転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百八十一話　起爆剤ではあるけども

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「ベルダさん、そいつらがレイヤーズ学園の学生ですか」

「あぁ、その通りだ」

姿を現した学生たちには……多少なりともバラつきはあるが、実力者であることに違いはない。

そして、全員ややノックスたちに向ける視線が鋭い。

「はぁ～～～～～～。お前ら、言っておくが彼らはあのソウスケたちの教え子だぞ」

「「「「「「っっ！！！」」」」」

「それで、私にとって彼らは恩人に近い存在だ……何を言いたいのか理解出来るな」

渋々といった表情で頷く若手冒険者たち。

彼らからすれば学園に通える者たちは坊ちゃん嬢ちゃんというイメージが強い。
確かにハリアルとヨルカ、ネイトの三人は貴族の令息、令嬢ではある。

だが、他四人は平民出身。
彼らの理屈でいくなら、全員を敵視するのは違う。

（全く……まぁ、その反骨心や嫉妬が強くなる要因になってるんだろうけど、さすがに今回は止めてくれよ）

そもそもレイヤーズ学園の学生というだけで、面倒な問題事は起こしたくない。

そして、ベルダはノックスたちの事を見て既に確信していた。
彼らから挑発するような発言をして、問題の要因になることはない。

問題に発展するとすれば、自分が所属するクランのメンバーが下らない事を言って、彼らの怒りを買ってしまう流れだけ。

「軽く体を動かした後、適当な相手と模擬戦を行ってくれ」

「はい、ありがとうございます」

ベルダに礼を告げると、ノックスたちは真面目に体を暖め始めた。

「っ……ふぅーーーー」

そんな彼らの動きを見て、鳳凰牙の若手冒険者たちの眼の色が変わる。

学園というぬるま湯に浸かっていたいる坊ちゃん嬢ちゃんたち……そんな思いはあっさりと覆された。
真剣に取り組まなければ、自分たちが負ける可能性が大いにあると感じ取り、彼らも真剣に体を動かし始めた。

（……とりあえず、拳骨を落さずには済みそうだな）

ノックスたちに喧嘩を売るような真似はしない。
それはそれで大事な事ではあるが、ジャバたちの準備運動を行う姿を見て、自分たちの想像通りの人物ではないと……嘗めてかかったらあっさり負けてしまう。

それを認識出来なければ、あまりにも勘が鈍っているか、どうせ学園に通っている連中は、というフィルターが厚過ぎるため、拳骨を落さなければらなかった。

そして全員体を暖め終わり、各々対戦相手を決めていき、模擬戦が開始された。

「よぅ、なんか面白そうなことになってんな」

ふらっと訓練場に現れ、ベルダに声を掛けて来た豹人族の男。

「ジャゼルか……随分とぐっすり寝てたんだな」

「昨日帰ってきたばっかりだったからな。そりゃぐっすり寝るだろ。んで、あんまり見たことがない顔があるけど、入団希望者か？」

「さぁ、それはどうだろうな。最終的にそうなれば良いかもしれないが、少なくとも今はそうではない」

「？？？？　んじゃあ、あの子たちはなんなんだよ」

「レイヤーズ学園の学生で、今はソウスケたちの教え子だ」

「ソウスケって、あのソウスケたちか！？」

ノックスたちのことは知らずとも、さすがにソウスケの事は知っていたジャゼル。

「そう、そのソウスケたち」

「ほ～～～ん……そんなら、全然あいつらが負けてもおかしくなさそうだな。あれだろ、ソウスケたちって割と指導系の依頼を受けてるんだろ」

「みたいだな」

既にソウスケたちがレイウルに来てからそれなりに長く、前に情報を集めるタイプの冒険者たちはソウスケに関する情報をちょこちょこ集めていた。

ジャゼルもその一人であり、ソウスケに教育者としての一面があることを知っていた。

「因みにだが、あの子たちは既にBランクドラゴンを討伐してるらしい」

「……………それは、ソウスケたちが手伝ったから、とかじゃなくか？」

「ソウスケたちは少し離れた場所で邪魔にならないように見張りをしていただけらしい」

「な、る、ほ。どぉ………………うん、そりゃ良いな」

ジャゼルは不敵な笑みを浮かべながら、クランメンバーと学生たちが行ている模擬戦へ眼を向け、その光景を楽しむのだった。

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