あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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珍しいハーフ

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「すまない、待たせたな」

「やぁ、サルバ。久しぶりだね」

客間に入って来た人物は、ジェンの友人であり、ノルガの師でも鍛冶師、サルバである。

(ハーフ、ドワーフ?)

初めてサルバという鍛冶師を見て、まず最初に思ったのはそれだった。

褐色の肌に、全体的に厚い肉体。
ゴリマッチョと評するほどではないが、そこら辺の細マッチョよりは太い体付きをしている。

(でも……? なんか、魔力量が……異様に多い?)

身長は優に百八十を越えており、そこもティールがサルバをハーフドワーフではないかと思った要素だが……サルバが体内に有する魔力量にも違和感を感じた。

「今日は新しいお客さんを連れて来たよ」

「新しい客、か………………侯爵家か、それとも公爵家の子供か?」

「へっ?」

「貴族の中には、あまり貴族らしい雰囲気を持たない者もいる。そういった類の者じゃないのか?」

サルバはまだ、ティールをあのティールだと知らない。

ただ、これまで視てきた冒険者や騎士たちと比べて、まず見た目通りの子供ではないと……見た目通りの子供だと判断すれば、痛い目に合う類の者だと判断した。

「ふっふっふ、流石サルバだね。確かに、この子は物凄く強い。でもね、貴族の子供ではないんだよ」

「そうだったか」

「実はね、僕の弟子の一人に勝ったんだよ」

「ほぅ…………という事は、あれか。その子が少し前に耳にした、ティールという冒険者か」

「は、初めまして。Bランクの冒険者のティールです、よろしくお願いします」

「あぁ、こちらこそよろしく……さて、ジェンが俺に対して新しいか客と言っていたな」

ソファーに腰を下ろし、サルバは鍛冶師の眼をしてティールに尋ねる。

「店に来るのではなく、わざわざ工房に来るということは、オーダーメイドだな」

「はい。えっと、刀を……太刀を造って欲しくて。素材は、これらを用意してます」

そう言うと、ティールは亜空間からディレッドビートルの角や甲殻、マウンテンベアの骨などを取り出した。

「ほぅ………………素材の状態は悪くないな」

作業用の手袋を付け、一つ一つじっくりと確認していくサルバ。

「……因みに、太刀はティールが扱うのか?」

「いえ、俺ではなく俺の仲間が使います」

「えっ!!」

ティールではなく、ティールの仲間のオーダーメイドと聞き、ノルガから素っ頓狂な声が零れるも、師であるサルバはそれを無視して話を続ける。

「そうか……だが、その仲間がいない様だが?」

「えっと、流れ的にここへ来ることになってしまって」

「元々僕とティール君で散歩してたんだけど、その時に一つ情報提供をしてもらったから、その対価としてティール君に信頼出来る鍛冶師、サルバを紹介することになったんだ」

「そうか」

ジェンから信頼出来る鍛冶師、と呼ばれてもサルバの表情に一切の変化はなく、淡々とテーブルの上に置かれた素材を眺め、確認を続ける。

「…………素材の質は、申し分ない。聞く必要はないと思うが、代金はあるか?」

「はい、勿論です」

ティールはささっと白金貨数枚を取り出した。

その光景にノルガは目を輝かせるも、サルバの表情は特に変わらない。

「よし。それじゃあ、今度のそのパーティーメンバーを連れて来てくれ」

「分かりました」

オーダーメイドに関する話し合いはそこで終わり、ティールとジェンは二人と別れ、再びぶらっと街中を歩き始めた。

「……あの、サルバさんって、ハーフドワーフ……なんですか?」

「ふふ、やっぱり気付くよね」

「はい。でも、ハーフドワーフにしては、魔力量が多いなとも思って」

「あぁ~~~、やっぱりそこにも気付くよね。まぁ、サルバは珍しいハーフだからね」

「珍しいハーフ、ですか………………えっ、珍しいハーフって、そういう事、なんですか?」

「そういう事だね」

ジャンから事実を教えてもらい、ティールはほんの少しだけ固まってしまった。
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