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片方だけなら
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(これで四回目か~~~)
現在、ティールは四回目のマウンテンベアと天猿とのボス戦を終えた。
なんとも気の抜けた表情を浮かべているが、今回はマウンテンベアと主に接近戦をしていたのはティール。
どうせならと、打撃力でマウンテンベアに挑んだ結果……体格的にどうしても押し負けてしまう形で爪撃を食らい、シャレにならないほど吹っ飛ばされてしまった。
両腕が痺れ、背中が少々痛いといった程度のダメージで済んだものの、Aランクに届くパワーを身を持って体感した。
そのため、決して楽な戦いではなかった……それは間違いないのだが、ティールとしてはそれはそれでという話。
(……そういえば、三回目に討伐した宝箱は、まだ空けてなかったな…………あんまり、良い予感がしないな)
四十層のボス部屋を討伐したのに、冴えない表情を浮かべるティールを見て、パーティーメンバーである二人は……どのような言葉を掛ければ良いのか解らなかった。
まだ、確率的には合算したとしても、本来であればジェットガルーダが出現してもおかしくない回数を越えてはいない。
ただ、それでも不安は溜まってしまう。
「……あれだな。一度も、前に突入した冒険者たちが討伐出来なかったボスとは中々戦わないな」
「ん? ん~~~~……そういえば、そうだね」
「ふむ……全員が、全身全霊で挑んでるかではないのか?」
「それはそうだろうな。だが、マウンテンベアと天猿のタッグもジェットガルーダも、全身全霊で挑んだとしても絶対に勝てる相手ではないだろう」
ラストの言う通り、Bランク以上の冒険者たちが全力で挑んだとしても、勝てる保証はどこにもない。
だが……ラストたちの耳に、あまり四十階層のボス戦で冒険者たちが負けたという話は聞かない。
「それは、ボスモンスターたちが人間との戦い方を覚えたら子もあるからだよ」
「ん? その声は……ヒツギか」
ダンジョン帰りの三人に声を掛けてきたのは、同じくダンジョン帰りであるヒツギとそのパーティーメンバーであった。
「良かったら、夕食でも一緒に食べないかい」
「…………諸々が終わったらな」
ギルドに戻り、討伐したモンスターの素材などを売却。
それらが終わってからティールたちは約束通り、ヒツギたちと適当な酒場に入った。
「それじゃあ、乾杯!」
ヒツギの音頭に合わせ、ティール達もエールの入った杯を合わせる……が、ヒツギはともかくヒツギの友人たちは、まだティールたちに思うところがあり、あまり良い雰囲気とは言えない。
「ふぅーーーー……ヒツギ達の方は、順調か」
「そうだね。ここ最近は三十半ばの階層で主に探索してるんだけど、エルダートレントやサラマンダーとかとも戦えるようになったよ」
「へぇ~~~、そりゃ確かに順調だな」
「ティールさんたちの方はどうだい。いや、君たちの方が順調だとは思うんだけどさ」
「順調、か……」
「?」
言い淀んでしまった内容に関して、ティールは素直に話した。
すると、ヒツギは苦笑いを浮かべ、他の面々は呆れた表情やほんの少し怒りの表情を浮かべた。
「今の目標を考えると、順調とは断言出来ないだろ」
「そ、そうだね。戦いたいモンスターと戦えてないというのは……うん、確かに順調とは言えないかな」
とは言うものの、ヒツギたちからすればマウンテンベアと天猿のタッグを四回も討伐してる時点で、順調も順調としか思えない。
「宝箱から手に入る物もあれだし」
「その宝箱は、もしかしてマウンテンベアと天猿を倒した際に手に入る宝箱のことかい?」
「あぁ、そうだ。良い物であるのは確かだけど、俺たちの中で使う人が誰もいないからな」
「なるほど…………うん、それはそれで不運だね」
良い物であれば、売って金にすれば良い。
それが冒険者たちの常識ではあるが、ヒツギはそれがティールたちにとっては意味がない事だと理解していた。
「少し話は変るんだけど、今の僕達がマウンテンベアと天猿と戦ったら、どうなるかな」
「…………今のヒツギ達なら、全滅」
「「「「ッ!!」」」」
ティールの言葉に、ヒツギ以外の四人が食事の手を止めて反応を示す。
「でも、どっちか片方をジェンさんと他の先輩たちに相手してもらってたら……片方は、倒せる可能性はあるんじゃないの」
「っ、本当かい」
「可能性はな。片方だけを相手にするにしても、十分過ぎるほどどっちも強いから、油断してたら即死すると思うぞ」
ティールは……ジェンからよろしくと頼まれたが、相変わらずヒツギの事は好きではない。
ただ、その実力は認めており、彼を付き従う者たちの実力もある程度認めているため、マウンテンベアか天猿……片方だけであれば討伐出来る可能性があるというのは、決してリップサービスではなかった。
