転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百七十八話 生涯頼れる武器を

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「まぁ、そういう訳だから、ちゃんとお前たちに相応しい武器を造るから、もうちょい待っててくれ」

「う、うっす……わ、解りました」

そう告げられ、ジャバたちはやや放心状態で工房から出た。

「……………あれが、えっと……ふ、不出来な作品、なのか?」

「安心しろ、ジャバ。私も同じ気持ちだ」

彼だけではなく、ハリアルも正直なところ……ソウスケたちが何を言っているのか解らなかった。

「お、おぅ、そうか。そりゃ良かったぜ…………良いん、だよな?」

「物凄く困る内容ね」

ネイトとしても、ミレアナが自分の為に造ってくれた杖を直ぐに実戦で使いたかった。
そう思えるほどの衝撃と感謝を覚えたのだが、製作者が納得いっていないということもあり、受け取ることは出来なかった。

「……どうして、ダメなんだろう」

ヨルカが口にした通り、全員ソウスケたちが作り上げてくれた武器の何がダメなのか解らなかった。

当然、彼女たちはあれらの武器にBランクドラゴンの素材が使用されていることを忘れてはいない。
それを考慮した上で、製作者たちにどこに不満点があるのか心底解らない。

「ぶっちゃけ、あれだけ良い武器を直ぐに使いこなせる自信はないしさ~~。今の私たちには過ぎた部分があるよね~~」

「そうですね。あれらの武器の使い手となるなら、もっと精進しなければと思いました」

「過ぎた部分……精進……………………」

「? どうかしましたか、ノックス」

アスレアに言葉を掛けられても、深く考え込んだままのノックス。

「ノックス。おい……ノックス!!!!」

「っ!!!??? な、なんだ、ジャバ」

「いや、声掛けても反応がなかったからよ。いったい何をそんなに考え込んでんだ?」

「あ、あぁ、それか。ナディーの過ぎた部分や、アスレアのもっと精進しなければ、っていう言葉が引っ掛かってさ」

「あぁ~~~~……ぶっちゃけ俺も二人と似た様な感覚だったけど、お前は割と直ぐに扱えそうだったんか?」

ジャバはノックスの実力、才能は認めている。
それでも、ノックスの為にソウスケが造ったロングソードたちを、直ぐに完璧に使いこなせるとは思えなかった。

「いや、そんな事はないよ僕も二人の感覚に同意なんだけど……武器ってさ、普通は使い手の技量に合わせて造るものなんじゃないかな」

「そりゃあ…………そりゃあ、確かにそうだな」

言われてみればノックスの言う通りであり、六人は一度高まっていたテンションが落ち着き、常識を思い出す。

「Bランクモンスターの素材を使ってるなら、当然僕たちの技量を上回る質の武器が造られてもおかしくない……実際に造られたわけだしね」

「けど、ソウスケさんたちは納得してなかったよね~~~」

「そう、そこなんだよ」

ノックスが気になった部分はそこだった。
ソウスケたちがその点を理解していないとは思えない。

なのに、どうしてあれ以上の武器を造ろうとしているのか。

「これは俺の推察だけど、ソウスケさんたちは……俺たちが今よりも、もっともっと成長した時に得られる実力を想定して造ろうとしてるんじゃないかな」

「もっともっと成長した時ってなると…………俺らが学園を卒業して五年とか……もしくは十年経った時、ってことか?」

「多分ね。ソウスケさん達は、生涯俺たちを支えるであろう武器を造ろうとしてくれてるんじゃないかと思うんだ」

「生涯、支えてくれる武器、か……」

武器とは、消耗品である。

これからソウスケたちが造る武器も、この先ノックスたちが前に前に進み続け、強敵と激闘を演じ続ければ……どこかで砕けてもおかしくない。

それはソウスケたちも理解している。
理解した上で……彼らは、ジャバたちが生涯頼れると思える相棒を造ろうとしていた。

そんな臨時教師の思いを感じ取り、深い感動を受ける。
ただ……それと同時に、あることに気付いてしまった。
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