分かりました。楽しみにしてますね」
リーダー同士握手を交わし、解散。
ティールたち三人はそのまま彼らと共に地上へ戻ることはなく、また二十五階層までゆったりと探索を始めた。
「このまま私たちと一緒に戻るのかと思ってたけど、ここからまた二十五階層まで雷鳥を探しながら降りてくなんて……なんか、ちょっと色々と凄過ぎるね」
「そうだね。強いのは解ってたけど、体力や行動力まで僕らとは別次元と言うか」
「それはちょっと言い過ぎじゃない? とりあえず私たちと比べて凄過ぎるってのは確かだけど」
二十一階層に戻るまでの間、殆どの戦闘をティールたちが担当していた。
四人は自分たちも戦うと伝えたのだが、ティールから「中々遭遇出来なくて、ちょっとストレス溜まってるからさ」と、見た目に似合わない重厚なオーラを出しながら言われてしまった為、殆どお任せしてしまった。
その間、ティールは四人を休ませる為……ではなく、本当に少々ストレスが溜まっており、遭遇するモンスターを全て素手で叩きのめしていた。
「……ヒツギ君が僕たちよりも強いのは確かなんだけど、初めてティールさんたちに会って、その強さを見て……色々とティールさんの方が上に思えたね」
「それ、俺も思った。いや、あの人の強さは見た目だけじゃ超解らないから…………ぶっちゃけ最初は見下してしまうのは解るんだけど、今思うと……あいつ、よくあんな色々と凄い人に失礼な態度取ったよな」
四人は地上に戻り、冒険者ギルドに到着するまで、ずっとティールたちの話で盛り上がり続け……同じクランに所属している同年代の冒険者、後輩たちと出会う度にあのティールがどれ程凄いのかを伝え続けた。
決して、四人がティールの狂信的なファンになったという訳ではない。
物理的な強さ、まだとても十五歳にもなっていないとは思えない精神力。
なにより……四人は自分たちを追い込んだモンスター、ダーディーディアスを腕力で無理矢理仕留めた光景が印象強く残っている。
その恐ろしさもあって、同じクランに属している……仲間と言える面々が、ティールに潰されてほしくないという思いで、どれだけ凄い存在なのかを伝えに伝えた。
「誰かの英雄、か……」
「ど、どうしました、アキラさん」
「いや、ふとティールが先日、彼らに伝えた話を思い出してな。こう…………心の染みる言葉だと感じてな」
見た目に反して、非常に大人びた考え方……というのは、出会ってから何度も思った内容であり、口には出さなかった。
「ティールも、そう思った時があったのか?」
「ん~~~~…………特に、英雄になりたいと思ったことは……あっ、でも……その……似た様な事は、考えたことがあるかもしれません、ね」
元々モテの為に強くなろうと、努力を重ね始めたティール。
自分が英雄の様な存在であれば、初恋の人の好意を自分に向けられていたのではないか。
そんな事を考えたことはあった。
「ほ~~ぅ。マスターもそういった事を考えた時があったのだな」
「もう何年も前の話だよ。別に今は……英雄とか、そういうのは特に考えてない。今はラストと、アキラさんと楽しく冒険出来れば、それで良いからな」
「「…………」」
ラストは改めて素晴らしい主人に出会えたと思い、その感動で……思わず黙ってしまった。
そしてアキラは……冒険者として活動してる間に、こんな人格者に出会えたことに、こんな素晴らしい同業者に一緒に楽しく冒険出来たら良いと思われることに感動し……思わず黙ってしまった。
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