転移したらダンジョンの下層だった

十六話・・・・・・安いな

ソウスケは目を覚ましたアガレス達のパーティーの盗賊、ケイと挨拶してからまったり亭というアガレス達がいつも使っている宿屋に向かった。

店に入ってからソウスケは宿の様子を見て悪くないと感じ、ここに留まろうと思った。
そして説明を受けた基本的に一泊銅貨二十枚。朝、昼、晩飯付きだとプラス銅貨五枚。

この世界の金を元の世界に直すと・・・・・・

鉄貨百枚・・・銅貨一枚　
百円

銅貨百枚・・・銀貨一枚
一万円

銀貨百枚・・・金貨一枚
百万円

金貨百枚・・・白金貨一枚
一億円

白金貨百枚・・・黒曜金貨一枚
百億円

といった感じになる。
それを考えると宿泊代、食費ともに元の世界と比べて安いとソウスケは思った。

(一泊前いた世界だと二千円か・・・・・・断然安いな。カプセルホテルより安いか？　飯代もその日のメイン料理が五百円、冒険者の駆け出しになったばかりの奴たちにはありがたいだろうな。アガレス達がここに泊まっているのも納得だな）

店の中は西部劇で見る酒場のような感じになっている。
ソウスケは、そういった所に行ったことはないので珍しく感じ、つい辺りをきょろきょろと見回してしまった。
まだ日は完全に落ちていないが、客がそこそこ集まりだしていた。

「ほらソウスケ、こっちに座りなさいよ」

「ああ、わかった」

五人で丸いテーブルを囲うように座り、近くにいた店員さんにケイが今日のメイン料理を頼んだ。

「すいませーーん。今日のメイン料理五人分お願いします。後、エールも五人分お願いします」

「わかりました！！」

ケイが頼んだ注文の中にエールという言葉があったのを聞いてソウスケはそれが何なのか少し考えた。

(エール、エール、エール？　応援なわけはないから・・・・・・・・・・・・ああ、ビールみたいな飲み物をこの世界ではそう言うんだったな。んん～～～～、俺に飲めるかな？　確か酒を飲んでも酔っぱらわないかどうかみたいな検査をしたときは全然大丈夫だったけど、というかまだ皆も未成年だよな？　いや、単純にこの世界で成人と認められる年齢が低いのか？　まぁ、それか基本は自己責任のどちらかだろうな）

ソウスケの考える通りこの世界では基本的に、十二歳を超えると成人扱いされる。ソウスケがいた世界より八年も早い。勿論、酒を飲むことも、冒険者登録をすることも十二歳から出来る。

ソウスケは料理が来るまで、かなり期待しながら待っていた。異世界の料理ということもあるがソウスケはダンジョンの中で、焼いた肉しか食べてこなかった。勿論それはそれで美味しかったが少し味気なかった。
なのでしっかりとした料理が食べられることが、結構楽しみだった。

「いや～～～～、にしても本当にソウスケ君が助けに来てくれて助かったよ。それにコボルトの上位種に圧勝だったんでしょ？　見てみたかったな～～～～」

ケイが実質死にかけたというのにとてもそうは思えない表情で話し始めた。

「ああ、あの戦いぶりは本当に凄かった。俺はソウスケの祖父が生きていたなら、是非教えを乞いたいところだな」

「スラルの言う通りだね。僕も同じことを思ったよ」

店員が持ってきた料理を受け取りながらアガレス、スラルが答えた。
それにエルミも賛成しているが半分反対だった。

「二人の考えに納得は出来るけど私は反対よ。だってソウスケが住んでいたところは山の中よ。コボルトの上位種にもかなわない私達が行ったら、直ぐに殺されしまうわ」

エルミの言葉にそれはそれで納得できるので、二人はだよな～～～という顔になった。
そんな中ソウスケは早く、温かい飯が冷めないうちに食べたかったので早く食べようと促した。

「なぁ、それより飯が冷めないうちに早く食べようぜ」

ソウスケの言葉にそれもそうだなと四人が頷き、エールの入った容器を持った。ソウスケも空気を読んで容器を持った。

「それじゃぁ、俺達の無事と、新たな出会いと、ソウスケの冒険者登録を祝って・・・・・・乾杯！！！！」

「「「「乾杯！！！！！」」」」

スラルの言葉に合わせて全員乾杯をした。