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動くだけ無駄
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無事、ミノタウロスを討伐したアキラたちは、そのまま四十階層に直行……することはなく、もう三日ほど手頃な敵を探し続けて強敵たちと戦いに戦った。
「査定をお願いします」
「か、かしこまりました」
ティールたちがダンジョンに潜るたび、倉庫で査定を行う程の素材を持ってくるというのは、もはや受付嬢たちの中では当たり前の話。
知らない者はいないものの……初めてその量の多さを確認した者は、どうしても驚きを隠せない。
「……その、ティールさん」
「はい、なんでしょうか?」
「えっと……そろそろ、ジェットガルーダに挑まれるのでしょうか」
簡単に尋ねられる内容ではなく、簡単に宣言できる内容でもない。
ただ、現在受付嬢たちの目の前にある素材の中には、当たり前の様にBランクモンスターの素材も混ざっている。
以前三人は四十階層のもう一組のボス、天猿とマウンテンベアのタッグを仕留めたこともあって、ギルド職員の間で新たにジェットガルーダを討伐するパーティーはティールたちだと予想されていた。
「そうですね…………そろそろ、挑もうとは思っています」
「っ!!!」
「ただ、ジェットガルーダと戦えるかは運次第なので、そこが絡んできますが」
ティールの言う通り、ジェットガルーダが四十階層のボス部屋に出現する可能性はそこまで高くない。
百回に一度しか……という程低くはないものの、おおよそ十回に一回というのがギルドがこれまでの情報を元に計算した確率。
いくらティールたちがずば抜けた戦闘力を持つパーティーであっても、波状試練の三十一階層から四十階層のボス部屋に到達するまでには、それなりの時間が必要。
他のモンスターとの戦闘を無視して移動し続けたとしても、絶対に一日では到達できない。
「それは、確かにそうですね」
「そうなんですよ……ははは」
「?」
何故か乾いた笑い声を零すティールを見て、首を傾げる受付嬢。
本人がそこまで話していない為、あまり話題になっていないが……ティールは自身が雷鳥と遭遇したい、戦いたいと思って何日も何日も探索し続け……予想以上に日数が掛かってしまった過去を持つ。
出現数が少ないモンスターであることを考えれば妥当……と言えるかどうか、少々怪しい日数。
にもかかわらず、ラストとアキラが戦ってみたいと思って探索したら、呆気なく遭遇出来てしまった。
そんな過去があるため、ティールはあっさりとジェットガルーダと遭遇できるか、非常に怪しんでいた。
「マスター、今回は俺たちもジェットガルーダとの戦闘を願っている」
「私も同じだ、ティール。だから、そう悲観する必要はない」
「ラスト、アキラさん…………そう言ってもらえると、嬉しいです」
以前、あっさりと雷鳥と遭遇できた二人が望んでいるなら大丈夫だろう!! という暴論ではあるものの、ほんの少し心が軽くなったティール。
(よ、良く解りませんけど、ティールさんたちなら……ジェットガルーダが相手でも、討伐出来そうですね)
ジラーニのギルド職員としては、ジェットガルーダを安定して討伐出来る冒険者は、是非ともジラーニを拠点に活動してほしい。
あまり倒され過ぎるのも困るが、Aランクモンスターの素材は街の中だけで消費するだけではなく、他の街との交易……交渉などでも役立つ貴重な素材。
専属契約金を払ってでも留まって欲しいところだが、ティールがこれまでどういった冒険を送ってきたのかある程度情報を得ているものであれば、それが無駄な交渉であることが直ぐに解る。
(貴族が無理に囲おうとしてない……という時点で、全員が理解しておかなければなりませんね)
少しティールの過去情報を調べれば、決して爵位が低くない貴族との関りがある事が分かる。
その貴族たちが無理に囲おうとはせず……仮にしていたとしても、結果として囲えてないところを考えれば、万が一の可能性に賭けて動くだけ無駄ということが解る。
「こちらが売却金額になります」
「ありがとうございます」
大金を受け取った三人はそのまま飯屋に……行くのではなく、鍛冶師サルバの元へと向かった。
「ラスト、要望があるなら伝えてしまった方が良いぞ」
「…………マスターの方は、どうなのだ?」
「俺はまだちょっと悩み中。こんな感じかなっていうのは思い浮かんでるけど、細かいところが決まってない」
しっかりと考えてはいると伝えられては、急かすような失礼な事は出来ない。
「あれ、ティールさんたちじゃないですか」
「えっと……お疲れ様? かな、ノルガさん」
鍛冶場の玄関に到着した三人を出迎えたのは、所々に墨汚れがあるノルガ。
「緋焔の感想とか、後ちょっと話したい事もあって」
「了解っす!! ちょっと待っててくださいね!!!」
ダッシュでサルバの元へ向かい、ダッシュで帰還。
「後三十分ぐらいで終わるそうっす!!!」
「三十分か……ねぇ、ノルガさん。お腹空いてますか?」
