転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百七十七話 何を言ってるの?

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「ちょっと見てほしい物があるんだ」

ノックスたちにそう告げるソウスケ。

臨時教師から告げられた言葉を聞き、一気にテンションが上がるノックスたち。
ソウスケが鍛冶ギルドから借りている工房に到着すると、彼は亜空間から幾つものロングソードや大剣、杖などをテーブルの上に並べた。

「とりあえず見てくれ」

「「「「「「「は、はい!!!」」」」」」」

緊張した表情を浮かべながら自分たちの為に造られた武器を眺め、恐る恐るソウスケたちに許可を取りながら実際に手に取り、感触を確かめる。

(っっ……確かな、力強さを感じる)

(凄ぇ…………これなら、マジで大剣の二刀流が出来そうだぜ)

(…………不可能ではないと解っていたが、これなら細剣と短剣の二刀流が……こちらの細剣は…………これまで触れてきた細剣の中で……一番、頼もしいと感じるな)

(っっっっっ!!!!! すっ、ごい!!!! これを振り回す自分の姿が、物凄くイメージ出来るっ!!!!)

(……この斧なら、なんでも……斬れそう)

(これが、私の……私だけの弓…………っ、感動で、涙が零れそうですわ)

(凄い……これだけの杖が造れて、あれだけ戦えるなんて……本当に、この人たちと出会えた幸運に感謝ね)

声に出したら迷惑を掛けてしまいそうという思いがあって、全員心の内で喜びを全開にしていた。

「どうだ、良い感じか?」

「は、はい!!! 勿論です!!!!」

「おぅよ!!!! 今すぐにでもモンスターをぶった斬りたくなるぜ」

ノックスやジャバだけではなく、全員が同じ様な反応であるため、ソウスケは一先ず安心した。

「そうか、それは良かった。それじゃあ、出来上がらなかった時には一応使えるな」

「「「「「「「…………???」」」」」」」

七人はソウスケが何を言ってるのか、ちょっとよく解らなかった。

「えっと……ソウスケさん」

「おぅ、なんだ。ノックス」

「そ、その……今ここにある物が、俺たちに造ってくれた武器の数々、なんですよね?」

「ん? あぁ、一応な」

「…………その、一応というのは?」

「まだ確定って訳じゃないってことだ」

「「「「「「「…………???」」」」」」」

やはりノックスたちは、ソウスケが何を言ってるのかちょっとよく解らなかった。

一応で、まだ確定ではない……というのは、どういう事だと。

「そ、ソウスケさんよ。確定じゃないってのは、どういう事なんだ?」

「言葉通りだよ。俺たちとしては、この武器の出来に納得いってないんだ」

「そうなん、すね」

なるほど~~~、としか言えないジャバ。

彼からすれば、ザハークが造ってくれた大剣に不満など無く、寧ろ「この大剣に見合う実力を身に付けねぇと!!!!!」という気合が注入されていた。

しかし、チラリとザハークの方に顔を向けると、ザハークは至って真面目な表情で小さく頷いた。

(ま、マジかよ……こ、これで、まだ納得がいっていないって……鍛冶の世界って、そんなに厳しいのか?)

出来上がった武器を扱う側の人間であるため、解らないのは当然だとジャバも一応解っている。
解ってはいるが…………それでも、自分たちの実力と照らし合わせた上で、これほどの武器で百点の質ではないのかと、衝撃を隠せなかった。

「だから、これからまだまだ造るつもりなんだけど……ほら、ジャバたちは学生なんだから、単位ってあるだろ」

「うっ!!! ……そ、そうっすね」

実際のところ、今回の課外授業にはそれなりの長期課外授業の時間が確保されていた。
加えて……ジャバたちは本当に多くのモンスターと戦った。

リザードやワイバーンといった亜竜だけではなく、いずれ戦うはずだった……本来であれば学生の身ということを考えれば戦うことはなかったであろうBランクモンスターと戦った……何度も戦った。

そのため、良質なレポートが何枚も溜まっている。
リザードたちの戦闘に関しても、これまでの戦闘と比べての変化なども記しているため、きっちりレポートとして認定される。

それらレポート内容を考えればいくらか融通される……だが、それでも限度がある。

「だから、それまでに俺たちが納得のいかない武器を造れなかった場合の予備? を確認しておいてほしかったんだよ」

「なるほど……そうなんすね」

ソウスケたちが何を考えてるのか理解は出来た。
ただ、テーブルの上に置かれた数々の武器にどういった不満があるのか……これだけは理解出来なかった。
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