転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
74 / 1,259

七十三話ナンパする暇があるなら自分を高めろ

しおりを挟む
自分達に夕食に誘いに来た冒険者達の対処をしていたセーレは非常に困っていた。
自分達に夕食の誘い・・・・・・ナンパしてきた冒険者達にはこれから予定があると、セーレは受付嬢としての態度を崩さずナンパを断っているが、冒険者達は一向に諦める気配が無かった。

(本当にしつこい人達ね。これから予定があるからと断っているのに、何が俺達と一緒にご飯を食べる方が絶対に楽しいですか! そんな考えを言葉に出している時点でこの人達と夕食を食べても楽しくないのは確定ですね。いつもなら一人程潰せば大人しくなるんですけど、今はメイが一緒にいますからね。万が一を考えると荒事は起こせませんね)

ソウスケと約束した時間が刻々と迫っているので、セーレとしては早くこの場から切り抜けたかったが、セーレをナンパしているFランクの冒険者達は二人を夕食に誘う事を諦めず、だらしない顔でナンパを続けていた。

(・・・・・・ランクが低いからどうこうと言うつもりはないんですが、もう少しまっしになってから誘って欲しいものですね。主に性格を)

セーレは今までに幾とどなく冒険者達に食事やデートの誘いを受けた事があるが、誘って来る冒険者のランクは最低でもDランクの冒険者だった。
ただ、自分達をナンパしてくる冒険者の顔に覚えがあり、何故人に自慢できるほどランクが高い訳でも無いにも関わらず自分達をナンパして理由が分かった。

(そう言えば、この人達は新人の中でもFランクまでに上がるスピードが歴代の中でもそこそこ早い方でしたね。おおかたそこら辺をベテランの方に褒められ増長しているのでしょう。ただ、理由が分かったところで誘いに一切魅力を感じませんね。まだ公にはなっていませんが、ソウスケさんの昇格の速度は今のところ最速ですしね)

目の前の冒険者達の浅はかな考えに嘆息しながらも、早くこの場から離れようと思っているセーレの視界に自信に向かって手を振っているソウスケを見つけた。

(ソウスケさん、ナイスタイミングです!)

セーレはメイの手を取り強引に冒険者達の間を突っ切り、ソウスケの元へと向かった。
急にセーレに手を捕まれたメイは何事か驚いたが、少し向こうに自分達に手を振っているソウスケを見つけ、不安な表情が晴れて安堵した表情に変わった。

「ソウスケさん、良いところで来てくれました。ナイスタイミングです」

「本当に良いところで来てくれたよ。ありがとねソウスケ君!」

美女二人に迫られながら感謝されている事で、男になったとはいえ絶賛思春期なソウスケの頬は赤く染まっていた。

「い、いえ。そんなことないですよ。お、俺はただ約束の時間より早く来ただけですから」

「それで充分ですよ。丁度面倒な方達に絡まれていたので本当に助かりました」

ソウスケがセーレの言う面倒な方達を見ると、いきなり自分達の間を突っ切り、全く知らない冒険者の男の方へ向かった二人を見て、何が起こったのか分からないという顔をしていた。
顔の表情がだらしない顔から、困惑した表情に急変した冒険者達の顔を見てソウスケは吹き出しそうになってしまった。

(ふ、ふふふふ。いや、確かに自分達がナンパしていた女の人達が急に自分達の間を突っ切り、全く知らない男と話していたらそういう表情になるかもしれないけど・・・・・・あそこまで表情が急変するものか?)

吹き出し、笑い声は堪えているが表情まではポーカーフェイスが出来ておらず、ソウスケの表情には笑うのを堪えているのが良く表れていた。

そしてセーレとメイをナンパしていた冒険者達は顔を真っ赤にし、鬼の形相でソウスケの方へズンズンと足音が聞こえてきそうな歩き方でやって来た。

冒険者達が自分の方へ明らかに怒っている顔で向かってきているのを見て、ソウスケはどう対処するかを考え始めた。

(さて・・・・・・セーレさんとメイさんにナンパしていて振られた冒険者達が鬼の形相でこちらに向かってきてる訳なんですけど、どうしたらいいんだろうな。装備の質とかからして鑑定を使わなくても俺よりは強くないって事は分かるな。正直ワンパンで勝てると思うけど、あんまり目立ちたくないからな・・・・・・でも、話し合いが通じる相手には見えないしな。やっぱり物理攻撃で黙らせた方が良いのかな)

ソウスケはセーレに向かって来る冒険者達を指さし、パンチを打つ振りをするとソウスケの意図が伝わったセーレは細く笑みを浮かべながらコクリと頷いた。
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

虹色のプレゼントボックス

紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。 安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。 わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。 余計わけのわからない人物に進化します。 作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。 本当に尋常じゃないほど早いです。 残念ながらハーレムは無いです。 全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。 未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。 行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。 なかなかに最悪な気分になりました。 お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。 というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。 お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」 勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、 ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。 追放すらできない規約のせいで、 “事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。 だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。 《超記録》―― 敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。 生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。 努力で《成長》スキルを獲得し、 記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。 やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。 対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、 記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。 一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。 さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。 街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。 優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。 捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。 爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...