「はい、空いてます!!!」
腹からも返事を返したノルガを見て、ティールは笑いながら亜空間から上等な肉を取り出すのだった。
「査定をお願いします」
「か、かしこまりました」
ティールたちがダンジョンに潜るたび、倉庫で査定を行う程の素材を持ってくるというのは、もはや受付嬢たちの中では当たり前の話。
知らない者はいないものの……初めてその量の多さを確認した者は、どうしても驚きを隠せない。
「……その、ティールさん」
「はい、なんでしょうか?」
「えっと……そろそろ、ジェットガルーダに挑まれるのでしょうか」
簡単に尋ねられる内容ではなく、簡単に宣言できる内容でもない。
ただ、現在受付嬢たちの目の前にある素材の中には、当たり前の様にBランクモンスターの素材も混ざっている。
以前三人は四十階層のもう一組のボス、天猿とマウンテンベアのタッグを仕留めたこともあって、ギルド職員の間で新たにジェットガルーダを討伐するパーティーはティールたちだと予想されていた。
「そうですね…………そろそろ、挑もうとは思っています」
「っ!!!」
「ただ、ジェットガルーダと戦えるかは運次第なので、そこが絡んできますが」
ティールの言う通り、ジェットガルーダが四十階層のボス部屋に出現する可能性はそこまで高くない。
百回に一度しか……という程低くはないものの、おおよそ十回に一回というのがギルドがこれまでの情報を元に計算した確率。
いくらティールたちがずば抜けた戦闘力を持つパーティーであっても、波状試練の三十一階層から四十階層のボス部屋に到達するまでには、それなりの時間が必要。
他のモンスターとの戦闘を無視して移動し続けたとしても、絶対に一日では到達できない。
「それは、確かにそうですね」
「そうなんですよ……ははは」
「?」
何故か乾いた笑い声を零すティールを見て、首を傾げる受付嬢。
本人がそこまで話していない為、あまり話題になっていないが……ティールは自身が雷鳥と遭遇したい、戦いたいと思って何日も何日も探索し続け……予想以上に日数が掛かってしまった過去を持つ。
出現数が少ないモンスターであることを考えれば妥当……と言えるかどうか、少々怪しい日数。
にもかかわらず、ラストとアキラが戦ってみたいと思って探索したら、呆気なく遭遇出来てしまった。
そんな過去があるため、ティールはあっさりとジェットガルーダと遭遇できるか、非常に怪しんでいた。
「マスター、今回は俺たちもジェットガルーダとの戦闘を願っている」
「私も同じだ、ティール。だから、そう悲観する必要はない」
「ラスト、アキラさん…………そう言ってもらえると、嬉しいです」
以前、あっさりと雷鳥と遭遇できた二人が望んでいるなら大丈夫だろう!! という暴論ではあるものの、ほんの少し心が軽くなったティール。
(よ、良く解りませんけど、ティールさんたちなら……ジェットガルーダが相手でも、討伐出来そうですね)
ジラーニのギルド職員としては、ジェットガルーダを安定して討伐出来る冒険者は、是非ともジラーニを拠点に活動してほしい。
あまり倒され過ぎるのも困るが、Aランクモンスターの素材は街の中だけで消費するだけではなく、他の街との交易……交渉などでも役立つ貴重な素材。
専属契約金を払ってでも留まって欲しいところだが、ティールがこれまでどういった冒険を送ってきたのかある程度情報を得ているものであれば、それが無駄な交渉であることが直ぐに解る。
(貴族が無理に囲おうとしてない……という時点で、全員が理解しておかなければなりませんね)
少しティールの過去情報を調べれば、決して爵位が低くない貴族との関りがある事が分かる。
その貴族たちが無理に囲おうとはせず……仮にしていたとしても、結果として囲えてないところを考えれば、万が一の可能性に賭けて動くだけ無駄ということが解る。
「こちらが売却金額になります」
「ありがとうございます」
大金を受け取った三人はそのまま飯屋に……行くのではなく、鍛冶師サルバの元へと向かった。
「ラスト、要望があるなら伝えてしまった方が良いぞ」
「…………マスターの方は、どうなのだ?」
「俺はまだちょっと悩み中。こんな感じかなっていうのは思い浮かんでるけど、細かいところが決まってない」
しっかりと考えてはいると伝えられては、急かすような失礼な事は出来ない。
「あれ、ティールさんたちじゃないですか」
「えっと……お疲れ様? かな、ノルガさん」
鍛冶場の玄関に到着した三人を出迎えたのは、所々に墨汚れがあるノルガ。
「緋焔の感想とか、後ちょっと話したい事もあって」
「了解っす!! ちょっと待っててくださいね!!!」
ダッシュでサルバの元へ向かい、ダッシュで帰還。
「後三十分ぐらいで終わるそうっす!!!」
「三十分か……ねぇ、ノルガさん。お腹空いてますか?」
「はい、空いてます!!!」
腹からも返事を返したノルガを見て、ティールは笑いながら亜空間から上等な肉を取り出すのだった。
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