725 / 864
重なる情報
しおりを挟む
「なぁ、ちょっと良いか」
「? なんですか」
本日で六度目の四十層ボス部屋挑戦になるティールたち。
そんな列に並んでいるティール達に対し、後方に並んでいたパーティーの一人が声を掛けて来た。
声の主である男は、約十枚ほどの金貨をパーティーリーダーであるティールに渡す。
ティールは一応受け取るものの、要件次第では直ぐに投げ返すつもりでいる。
「あんた達、既に何回もマウンテンベアと天猿と戦ってるんだろ。良かったら、あんた達が感じた感想を教えてほしい」
「そういう事ですか…………俺は、戦いが始まったら、とりあえず分断すべきだと思いますね」
実際のところ、ティールたちはまだタッグとして戦うマウンテンベアと天猿とは戦っていない。
だが、それは組ませるとヤバいと三人が感じるからこそ、数回目以降からは強制的に分断させて戦っている。
「同感だな」
「ラストは、何かある?」
「……力のある者は、やはりマウンテンベアと戦うべきだな。天猿を一撃で仕留める為にあえて攻撃力が高い者を天猿にぶつけるという手もアリではあると思うが、天猿の手数は尋常ではない」
「ラストの言う通り、嘗めてかかれば一瞬で仕留められてしまうだろう。可能であれば、弓を主に使う狩人と魔法使いは共に天猿の相手をすべきだ」
「な、なるほど……マウンテンベアに関しては、何かあるか」
三人ともこれまでの戦闘を思い返し……同じ内容が二つ、頭の中に思い浮かんだ。
「俺としては、野性の勘と頑丈さが怖いと感じるかな」
「マスターと同じ意見だ。死角を突いたとしても、反応されることが多い。渾身の一撃を叩き込むなら、それを囮にして同程度の攻撃を叩き込んだ方が良いだろうな」
「付け加えるなら、渾身の一撃が決まったとしても、倒せたと思わない方が良い。叩き込んだ後、直ぐに後方へ下がるべきだ」
三人が真剣に語る話を聞き終わり、男は頭を下げて自分のパーティーへと戻って行った。
「……まさか、他のパーティーからあぁいう内容を聞かれるなんて」
「それだけ、俺たちの名も広まったということではないのか、マスター」
既に五度もマウンテンベアと天猿を討伐している三人。
一年間の間にではなく、数か月も経たない内に五度も討伐しているということもあって、ギルドの従業員や高ランクの冒険者たちは三人のタフさも評価されていた。
「そういうものか……」
「おそらく、彼らは初めてあのボスモンスターに挑むのだろう。であれば、多くの経験者の訊いておきたいはずだ」
「……つまり、多くの経験者の意見を聞いて、重ねってるところが本当の……信憑性が高い内容になると」
一つのパーティーだけに意見を聞いてたとしても、それが全てではなく……個人の感覚によっては、異なる意見を口にする者もいる。
だからこそ、聞く相手によっては交渉しなければならない場合もあるが、ボス戦を絶対に成功させるのであれば、金を払ってでも複数のパーティーからの情報を集めた方が良い。
「面倒ではあるかもしれないがな」
「面倒かもしれませんけど、重要な事ですよ……」
まぁ、俺たちはしないかもしれませんけど、という言葉をティールはうっかり零すことなく、グッと飲み込んだ。
パーティーメンバーのラストがあまりそういう事を好まない。
ティールも……今の自分たちであればという自信もある。
とはいえ、二人とも同業者に全く気付けないノンデリカシーなクソ野郎ではなく、この場でそれらしい考えを口にすることはなかった。
「っ……ふふ……ふっふっふ。ようやく……ようやくだ!!!」
自分たちの番が回り、ボス部屋入場。
すると……ボス部屋の中は、これまで通り森の中……ではなく、地面は岩。
いくつもの岩柱が生えており、明らかにステージが違う。
ギルドから買い取った情報通りということもあって、いきなりティールはテンションが爆上げ状態に。
そして、ラストとアキラは部屋の奥から感じる気配に、武者震いを起こすのだった。
「? なんですか」
本日で六度目の四十層ボス部屋挑戦になるティールたち。
そんな列に並んでいるティール達に対し、後方に並んでいたパーティーの一人が声を掛けて来た。
声の主である男は、約十枚ほどの金貨をパーティーリーダーであるティールに渡す。
ティールは一応受け取るものの、要件次第では直ぐに投げ返すつもりでいる。
「あんた達、既に何回もマウンテンベアと天猿と戦ってるんだろ。良かったら、あんた達が感じた感想を教えてほしい」
「そういう事ですか…………俺は、戦いが始まったら、とりあえず分断すべきだと思いますね」
実際のところ、ティールたちはまだタッグとして戦うマウンテンベアと天猿とは戦っていない。
だが、それは組ませるとヤバいと三人が感じるからこそ、数回目以降からは強制的に分断させて戦っている。
「同感だな」
「ラストは、何かある?」
「……力のある者は、やはりマウンテンベアと戦うべきだな。天猿を一撃で仕留める為にあえて攻撃力が高い者を天猿にぶつけるという手もアリではあると思うが、天猿の手数は尋常ではない」
「ラストの言う通り、嘗めてかかれば一瞬で仕留められてしまうだろう。可能であれば、弓を主に使う狩人と魔法使いは共に天猿の相手をすべきだ」
「な、なるほど……マウンテンベアに関しては、何かあるか」
三人ともこれまでの戦闘を思い返し……同じ内容が二つ、頭の中に思い浮かんだ。
「俺としては、野性の勘と頑丈さが怖いと感じるかな」
「マスターと同じ意見だ。死角を突いたとしても、反応されることが多い。渾身の一撃を叩き込むなら、それを囮にして同程度の攻撃を叩き込んだ方が良いだろうな」
「付け加えるなら、渾身の一撃が決まったとしても、倒せたと思わない方が良い。叩き込んだ後、直ぐに後方へ下がるべきだ」
三人が真剣に語る話を聞き終わり、男は頭を下げて自分のパーティーへと戻って行った。
「……まさか、他のパーティーからあぁいう内容を聞かれるなんて」
「それだけ、俺たちの名も広まったということではないのか、マスター」
既に五度もマウンテンベアと天猿を討伐している三人。
一年間の間にではなく、数か月も経たない内に五度も討伐しているということもあって、ギルドの従業員や高ランクの冒険者たちは三人のタフさも評価されていた。
「そういうものか……」
「おそらく、彼らは初めてあのボスモンスターに挑むのだろう。であれば、多くの経験者の訊いておきたいはずだ」
「……つまり、多くの経験者の意見を聞いて、重ねってるところが本当の……信憑性が高い内容になると」
一つのパーティーだけに意見を聞いてたとしても、それが全てではなく……個人の感覚によっては、異なる意見を口にする者もいる。
だからこそ、聞く相手によっては交渉しなければならない場合もあるが、ボス戦を絶対に成功させるのであれば、金を払ってでも複数のパーティーからの情報を集めた方が良い。
「面倒ではあるかもしれないがな」
「面倒かもしれませんけど、重要な事ですよ……」
まぁ、俺たちはしないかもしれませんけど、という言葉をティールはうっかり零すことなく、グッと飲み込んだ。
パーティーメンバーのラストがあまりそういう事を好まない。
ティールも……今の自分たちであればという自信もある。
とはいえ、二人とも同業者に全く気付けないノンデリカシーなクソ野郎ではなく、この場でそれらしい考えを口にすることはなかった。
「っ……ふふ……ふっふっふ。ようやく……ようやくだ!!!」
自分たちの番が回り、ボス部屋入場。
すると……ボス部屋の中は、これまで通り森の中……ではなく、地面は岩。
いくつもの岩柱が生えており、明らかにステージが違う。
ギルドから買い取った情報通りということもあって、いきなりティールはテンションが爆上げ状態に。
そして、ラストとアキラは部屋の奥から感じる気配に、武者震いを起こすのだった。
223
あなたにおすすめの小説
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」
公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。
忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。
「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」
冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。
彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。
一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。
これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
不死王はスローライフを希望します
小狐丸
ファンタジー
気がついたら、暗い森の中に居た男。
深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。
そこで俺は気がつく。
「俺って透けてないか?」
そう、男はゴーストになっていた。
最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。
その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる