769 / 833
新し物
しおりを挟む
「お、お待たせしました」
受付嬢がティールたちにあれこれ質問を行っている間に、なんとかギルド職員たちはティールが亜空間の中から取り出した素材の査定を終了。
そして、買取額をリーダーであるティールに渡す。
(……さすがに、壮観だな)
比較的小さなボードの上に置かれた硬貨は、殆どが白金貨。
その数、確実に五十枚は越えている。
加えて……金貨と同じぐらい、ちょこんと置かれてある……黒曜金貨。
「ありがとうございます」
今回の買取額で、ガルダンデードの冒険者ギルドが一時的に財政難になることはない。
それでも、受付嬢や解体士たちからすれば、まずお目に掛かれない量の硬貨である。
それを……ティールは平然とした表情で受け取り、亜空間の中にしまった。
「……すいません」
「は、はい!!!」
「ガルダンデード、皮鎧を造るのが得意な鍛冶師の方を教えてもらっても良いですか」
「か、かしこまりました! 少々お待ちください!!!」
受付嬢はダッシュで倉庫から出て行き、その辺りの情報に詳しい上司の元へと向かった。
「マスター、新しい物を造るのか?」
「あぁ」
現在ティールとラストが身に付けているのは、リザードマンジェネラルとスカーレットリザードマンの鱗をメインに使用した皮鎧。
二体ともBランクモンスターであり、出来も一級品と呼べる。
まだ買い替えるほど壊れてはいないが、武器と同じく複数持っていて損になるものではない。
「スケイルコングの鱗で新しいのを造ろうと思って。あっ、勿論アキラさんの分も造ってもらいますよ」
「……そうか。ありがたいよ」
アキラとしては、スケイルコングの素材は自分一人で倒したのだから、全て自分の物だ!!!! と主張する気はサラサラない。
寧ろ、あぁいった強敵と戦わせてくれたティールやラストに感謝している。
なので、新しい装備などはジラーニに滞在している際にウェルバンという鍛冶師に造ってもらった、緋焔で十分だった。
ただ、そう伝えれば必ずスケイルコングはアキラが一人で討伐したモンスターだから、ということを主張される。
パーティーのリーダーがティールということもあり、アキラはここで遠慮しても本当に意味がないと学習し、素直にリーダーの善意を受け取ることにした。
「アキラさんは、やっぱり皮鎧じゃなくて服タイプの防具が良いですか?」
「そうだね………………新しい服か、鎖帷子か……手甲や脚甲か……悩むところだね」
スケイルコングは非常に巨体なモンスターであるため、鱗は三人で使っても十分足りる量がある。
値段は張るものの、職人に頼めばしっかり鱗を専用の材質に変換出来る。
「あっ、そういえばメデューサの素材を使ってポーションを造ってもらわないと」
「…………マスター。メデューサの素材を使用して何かしらのマジックアイテムを造れば、石化対策のマジックアイテムを造ってもらえるのではないか?」
「あぁ~~……どうなんだろ。確かに、その方が早いか……でも、一応ポーションはポーションでほしいし」
「お待たせしました!!!!」
倉庫から出て行ってから、五分以上かけ……ようやく戻ってきた受付嬢。
彼女手には、何故か一つ封筒が握られていた。
「こ、こちらが紹介状になります」
「紹介状? そんなに気難しい人なんですか?」
「い、いえ。そういう訳ではないのですが、その……こういった物があったほうが、やり取りがスムーズにいくと思いまして」
「そうですか……わざわざありがとうございます」
まさかの対応に、ティールは素直に感謝の言葉を伝え、頭を下げる。
「い、いえいえ!! こちらが勝手に用意しただけですので」
本当に、冒険者ギルドが勝手に用意しただけである。
理由としては……万が一にも職人がティールたちと衝突し、問題が起きないようにするため。
爆発物……ではないが、冒険者ギルドにとってティールは貴重で重要な戦力だが、それと同時に不安材料でもあった。
受付嬢がティールたちにあれこれ質問を行っている間に、なんとかギルド職員たちはティールが亜空間の中から取り出した素材の査定を終了。
そして、買取額をリーダーであるティールに渡す。
(……さすがに、壮観だな)
比較的小さなボードの上に置かれた硬貨は、殆どが白金貨。
その数、確実に五十枚は越えている。
加えて……金貨と同じぐらい、ちょこんと置かれてある……黒曜金貨。
「ありがとうございます」
今回の買取額で、ガルダンデードの冒険者ギルドが一時的に財政難になることはない。
それでも、受付嬢や解体士たちからすれば、まずお目に掛かれない量の硬貨である。
それを……ティールは平然とした表情で受け取り、亜空間の中にしまった。
「……すいません」
「は、はい!!!」
「ガルダンデード、皮鎧を造るのが得意な鍛冶師の方を教えてもらっても良いですか」
「か、かしこまりました! 少々お待ちください!!!」
受付嬢はダッシュで倉庫から出て行き、その辺りの情報に詳しい上司の元へと向かった。
「マスター、新しい物を造るのか?」
「あぁ」
現在ティールとラストが身に付けているのは、リザードマンジェネラルとスカーレットリザードマンの鱗をメインに使用した皮鎧。
二体ともBランクモンスターであり、出来も一級品と呼べる。
まだ買い替えるほど壊れてはいないが、武器と同じく複数持っていて損になるものではない。
「スケイルコングの鱗で新しいのを造ろうと思って。あっ、勿論アキラさんの分も造ってもらいますよ」
「……そうか。ありがたいよ」
アキラとしては、スケイルコングの素材は自分一人で倒したのだから、全て自分の物だ!!!! と主張する気はサラサラない。
寧ろ、あぁいった強敵と戦わせてくれたティールやラストに感謝している。
