764 / 851
さすがに危険だから
しおりを挟む
「じゃあ、この辺りで寝ましょうか」
既に日も暮れ、ティールたちは丁度良さげな小さな洞窟に入り、野営を行うことにした。
(ちゃちゃっと作っちゃおう)
夕方になるまでファルティナの大秘境で探索していたこともあり、ティールはそれなりに疲れていた。
それでも、まだ眠気が来てしまう前に頑張ってしまおうと気合を入れ、夕食を作り始めた。
「手伝うぞ」
「ありがとうございます」
アキラの手も借り、野菜の皮をむき、肉をカットして調理を進めていく。
そんな中、基本的に料理となると手伝えることがない竜人族のラストと、ヴァルガングのヴァルはモンスターが襲撃してこないように見張りを行ていた。
「………………」
ヴァルは真剣に見張りを行いながらも、頭の中では本日の戦闘を思い返し……ほんの少し、口端を上げていた。
「ふふ、楽しかったか」
隣で同じく見張りを行っているラストは、その僅かな変化に気付く。
「……ワゥ」
隠すことでもないが、笑みを浮かべているのをバレたのが恥ずかしかったのか、小さな笑みは引っ込んでしまった。
「俺も同じだ。ただ、目的のダンジョンという場所は中々見つからないのがな」
「ワフゥ…………」
ヴァルはティールたちからこの地を探索する理由を聞いているため、ラストと同じく少々落ち込む。
モンスターではあるが、それなりに知能が高く、実際にダンジョンという場所を探索したことがあるので、ヴァルも
ダンジョンという場所をある程度理解している。
ヴァルとしても、ファルティナの大秘境での探索も十分過ぎるほど楽しいが、ダンジョンというデンジャラスな場所での探索も再び行いたいという気持ちがあった。
その後も二人が会話? を続けている間、着々と夕食の準備が進み、彼らの頭は食欲で一杯になり始めた。
「それじゃ、食べようか」
ラストとヴァルだけではなく、ティールとアキラも本日の探索で……朝食、昼食もしっかり食べていたが腹は減っており、それなりに作った料理は十分と経たずに消えてしまった。
「……もう少し食べる?」
「…………俺は、遠慮しておこう」
「えっ……いいの、ラスト?」
ラストは、いつも通りたらふく食べた。
だが、ラストと出会ってから一年以上経つティールは、今のラストの腹はまだ八分目に達していないことに気付いていた。
「あぁ。今日、見張りをすることを考えればな」
普段は見張りを行わないティールたち。
他の冒険者たちが聞けば「死にたいのか?」と首を傾げる。
しかし、ティールは結界を複数枚展開することで、問題無いと判断していた。
パーティーメンバーであるラスト、アキラとしては不安ではあるものの……これまで、ティールの結界のお陰で快適な夜を過ごすことができ、一撃で粉砕されて大ダメージを負うということもない。
ただ……ファルティナの大秘境は、ダンジョンではない。
セーフティーポイントという、モンスターには襲われない安全な場所というのはない。
そして、現在ティールたちが探索しているファルティナの大秘境では、Cランク以上のモンスター……Bランクモンスターが徘徊していることが珍しくなく、冒険者ギルドの情報掲示板にはAランクモンスターの目撃情報がいくつもある。
Cランクモンスターであればヴァルが瞬殺……Bランクモンスターが相手であっても、ティールたちが起きるまで一人で対処出来る。
「そっか、分かった」
最悪の場合、Aランクモンスターが襲撃してくるかもしれないということで、ヴァル以外にも追加で一人、見張りを行おうということになった。
「それじゃ、これ渡しとくね」
「……何故だ?」
ティールがラストに手渡したのは、香辛料が入っている小瓶だった。
「今更に追加で食べれば満腹で眠くなっちゃうかもしれないけど、見張りの間に腹が減るかもしれないでしょ」
「……あぁ、そうだな。助かる」
その日の夜、やはり腹が減ってしまい、ラストはヴァルと一緒に夜食の焼肉を貪るのだった。
既に日も暮れ、ティールたちは丁度良さげな小さな洞窟に入り、野営を行うことにした。
(ちゃちゃっと作っちゃおう)
夕方になるまでファルティナの大秘境で探索していたこともあり、ティールはそれなりに疲れていた。
それでも、まだ眠気が来てしまう前に頑張ってしまおうと気合を入れ、夕食を作り始めた。
「手伝うぞ」
「ありがとうございます」
アキラの手も借り、野菜の皮をむき、肉をカットして調理を進めていく。
そんな中、基本的に料理となると手伝えることがない竜人族のラストと、ヴァルガングのヴァルはモンスターが襲撃してこないように見張りを行ていた。
