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千百八十三話 仲間であり、家族でもある
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(あちゃ~~~~~、こりゃ割とヤバいな)
ジャゼルは目の前の光景から眼を背けることはなく、冷静に受け入れつつも……それでもヤバいと思わざるを得なかった。
その理由は……後輩たちがレイヤーズ学園の学生たちと模擬戦を行い、結果として全敗してしまった。
圧倒的な敗北という訳ではなく、寧ろどの模擬戦もある程度競っていたのだが、それでも鳳凰牙の若手冒険者たちが全敗してしまった事実は変わらない。
(正直、対人戦技術にはそこまで差はないと思ってたんだけどなぁ……偶然、全敗になることはねぇ)
今回の模擬戦に参加した若手冒険者たちの中には、Cランクモンスターであるワイバーンやリザードマンをソロで討伐出来る実力者もいる。
そのため、ジャゼルとしては身体能力に大きな差はない……寧ろ、自分の後輩たちの方が上ではないかと思っていた。
だが、実際のところそんなことはなく、寧ろ一部の学生には明確に上をいかれていた。
「ソウスケの話では、彼らは七人でBランクドラゴンを討伐した経験があるらしいぞ」
「…………それは、あれだよな。ソウスケがあの子たちの臨時教師になってる間に、ってことだよな?」
「あぁ、そういう事らしい」
「……バカなんじゃねぇのか?」
「…………無茶なことではあるな」
バカな行為とストレートな表現に同意することはなかったが、それでもベルダとしても無茶な行動だとは思えた。
「しかも、討伐したのは一体だけじゃなく、既に五体以上討伐した経験があるらしい」
「っっっっ…………はぁ~~~~~~~、そりゃ無理だな。うん……次の模擬戦も、あまり結果は変わらなさそうだな」
なるべく後輩たちに聞き取られないよう、小さな声で呟くジャゼル。
彼としては、後輩たちと学生たちの間に、そこまで大きな差はないと思っていた。
実際に一方的に後輩たちが負ける模擬戦はなかった。
紙一重の差で負けてしまった模擬戦もあるのだが……その差は紙一重ではなく、分厚い差だったのだと思い知らされた。
(そうなると、あいつらと学生たちとじゃあ、乗り越えてきた壁の差が大きい…………俺たちが、慎重に育て過ぎたか?)
クランとしては、入団を許可したイコール、見込みがあるという認識。
そのため、当然ながらなるべく死なせたくない。
クランという組織の性質上、パーティーよりも仲間という認識が強まり、人によっては家族に近い認識を持つ。
それもあって、愛情深いタイプの先輩はやや後輩を大切に育て過ぎてしまう傾向がある。
実際のところ、ジャゼルは愛が深すぎるタイプではないが、チャラけた見た目に反し、面倒見の良いところがある。
「ベルダ、そろそろあいつらに経験させるべきだと思うか?」
「……次に進みたいという意志が強いなら、ひとまず対峙させるべきだろう。勝てるか負けるかは別問題としてな」
「負けそうになったら、俺らが助ければ良いと」
「実際にソウスケたちはそういった手段を取っていたらしい。とはいえ、彼らは戦闘に関しては一度もソウスケたちの力を借りるずにBランクドラゴンたちを討伐したらしいがな」
「そりゃなんとも……あれか、黄金世代ってやつらか?」
「学園側がどういった認識を持っているのかは解らないが、間違いなくそう呼べる者たちだろう」
正直なところ、ベルダとしても彼らが学園を卒業する際、自分たちのクランを就職先候補として考えておいてほしいと思っていた。
「どうするんだ?」
「後々、声を掛けるのは構わないだろう。ただ、強引に行うのはダメだ」
「一時の間とは言え、ソウスケの教え子になったから、か…………ふっ、そうだなその判断は正しいだろうな」
情報をマメに集めているジャゼルは、エイリスト王国で活動する一部の冒険者や騎士たちが、あの戦争は最悪……ソウスケたちだけで終わらせられていたかもしれない、と口にしている。
(今回のソウスケが水龍をソロで討伐した話と重ね合わせれば、さすがに尾ひれがつき過ぎとも思えねぇ……そう考えると、ジブラはある意味大物だよな~~~)
