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高得点ではある
「ティール君。形式は、試合で良かったかな」
「えぇ」
訓練場に着き、バレンダから確認を取られたティールは刃引きされていないロングソードを渡された。
勿論、対戦相手であるグレイズが使用する武器……槍も、刃引きされていない。
(……うん。頑丈なロングソードだな)
ティールが使用する武器だけ脆く、グレイズが使用する槍は普通の槍ではなく、なんて調査隊員であるグレイズが有利になるような小細工はされていない。
「では、審判は僕が務めさせてもらう」
「はい!!!」
「うっす」
「それでは……始め」
小さく、それでいてよく耳に届く声により、試合開始の合図が告げられた。
「「…………」」
試合が始まって直ぐ、二人が動くことはなかった。
(? 試合が始まれば、直ぐに接近してくると思ってたんだけどな)
ティールとしては、なるべくグレイズの攻撃を受けてから倒そうと考えていた。
その方が、後から「あの攻撃さえ当たっていれば!!!!」などの、たられば不満をぶつけられることもない。
だからこそ、まずはグレイズの出方を窺おうと思っていたが……予想に反し、グレイズは試合が始まっても直ぐに槍を振るうことなく、寧ろティールと同じく相手の出方を窺おうとした。
(っ……こいつ、本当に戦る気があるのか)
ティールが持つ強さを見抜ける眼や、正確に解らずとも違和感を感じるほどの経験がないグレイズ。
それでも、調査隊が……リーダーであるバレンダが、わざわざ給金を用意してまでスカウトしようとした人物。
自分の気持ちを無意識に優先する部分はあれど、それが全く解らないほどのおバカではない。
そのため、まずはティールの動きや戦闘スタイルを見極めようと、相手が動くのを待った。
(……それじゃあ、お言葉に甘えて)
「っ!!!!!」
お互いに動かず、お見合いをし続けるつもりはないティール。
魔力を纏ったロングソードを振るい、斬撃を飛ばす。
その一撃を同じく魔力を纏った槍で弾くグレイズだが、当然ながらティールが放つ斬撃波がそれだけで終わるわけがなく……ニ、三……五……十…………二十と、連続で飛来し続ける。
(こい、つ!!!)
一撃の威力は、グレイズでも弾き飛ばせるだけの威力ではあるが、ティールは全く魔力残量を気にすることなく放ち続ける。
弾き飛ばせるものの、当たればダメージを食らってしまい……その斬撃が真正面から迫りくるだけではなく、軌道を変えて左右上下からも迫りくる。
(このまま磔で終わるか?)
本当にそれで終わるのであれば、それも致し方ない。
しかし、ティールがそう判断した瞬間、グレイズは槍に風を纏い……迫りくる斬撃波を弾き飛ばしたと同時に足にも風を纏い、一気に距離を詰めた。
(さすがにあれで終わらなかったか)
下手に付き合わずに横に回りながら斬撃波を放つが、その攻撃を読んでいたグレイス。
槍を振り払い、広範囲の風斬波を放った。
「……」
「ハァアアアアッ!!!!」
ティールは無造作にロングソードで風斬波を弾き飛ばすも、グレイズはその光景に驚くことはなく、寧ろ予定通りだと言わんばかりに突いて突いて突きまくる。
(………………まだ、この人の事をよく知らないけど、多分……対人戦は上手いんだろうな)
迫りくる疾風の突きを躱し、弾きながらティールは冷静にグレイズの腕前を観察していた。
どの攻撃が囮で、どの攻撃が本命かしっかりと分けており、ティールが槍を弾いたことによって体勢を崩しそうになるも、堪えて連続突きを途絶えさせない。
技術的には、荒という点はない。
冒険者から見ても……騎士から見ても、対人戦においては高得点を付ける。
だが、連続突きを繰り返すこと数十秒……まだ、ティールに掠りもしていない。
(うん、とりあえず攻勢に出ても良いかな)
少年は普段通りの表情のままグレイズの突きを潜り抜け、ロングソードを振り上げた。
「っ!?」
あっさりと自身の懐に入られたという事実に、ギョッとした表情が零れてしまった。
「えぇ」
訓練場に着き、バレンダから確認を取られたティールは刃引きされていないロングソードを渡された。
勿論、対戦相手であるグレイズが使用する武器……槍も、刃引きされていない。
(……うん。頑丈なロングソードだな)
ティールが使用する武器だけ脆く、グレイズが使用する槍は普通の槍ではなく、なんて調査隊員であるグレイズが有利になるような小細工はされていない。
「では、審判は僕が務めさせてもらう」
「はい!!!」
「うっす」
「それでは……始め」
小さく、それでいてよく耳に届く声により、試合開始の合図が告げられた。
「「…………」」
試合が始まって直ぐ、二人が動くことはなかった。
(? 試合が始まれば、直ぐに接近してくると思ってたんだけどな)
ティールとしては、なるべくグレイズの攻撃を受けてから倒そうと考えていた。
その方が、後から「あの攻撃さえ当たっていれば!!!!」などの、たられば不満をぶつけられることもない。
だからこそ、まずはグレイズの出方を窺おうと思っていたが……予想に反し、グレイズは試合が始まっても直ぐに槍を振るうことなく、寧ろティールと同じく相手の出方を窺おうとした。
(っ……こいつ、本当に戦る気があるのか)
ティールが持つ強さを見抜ける眼や、正確に解らずとも違和感を感じるほどの経験がないグレイズ。
それでも、調査隊が……リーダーであるバレンダが、わざわざ給金を用意してまでスカウトしようとした人物。
自分の気持ちを無意識に優先する部分はあれど、それが全く解らないほどのおバカではない。
そのため、まずはティールの動きや戦闘スタイルを見極めようと、相手が動くのを待った。
(……それじゃあ、お言葉に甘えて)
「っ!!!!!」
お互いに動かず、お見合いをし続けるつもりはないティール。
魔力を纏ったロングソードを振るい、斬撃を飛ばす。
その一撃を同じく魔力を纏った槍で弾くグレイズだが、当然ながらティールが放つ斬撃波がそれだけで終わるわけがなく……ニ、三……五……十…………二十と、連続で飛来し続ける。
(こい、つ!!!)
一撃の威力は、グレイズでも弾き飛ばせるだけの威力ではあるが、ティールは全く魔力残量を気にすることなく放ち続ける。
弾き飛ばせるものの、当たればダメージを食らってしまい……その斬撃が真正面から迫りくるだけではなく、軌道を変えて左右上下からも迫りくる。
(このまま磔で終わるか?)
本当にそれで終わるのであれば、それも致し方ない。
しかし、ティールがそう判断した瞬間、グレイズは槍に風を纏い……迫りくる斬撃波を弾き飛ばしたと同時に足にも風を纏い、一気に距離を詰めた。
(さすがにあれで終わらなかったか)
下手に付き合わずに横に回りながら斬撃波を放つが、その攻撃を読んでいたグレイス。
槍を振り払い、広範囲の風斬波を放った。
「……」
「ハァアアアアッ!!!!」
ティールは無造作にロングソードで風斬波を弾き飛ばすも、グレイズはその光景に驚くことはなく、寧ろ予定通りだと言わんばかりに突いて突いて突きまくる。
(………………まだ、この人の事をよく知らないけど、多分……対人戦は上手いんだろうな)
迫りくる疾風の突きを躱し、弾きながらティールは冷静にグレイズの腕前を観察していた。
どの攻撃が囮で、どの攻撃が本命かしっかりと分けており、ティールが槍を弾いたことによって体勢を崩しそうになるも、堪えて連続突きを途絶えさせない。
技術的には、荒という点はない。
冒険者から見ても……騎士から見ても、対人戦においては高得点を付ける。
だが、連続突きを繰り返すこと数十秒……まだ、ティールに掠りもしていない。
(うん、とりあえず攻勢に出ても良いかな)
少年は普段通りの表情のままグレイズの突きを潜り抜け、ロングソードを振り上げた。
「っ!?」
あっさりと自身の懐に入られたという事実に、ギョッとした表情が零れてしまった。
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