なので、新しい装備などはジラーニに滞在している際にウェルバンという鍛冶師に造ってもらった、緋焔で十分だった。
ただ、そう伝えれば必ずスケイルコングはアキラが一人で討伐したモンスターだから、ということを主張される。
パーティーのリーダーがティールということもあり、アキラはここで遠慮しても本当に意味がないと学習し、素直にリーダーの善意を受け取ることにした。
「アキラさんは、やっぱり皮鎧じゃなくて服タイプの防具が良いですか?」
「そうだね………………新しい服か、鎖帷子か……手甲や脚甲か……悩むところだね」
スケイルコングは非常に巨体なモンスターであるため、鱗は三人で使っても十分足りる量がある。
値段は張るものの、職人に頼めばしっかり鱗を専用の材質に変換出来る。
「あっ、そういえばメデューサの素材を使ってポーションを造ってもらわないと」
「…………マスター。メデューサの素材を使用して何かしらのマジックアイテムを造れば、石化対策のマジックアイテムを造ってもらえるのではないか?」
「あぁ~~……どうなんだろ。確かに、その方が早いか……でも、一応ポーションはポーションでほしいし」
「お待たせしました!!!!」
倉庫から出て行ってから、五分以上かけ……ようやく戻ってきた受付嬢。
彼女手には、何故か一つ封筒が握られていた。
「こ、こちらが紹介状になります」
「紹介状? そんなに気難しい人なんですか?」
「い、いえ。そういう訳ではないのですが、その……こういった物があったほうが、やり取りがスムーズにいくと思いまして」
「そうですか……わざわざありがとうございます」
まさかの対応に、ティールは素直に感謝の言葉を伝え、頭を下げる。
「い、いえいえ!! こちらが勝手に用意しただけですので」
本当に、冒険者ギルドが勝手に用意しただけである。
理由としては……万が一にも職人がティールたちと衝突し、問題が起きないようにするため。
爆発物……ではないが、冒険者ギルドにとってティールは貴重で重要な戦力だが、それと同時に不安材料でもあった。
193
あなたにおすすめの小説
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
灼熱の連撃(ラッシュ)と絶対零度の神速剣:転生した双子のチート令嬢は、その異能で世界を救う
夜詩榮
ファンタジー
あらすじ
現代日本。活発な空手家の娘である姉・一条響と、冷静沈着な剣道部員である妹・一条奏は、突然の交通事故に遭う。意識が薄れる中、二人を迎え入れたのは光を纏う美しい女神・アステルギアだった。女神は二人に異世界での新たな生と、前世の武術を応用した規格外のチート能力を授ける。そして二人は、ヴァイスブルク家の双子の姉妹、リーゼロッテとアウローラとして転生を果たす。
登場人物
主人公
名前(異世界) 名前(前世) 特徴・能力
リーゼロッテ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 響ひびき 双子の姉。前世は活発な空手家の娘で黒帯。負けず嫌い。転生後は長い赤みがかった金髪を持つ。チート能力は、空手を応用した炎の魔法(灼熱の拳)と風の魔法(超速の体術)。考えるより体が動くタイプ。
アウローラ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 奏かなで 双子の妹。前世は冷静沈着な剣道部員。学業優秀。転生後は長い銀色の髪を持つ。チート能力は、剣術を応用した氷/水の魔法(絶対零度の剣)と土の魔法(鉄壁の防御・地形操作)。戦略家で頭脳明晰。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます
初昔 茶ノ介
ファンタジー
代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。
常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。
しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。
そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。
そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。
そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。
これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。
ーーーーーーーー
のんびりと書いていきます。
よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。
〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。
そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。
二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。
やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。
そんな彼女にとっての母の最期は。
「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。
番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる