あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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損ねないように得たい

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「査定、お願いします」

「か、かしこまり、ました」

受付嬢は目の前に並べられている素材の数に、その光景に……思考停止仕掛けていた。

「まだ他にもあるんで、よろしくお願いします」

「………………」

完全に思考が停止した。

ティールが一度の査定で多くの素材を頼み込むことはガルダンデードの冒険者ギルドも把握済み。
そのため、久しぶりにティールが査定に来たということで、数ある倉庫の中でも一番大きな倉庫を用意。

にもかかわらず……素材で地面が一杯になるほどの量が展開された。

「ほ、ほら。ボーっとしないで始めるわよ!」

「っ!!! は、はい!!!」

同僚に声を掛けられ、思考停止状態から復活した受付嬢は早速査定をスタート。

「あ、あの、ティールさん」

「はい、なんでしょうか」

「まだまだ査定の素材があるようですが、その……もしかしてですが、大秘境で野営を行っていたのでしょうか」

目の前にある素材の量。
まだ亜空間に眠っているであろう素材……それらの総量を考えれば、そうとしか考えられない受付嬢。

ただ、それと同時に思うことがある。
本当に三人でファルティナの大秘境で野営を行っていたのかと。

「はい。ここ最近は向こうで野営してました」

「っ!!!!!????? そ……そうなん、ですね」

当然ながら、受付嬢はこれまでティールたちが何体ものBランクモンスターを討伐し、ついにはAランクモンスターをも討伐したという事実を知っている。

実際に戦闘光景を見てはいないが、しっかりと冒険者ギルドにそういった情報が残っている。

そのため、ティールたちが一度に数体のBランクモンスターを討伐した。
Aランクモンスターを討伐したということであれば、驚きはすれど疑問が生まれることはない。

(Aランクモンスターを討伐出来るだけの戦闘力があるのは知ってたけど、戦闘力と探索力って、違うよね……というか、そもそも野営の推奨人数の半分だし……い、良いのかな?)

ガルダンデードの冒険者ギルドがファルティナの大秘境で野営を行う探索に推奨している人数は、最低六人。
平均ラインとしては、八人での探索が好ましい。

これはただ冒険者ギルドが心配性なだけという訳ではなく、冒険者たち……調査隊の隊員たちもそれぐらいの人数で探索しなければ、リスクが高いと判断している。

「えっと、初めてファルティナの大秘境で野営を行ったと思うのですが、どうだったでしょうか」

「そうですね……やっぱり途中途中で起こる眠気が辛かったですね。まぁ、そういうのを気にしてられないほどファルティナの大秘境は刺激が一杯でしたけど」

「マスターの言う通りだな。正直、探索を始めれば自然と眠気が吹き飛んでしまう」

「な、なるほど~~~」

ティールの感想は、一応一般的と言えば一般的な感想。

しかし、ラストに関しては何を言ってるのか全く解らない。

「他の冒険者たちと臨時パーティーを組んで行動していたことがあるから解るが、ティールたちと共に行動しているからこそ、あの地で何日も探索し続けることが出来た。普通のパーティーは、どう考えても真似すべきではない」

「で、ですよね!!!!」

本当に最もな事を口にするアキラに、うんうんと何度も頷きながら同意する受付嬢。

パーティーのうち、本当の意味での常識人がいて良かった安堵する。
しかしそうなると……今度はどのようにして三人という少人数で、数日以上もファルティナの大秘境を探索し続けたのかが気になる。

「その、良ければなんですが、どのようにして探索していたのか教えてもらって良いでしょうか」

ティールは、決して貴族の令息ではない。
ただ……他の冒険者と比べれば、貴族との繋がりがちらほらとある。
そして何より大事なのが、いざという時にAランクモンスターと戦えるだけの、討伐出来るだけの戦闘力を有している事。

それらの要素もあって、情報を得るにしても冒険者ギルドとしては、三人の機嫌を損なわないようにしながら情報を得たい。

「……俺は、結界のスキルを持ってるんですよ」

そこで、ティールは明確に自分の口から、結界という比較的珍しいスキルを持っていることを告げた。

受付嬢としては、それだけで三人にとって野営が他の冒険者たちと比べて難易度が違うことを即把握。

(実際はヴァルがいるから、探索しやすいんだけどな)

頼れる盟友の存在を隠す為なら、自身の手札を一つ晒すぐらい安いものだった。
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