「………………」
ヴァルは真剣に見張りを行いながらも、頭の中では本日の戦闘を思い返し……ほんの少し、口端を上げていた。
「ふふ、楽しかったか」
隣で同じく見張りを行っているラストは、その僅かな変化に気付く。
「……ワゥ」
隠すことでもないが、笑みを浮かべているのをバレたのが恥ずかしかったのか、小さな笑みは引っ込んでしまった。
「俺も同じだ。ただ、目的のダンジョンという場所は中々見つからないのがな」
「ワフゥ…………」
ヴァルはティールたちからこの地を探索する理由を聞いているため、ラストと同じく少々落ち込む。
モンスターではあるが、それなりに知能が高く、実際にダンジョンという場所を探索したことがあるので、ヴァルも
ダンジョンという場所をある程度理解している。
ヴァルとしても、ファルティナの大秘境での探索も十分過ぎるほど楽しいが、ダンジョンというデンジャラスな場所での探索も再び行いたいという気持ちがあった。
その後も二人が会話? を続けている間、着々と夕食の準備が進み、彼らの頭は食欲で一杯になり始めた。
「それじゃ、食べようか」
ラストとヴァルだけではなく、ティールとアキラも本日の探索で……朝食、昼食もしっかり食べていたが腹は減っており、それなりに作った料理は十分と経たずに消えてしまった。
「……もう少し食べる?」
「…………俺は、遠慮しておこう」
「えっ……いいの、ラスト?」
ラストは、いつも通りたらふく食べた。
だが、ラストと出会ってから一年以上経つティールは、今のラストの腹はまだ八分目に達していないことに気付いていた。
「あぁ。今日、見張りをすることを考えればな」
普段は見張りを行わないティールたち。
他の冒険者たちが聞けば「死にたいのか?」と首を傾げる。
しかし、ティールは結界を複数枚展開することで、問題無いと判断していた。
パーティーメンバーであるラスト、アキラとしては不安ではあるものの……これまで、ティールの結界のお陰で快適な夜を過ごすことができ、一撃で粉砕されて大ダメージを負うということもない。
ただ……ファルティナの大秘境は、ダンジョンではない。
セーフティーポイントという、モンスターには襲われない安全な場所というのはない。
そして、現在ティールたちが探索しているファルティナの大秘境では、Cランク以上のモンスター……Bランクモンスターが徘徊していることが珍しくなく、冒険者ギルドの情報掲示板にはAランクモンスターの目撃情報がいくつもある。
Cランクモンスターであればヴァルが瞬殺……Bランクモンスターが相手であっても、ティールたちが起きるまで一人で対処出来る。
「そっか、分かった」
最悪の場合、Aランクモンスターが襲撃してくるかもしれないということで、ヴァル以外にも追加で一人、見張りを行おうということになった。
「それじゃ、これ渡しとくね」
「……何故だ?」
ティールがラストに手渡したのは、香辛料が入っている小瓶だった。
「今更に追加で食べれば満腹で眠くなっちゃうかもしれないけど、見張りの間に腹が減るかもしれないでしょ」
「……あぁ、そうだな。助かる」
その日の夜、やはり腹が減ってしまい、ラストはヴァルと一緒に夜食の焼肉を貪るのだった。
193
あなたにおすすめの小説
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
婚約破棄をしておけば
あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る
丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。
目覚めた先は、近江・長浜城。
自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。
史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。
そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。
「この未来だけは、変える」
冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。
これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。
「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる