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千百七十六話 先を見据えて
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「…………不十分、ですね」
現在ミレアナの前には、二つの杖と弓があった。
それはアスレア、ネイトの為に造った武器。
どの杖も弓も質は高く、学生である二人が持つには過ぎた武器……と思われてもおかしくないが、それでもミレアナからすればナシであった。
ミレアナとしても、それなりに質の高い杖と弓を造れたとは思う。
しかし、二人の成長を傍で見てきた。
確かに今の二人にとっては、武器の方が上に思われるかもしれない。
それでも、見合う実力者になるのは時間の問題……というのがミレアナの見解だった。
そして、二人であればこれから更に経験を積み重ね、更にその先を行く。
(良い武器が出来た……それでは、いけない。今の私が……全てを出し切ったと言える物でなければ)
ミレアナは、ソウスケとザハークに比べれば、自分の製作者としての腕は劣っていると認識している。
そのため、二人は必ずノックスたちに相応しい武器を造り上げる。
そう断言出来る自信がある……しかし、自分の力量にはアスレアに相応しい弓を、ネイトに相応しい杖を造り上げられるという自信がない。
(あの子たちは、何度も頑張った。何度も乗り越えた……であれば、私も乗り越えなければならない)
呼吸を整え、再度Bランクドラゴンの素材に手を伸ばし、作業に取り掛かった。
「ん~~~~~…………いまいち、だな」
二人は絶対に学生たちに見合う最高の得物を造り上げると信じていたミレアナだが……ソウスケはソウスケで、中々納得のいく物が造れていなかった。
「ふむ。少し視せてもらっても良いか」
「勿論」
「……………………そうだな。少し、足りないと感じるな」
基本的に自分より腕が上だからという理由もあり、ソウスケが造り上げた得物にケチをつけることはない。
だが、ノックスの為に造り上げたロングソードが、未来のノックスが振るうには……やや物足りないと感じた。
「だよな~~~」
二人もミレアナと同じく今の七人ではなく、これから七人が成長しても使い続けられる、頼り続けられる武器を造ろうとしている。
二人のノックスたちが成長したイメージは殆ど共有出来ており、ソウスケは自身も同じ事を感じているため、ザハークの感想にムッとすることはなかった。
「ソウスケさん、俺の大剣も視てほしい」
「おぅ………………ん~~~~……全然悪くない。悪くないんだけど……これだと、パワーに寄り過ぎてるかな」
「ふぅーー、やはりそうか」
ザハークが今回造った大剣は、大剣ではあるが柔軟な戦い方が出来る大剣。
そもそも大剣という武器の性質上、どうなんだと突っ込まれそうだが、ザハークはジャバと色々と話し合った結果……造ると決めた。
パワー寄り……というより、パワーに全振りした大剣はそれはそれで造るため、今回出来上がった大剣はザハーク的にナシだった。
(これ以上ノックスたちを長居させるのはあれだし……俺とザハークも、もう少し緊張感を持たないとな)
一応、ノックスたちはまだ学生であり、長期休みの期間中というわけでもない。
ハリアルたちは逆に絶好の機会だからこそ、もっとレイウルに……ソウスケたちの元に居たいと思っているが、現実問題としてそういう訳にはいかない。
ナディーたちをソウスケたちの元に送り出したのはレイヤーズ学園だが、それはそれとしてあまりレイウルに滞在している期間が長くなると、単位に関わってくる。
単位に関わってくるという事は……最終的に、卒業に関わってくることになる。
(……出来れば、前提は崩したくないからな)
ソウスケは、ヨルカたちが討伐したドラゴンの素材で、彼らの武器を造ると決めている。
併用して使う鉱石に関しては自分たちの裁量で変えられるが、メインとなるモンスターの素材に関しては前提を変えたくない。
というわけで、使用すれば質の問題関して解決出来るAランクモンスターの素材は使いたくない。
ついでに言うと、ザハークはまだAランクモンスターの素材を扱いきれる自信がない。
「……っ!!!!!!! っし……気合れてもう一回造るぞ」
「…………っ!!!!!!!!!!! あぁ、そうだな」
ソウスケの真似をし、両頬を叩いて気合を入れるザハーク。
文字通り気合は入ったが……力の調節を間違え、頬にくっきりと痕が残った。
現在ミレアナの前には、二つの杖と弓があった。
それはアスレア、ネイトの為に造った武器。
どの杖も弓も質は高く、学生である二人が持つには過ぎた武器……と思われてもおかしくないが、それでもミレアナからすればナシであった。
ミレアナとしても、それなりに質の高い杖と弓を造れたとは思う。
しかし、二人の成長を傍で見てきた。
確かに今の二人にとっては、武器の方が上に思われるかもしれない。
それでも、見合う実力者になるのは時間の問題……というのがミレアナの見解だった。
そして、二人であればこれから更に経験を積み重ね、更にその先を行く。
(良い武器が出来た……それでは、いけない。今の私が……全てを出し切ったと言える物でなければ)
ミレアナは、ソウスケとザハークに比べれば、自分の製作者としての腕は劣っていると認識している。
そのため、二人は必ずノックスたちに相応しい武器を造り上げる。
そう断言出来る自信がある……しかし、自分の力量にはアスレアに相応しい弓を、ネイトに相応しい杖を造り上げられるという自信がない。
(あの子たちは、何度も頑張った。何度も乗り越えた……であれば、私も乗り越えなければならない)
呼吸を整え、再度Bランクドラゴンの素材に手を伸ばし、作業に取り掛かった。
「ん~~~~~…………いまいち、だな」
二人は絶対に学生たちに見合う最高の得物を造り上げると信じていたミレアナだが……ソウスケはソウスケで、中々納得のいく物が造れていなかった。
「ふむ。少し視せてもらっても良いか」
「勿論」
「……………………そうだな。少し、足りないと感じるな」
基本的に自分より腕が上だからという理由もあり、ソウスケが造り上げた得物にケチをつけることはない。
だが、ノックスの為に造り上げたロングソードが、未来のノックスが振るうには……やや物足りないと感じた。
「だよな~~~」
二人もミレアナと同じく今の七人ではなく、これから七人が成長しても使い続けられる、頼り続けられる武器を造ろうとしている。
二人のノックスたちが成長したイメージは殆ど共有出来ており、ソウスケは自身も同じ事を感じているため、ザハークの感想にムッとすることはなかった。
「ソウスケさん、俺の大剣も視てほしい」
「おぅ………………ん~~~~……全然悪くない。悪くないんだけど……これだと、パワーに寄り過ぎてるかな」
「ふぅーー、やはりそうか」
ザハークが今回造った大剣は、大剣ではあるが柔軟な戦い方が出来る大剣。
そもそも大剣という武器の性質上、どうなんだと突っ込まれそうだが、ザハークはジャバと色々と話し合った結果……造ると決めた。
パワー寄り……というより、パワーに全振りした大剣はそれはそれで造るため、今回出来上がった大剣はザハーク的にナシだった。
(これ以上ノックスたちを長居させるのはあれだし……俺とザハークも、もう少し緊張感を持たないとな)
一応、ノックスたちはまだ学生であり、長期休みの期間中というわけでもない。
ハリアルたちは逆に絶好の機会だからこそ、もっとレイウルに……ソウスケたちの元に居たいと思っているが、現実問題としてそういう訳にはいかない。
ナディーたちをソウスケたちの元に送り出したのはレイヤーズ学園だが、それはそれとしてあまりレイウルに滞在している期間が長くなると、単位に関わってくる。
単位に関わってくるという事は……最終的に、卒業に関わってくることになる。
(……出来れば、前提は崩したくないからな)
ソウスケは、ヨルカたちが討伐したドラゴンの素材で、彼らの武器を造ると決めている。
併用して使う鉱石に関しては自分たちの裁量で変えられるが、メインとなるモンスターの素材に関しては前提を変えたくない。
というわけで、使用すれば質の問題関して解決出来るAランクモンスターの素材は使いたくない。
ついでに言うと、ザハークはまだAランクモンスターの素材を扱いきれる自信がない。
「……っ!!!!!!! っし……気合れてもう一回造るぞ」
「…………っ!!!!!!!!!!! あぁ、そうだな」
ソウスケの真似をし、両頬を叩いて気合を入れるザハーク。
文字通り気合は入ったが……力の調節を間違え、頬にくっきりと痕が残った。
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