あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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新し物

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「お、お待たせしました」

受付嬢がティールたちにあれこれ質問を行っている間に、なんとかギルド職員たちはティールが亜空間の中から取り出した素材の査定を終了。

そして、買取額をリーダーであるティールに渡す。

(……さすがに、壮観だな)

比較的小さなボードの上に置かれた硬貨は、殆どが白金貨。
その数、確実に五十枚は越えている。
加えて……金貨と同じぐらい、ちょこんと置かれてある……黒曜金貨。

「ありがとうございます」

今回の買取額で、ガルダンデードの冒険者ギルドが一時的に財政難になることはない。
それでも、受付嬢や解体士たちからすれば、まずお目に掛かれない量の硬貨である。

それを……ティールは平然とした表情で受け取り、亜空間の中にしまった。

「……すいません」

「は、はい!!!」

「ガルダンデード、皮鎧を造るのが得意な鍛冶師の方を教えてもらっても良いですか」

「か、かしこまりました! 少々お待ちください!!!」

受付嬢はダッシュで倉庫から出て行き、その辺りの情報に詳しい上司の元へと向かった。

「マスター、新しい物を造るのか?」

「あぁ」

現在ティールとラストが身に付けているのは、リザードマンジェネラルとスカーレットリザードマンの鱗をメインに使用した皮鎧。

二体ともBランクモンスターであり、出来も一級品と呼べる。
まだ買い替えるほど壊れてはいないが、武器と同じく複数持っていて損になるものではない。

「スケイルコングの鱗で新しいのを造ろうと思って。あっ、勿論アキラさんの分も造ってもらいますよ」

「……そうか。ありがたいよ」

アキラとしては、スケイルコングの素材は自分一人で倒したのだから、全て自分の物だ!!!! と主張する気はサラサラない。

寧ろ、あぁいった強敵と戦わせてくれたティールやラストに感謝している。
なので、新しい装備などはジラーニに滞在している際にウェルバンという鍛冶師に造ってもらった、緋焔で十分だった。

ただ、そう伝えれば必ずスケイルコングはアキラが一人で討伐したモンスターだから、ということを主張される。
パーティーのリーダーがティールということもあり、アキラはここで遠慮しても本当に意味がないと学習し、素直にリーダーの善意を受け取ることにした。

「アキラさんは、やっぱり皮鎧じゃなくて服タイプの防具が良いですか?」

「そうだね………………新しい服か、鎖帷子か……手甲や脚甲か……悩むところだね」

スケイルコングは非常に巨体なモンスターであるため、鱗は三人で使っても十分足りる量がある。

値段は張るものの、職人に頼めばしっかり鱗を専用の材質に変換出来る。

「あっ、そういえばメデューサの素材を使ってポーションを造ってもらわないと」

「…………マスター。メデューサの素材を使用して何かしらのマジックアイテムを造れば、石化対策のマジックアイテムを造ってもらえるのではないか?」

「あぁ~~……どうなんだろ。確かに、その方が早いか……でも、一応ポーションはポーションでほしいし」

「お待たせしました!!!!」

倉庫から出て行ってから、五分以上かけ……ようやく戻ってきた受付嬢。
彼女手には、何故か一つ封筒が握られていた。

「こ、こちらが紹介状になります」

「紹介状? そんなに気難しい人なんですか?」

「い、いえ。そういう訳ではないのですが、その……こういった物があったほうが、やり取りがスムーズにいくと思いまして」

「そうですか……わざわざありがとうございます」

まさかの対応に、ティールは素直に感謝の言葉を伝え、頭を下げる。

「い、いえいえ!! こちらが勝手に用意しただけですので」

本当に、冒険者ギルドが勝手に用意しただけである。
理由としては……万が一にも職人がティールたちと衝突し、問題が起きないようにするため。

爆発物……ではないが、冒険者ギルドにとってティールは貴重で重要な戦力だが、それと同時に不安材料でもあった。
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