あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

デッドレース？

（今だ！！！！！！！！）

現在、頑強な結界を複数枚展開することで、なんとかジェットガルーダの動きを拘束しているティール。

そこにラストが放つスラッシュバスターとアキラが放つ烈閃・破が放たれた。
当然、ティールとしてはその二つをジェットガルーダに当てたいため、結界を解除しなければならない。

だが……完全に結界を解いてしまった場合、ほんの一瞬の間に逃げられ……スラッシュバスターと烈閃・破が無駄打ちになってしまう可能性がある。

ギリギリのタイミングで解除すれば良いという話かもしれないが、そのタイミングをミスすれば、同じく無駄打ちに
なってしまう。
そのため……ティールはなんとかスラッシュバスターと烈閃・破が入る入口を結界につくった。

「っ！！！！！？？？？？」

ジェットガルーダが抜けることは出来ないが、スラッシュバスターと烈閃・破が入る入り口。
ティールの思惑通り、最高の形でジェットガルーダは二つの高火力攻撃に対して対処することが出来なかった。

しかし、数秒後には結界が爆散。

「っ……そう簡単には、殺らせてくれないか」

無事……とまではいかないが、それでも宙にはまだまだ戦えるジェットガルーダの姿があった。

スラッシュバスターと烈閃・破……二つの攻撃が、ジェットガルーダにとって無視できない攻撃であるのは間違いない。
だが、動けない、的確に反撃できないと悟ったジェットガルーダは、四つの翼に風を纏って自身を覆い……その場で回転。
ティールの結界があるため、衝撃を逃がすことは出来ないものの、なんとか最悪の未来からは抜け出した。

（とはいえ、結果は上々と言えるかなっ！！！！？？？？）

翼に決して小さくないダメージを与えたとなれば、ジェットガルーダの機動力を下げたとも言える。

そうなれば、一気に自分たちの勝ちが近づく……そう思ったのも束の間。
ジェットガルーダは狙いをティールに定め、全力で接近。

（きゅ、急になんでだっ！！！！？？？？）

急に、ではない。

元からジェットガルーダは戦いが始まって直ぐに、小さな人間が侵入者たちのリーダーだと把握していた。
ただ、その判断に加えてジェットガルーダの中で、三人の中で一番の危険人物があの小さな人間だと、明確に判断された。

だから、風矢や風球、風槍に風刃を放ちながらティールに急接近し、確実に仕留めようと動く。

そこまで考えているジェットガルーダの思考は読めていない。
読めていないが……ティールはとにかく全速力で逃げて逃げて逃げまくる。

「っ、っと！！　あぶっ……っ！！！」

ジェットガルーダは、確かに速い。
だが、ティールも全体的に身体能力のスペックは高いが、その中でも優れているのはスピード……そして魔力操作技術。

魔力の消費量が上がるのを承知の上で、旋風と雷を纏い、疾風のスキルを発動。
そして走ることに集中しながらも、落とせる攻撃は魔力感知で迫る攻撃を把握し、ノールックで同じ風槍や風刃で相殺。

Aランクモンスターといえど、ジェットガルーダが優れているのは飛行能力に風のブレスや、翼や鉤爪に風を纏った一撃。

風鳥だからこそ、風魔法は扱えるものの、そこまで一流レベルという訳ではない。

（もしかして……このまま走り続ければ、それはそれで、削れる、か？）

Aランクモンスターであるジェットガルーダは身体能力だけではなく、魔力量も並のモンスターとは比べ物にならない。
ただ……それでも、有限であることに変わりはない。

対して、ティールは先程から消費する魔力を、マジックポーションを飲むことで補給していた。

魔力切れまでのデッドレースに関しては、ティールたちの方が圧倒的に有利であるのは間違いない。
いくらAランクの怪物と言えど、魔力抜きで仕留められる程、三人は甘くない。

だが、それを理解出来ないほど弱い頭をしてないジェットガルーダ。
ティールを追い詰めるフリ……をしながらも、確実に三人を仕留める方法を考えていた。