ソウスケの実力を正確に把握すればするほど、その怪物に喧嘩を売ったジブラの評価がある意味上がっていく。
ジャゼルは目の前の光景から眼を背けることはなく、冷静に受け入れつつも……それでもヤバいと思わざるを得なかった。
その理由は……後輩たちがレイヤーズ学園の学生たちと模擬戦を行い、結果として全敗してしまった。
圧倒的な敗北という訳ではなく、寧ろどの模擬戦もある程度競っていたのだが、それでも鳳凰牙の若手冒険者たちが全敗してしまった事実は変わらない。
(正直、対人戦技術にはそこまで差はないと思ってたんだけどなぁ……偶然、全敗になることはねぇ)
今回の模擬戦に参加した若手冒険者たちの中には、Cランクモンスターであるワイバーンやリザードマンをソロで討伐出来る実力者もいる。
そのため、ジャゼルとしては身体能力に大きな差はない……寧ろ、自分の後輩たちの方が上ではないかと思っていた。
だが、実際のところそんなことはなく、寧ろ一部の学生には明確に上をいかれていた。
「ソウスケの話では、彼らは七人でBランクドラゴンを討伐した経験があるらしいぞ」
「…………それは、あれだよな。ソウスケがあの子たちの臨時教師になってる間に、ってことだよな?」
「あぁ、そういう事らしい」
「……バカなんじゃねぇのか?」
「…………無茶なことではあるな」
バカな行為とストレートな表現に同意することはなかったが、それでもベルダとしても無茶な行動だとは思えた。
「しかも、討伐したのは一体だけじゃなく、既に五体以上討伐した経験があるらしい」
「っっっっ…………はぁ~~~~~~~、そりゃ無理だな。うん……次の模擬戦も、あまり結果は変わらなさそうだな」
なるべく後輩たちに聞き取られないよう、小さな声で呟くジャゼル。
彼としては、後輩たちと学生たちの間に、そこまで大きな差はないと思っていた。
実際に一方的に後輩たちが負ける模擬戦はなかった。
紙一重の差で負けてしまった模擬戦もあるのだが……その差は紙一重ではなく、分厚い差だったのだと思い知らされた。
(そうなると、あいつらと学生たちとじゃあ、乗り越えてきた壁の差が大きい…………俺たちが、慎重に育て過ぎたか?)
クランとしては、入団を許可したイコール、見込みがあるという認識。
そのため、当然ながらなるべく死なせたくない。
クランという組織の性質上、パーティーよりも仲間という認識が強まり、人によっては家族に近い認識を持つ。
それもあって、愛情深いタイプの先輩はやや後輩を大切に育て過ぎてしまう傾向がある。
実際のところ、ジャゼルは愛が深すぎるタイプではないが、チャラけた見た目に反し、面倒見の良いところがある。
「ベルダ、そろそろあいつらに経験させるべきだと思うか?」
「……次に進みたいという意志が強いなら、ひとまず対峙させるべきだろう。勝てるか負けるかは別問題としてな」
「負けそうになったら、俺らが助ければ良いと」
「実際にソウスケたちはそういった手段を取っていたらしい。とはいえ、彼らは戦闘に関しては一度もソウスケたちの力を借りるずにBランクドラゴンたちを討伐したらしいがな」
「そりゃなんとも……あれか、黄金世代ってやつらか?」
「学園側がどういった認識を持っているのかは解らないが、間違いなくそう呼べる者たちだろう」
正直なところ、ベルダとしても彼らが学園を卒業する際、自分たちのクランを就職先候補として考えておいてほしいと思っていた。
「どうするんだ?」
「後々、声を掛けるのは構わないだろう。ただ、強引に行うのはダメだ」
「一時の間とは言え、ソウスケの教え子になったから、か…………ふっ、そうだなその判断は正しいだろうな」
情報をマメに集めているジャゼルは、エイリスト王国で活動する一部の冒険者や騎士たちが、あの戦争は最悪……ソウスケたちだけで終わらせられていたかもしれない、と口にしている。
(今回のソウスケが水龍をソロで討伐した話と重ね合わせれば、さすがに尾ひれがつき過ぎとも思えねぇ……そう考えると、ジブラはある意味大物だよな~~~)
ソウスケの実力を正確に把握すればするほど、その怪物に喧嘩を売ったジブラの評価がある意味上がっていく。
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