現在、ティールは四回目のマウンテンベアと天猿とのボス戦を終えた。
なんとも気の抜けた表情を浮かべているが、今回はマウンテンベアと主に接近戦をしていたのはティール。
どうせならと、打撃力でマウンテンベアに挑んだ結果……体格的にどうしても押し負けてしまう形で爪撃を食らい、シャレにならないほど吹っ飛ばされてしまった。
両腕が痺れ、背中が少々痛いといった程度のダメージで済んだものの、Aランクに届くパワーを身を持って体感した。
そのため、決して楽な戦いではなかった……それは間違いないのだが、ティールとしてはそれはそれでという話。
(……そういえば、三回目に討伐した宝箱は、まだ空けてなかったな…………あんまり、良い予感がしないな)
四十層のボス部屋を討伐したのに、冴えない表情を浮かべるティールを見て、パーティーメンバーである二人は……どのような言葉を掛ければ良いのか解らなかった。
まだ、確率的には合算したとしても、本来であればジェットガルーダが出現してもおかしくない回数を越えてはいない。
ただ、それでも不安は溜まってしまう。
「……あれだな。一度も、前に突入した冒険者たちが討伐出来なかったボスとは中々戦わないな」
「ん? ん~~~~……そういえば、そうだね」
「ふむ……全員が、全身全霊で挑んでるかではないのか?」
「それはそうだろうな。だが、マウンテンベアと天猿のタッグもジェットガルーダも、全身全霊で挑んだとしても絶対に勝てる相手ではないだろう」
ラストの言う通り、Bランク以上の冒険者たちが全力で挑んだとしても、勝てる保証はどこにもない。
だが……ラストたちの耳に、あまり四十階層のボス戦で冒険者たちが負けたという話は聞かない。
「それは、ボスモンスターたちが人間との戦い方を覚えたら子もあるからだよ」
「ん? その声は……ヒツギか」
ダンジョン帰りの三人に声を掛けてきたのは、同じくダンジョン帰りであるヒツギとそのパーティーメンバーであった。
「良かったら、夕食でも一緒に食べないかい」
「…………諸々が終わったらな」
ギルドに戻り、討伐したモンスターの素材などを売却。
それらが終わってからティールたちは約束通り、ヒツギたちと適当な酒場に入った。
「それじゃあ、乾杯!」
ヒツギの音頭に合わせ、ティール達もエールの入った杯を合わせる……が、ヒツギはともかくヒツギの友人たちは、まだティールたちに思うところがあり、あまり良い雰囲気とは言えない。
「ふぅーーーー……ヒツギ達の方は、順調か」
「そうだね。ここ最近は三十半ばの階層で主に探索してるんだけど、エルダートレントやサラマンダーとかとも戦えるようになったよ」
「へぇ~~~、そりゃ確かに順調だな」
「ティールさんたちの方はどうだい。いや、君たちの方が順調だとは思うんだけどさ」
「順調、か……」
「?」
言い淀んでしまった内容に関して、ティールは素直に話した。
すると、ヒツギは苦笑いを浮かべ、他の面々は呆れた表情やほんの少し怒りの表情を浮かべた。
「今の目標を考えると、順調とは断言出来ないだろ」
「そ、そうだね。戦いたいモンスターと戦えてないというのは……うん、確かに順調とは言えないかな」
とは言うものの、ヒツギたちからすればマウンテンベアと天猿のタッグを四回も討伐してる時点で、順調も順調としか思えない。
「宝箱から手に入る物もあれだし」
「その宝箱は、もしかしてマウンテンベアと天猿を倒した際に手に入る宝箱のことかい?」
「あぁ、そうだ。良い物であるのは確かだけど、俺たちの中で使う人が誰もいないからな」
「なるほど…………うん、それはそれで不運だね」
良い物であれば、売って金にすれば良い。
それが冒険者たちの常識ではあるが、ヒツギはそれがティールたちにとっては意味がない事だと理解していた。
「少し話は変るんだけど、今の僕達がマウンテンベアと天猿と戦ったら、どうなるかな」
「…………今のヒツギ達なら、全滅」
「「「「ッ!!」」」」
ティールの言葉に、ヒツギ以外の四人が食事の手を止めて反応を示す。
「でも、どっちか片方をジェンさんと他の先輩たちに相手してもらってたら……片方は、倒せる可能性はあるんじゃないの」
「っ、本当かい」
「可能性はな。片方だけを相手にするにしても、十分過ぎるほどどっちも強いから、油断してたら即死すると思うぞ」
ティールは……ジェンからよろしくと頼まれたが、相変わらずヒツギの事は好きではない。
ただ、その実力は認めており、彼を付き従う者たちの実力もある程度認めているため、マウンテンベアか天猿……片方だけであれば討伐出来る可能性があるというのは、決してリップサービスではなかった。
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