79 / 1,259
七十八話 純粋な故に
しおりを挟む
二人の雑談が続く中、セーレの内心はワイバーンの肉を食べることが出来る嬉しさと、初めて家に男を呼んだ事に対する緊張感が埋め尽くしていた。
(冒険者時代は基本的に売るという選択肢しか取れなかったから、ワイバーンの肉を食べれるのは正直嬉しいですね。ただ・・・・・・男性を自分の家に招き入れたのは初めてでしたね。ふ、普段から掃除はしているので散らかってはいないと思いますけど、ソウスケさんにどう思われているのかは少し心配ですね)
表情にこそ出ていないが、セーレに心臓はバクバクと大きく動いていた。
その心音を他人が聞けば、料理中に手元が狂ってしまわないかを心配する者もいるだろう。
(しかし、こうしてメイやソウスケさんと一緒にご飯を食べられるのは素直に嬉しいですね。メイは職場にいる数少ない心が純粋な後輩ですし、ソウスケさんはまだ初心なところがあるけれど、性格も良く実力も確かなルーキー。二人とは今後も仲良くしていきたいですね)
セーレは元冒険者という事もあり、一般人より多くの人種の人を見て来た。
中に羊の皮を被ったゴブリンの様なゴミ屑もいれば、素直で正義感があり過ぎるせいでその性格を利用され、上司の人間に良いように使われていた騎士もいた。
善人を装った冒険者ルーキーを殺して快楽を得ようとする殺人鬼。
中には勿論メイやソウスケの様に仲良くしていきたいと思う人物もいたが、それ程多くはいなかった。
なので二人に何か危害が及ぶような事は起きないで欲しかった。
(メイは本当に人が良いので今後人に騙される可能性は十分にあるでしょうね・・・・・・メイには厳しいかもしれないけど、護身の術は教えておいた方が良さそうですね。レベルに関しては追々考えましょう)
メイにどういった護身の術を教えるか、考えが纏まるとそれと同時に料理も出来上がった。
「・・・・・・うん、上手く作れた筈です。二人の所へ持っていきましょう」
セーレはおぼんに料理を乗せて、二人の味の感想を楽しみにしながらリビングへと向かった。
セーレとメイの二人とワイバーンの肉とその他のおかずを食べ終え、メイを家に送り届け帰路についているソウスケは、満腹感と幸福感によりかなりだらしない顔になっていた。
「いや~~~~~、マジで美味かったなワイバーンの肉。いや、ステーキか。下級のドラゴンのワイバーンでこの美味さだ。上位のドラゴンになるとどれぐらい旨いんだろうな・・・・・・まぁ、セーレさんの料理の腕前もあって、今回の美味さだったんだろうけどな」
セーレの料理はメインのワイバーンの肉のステーキ以外のおかずも、十分に美味しいとソウスケは感じた。
セーレが冒険者だったころのパーティーメンバーは、こんな美味いご飯を毎回食べられていたと思うと、とても幸せだったんだろうなと予想した。
この世界の食べ物は確かに美味い。日本人としてかなり舌が肥えているソウスケからしても、料理の腕がそこまでない人が作っても、ある程度の美味さは感じるだろう。
だが、食べる場所が野営地となると、格段にクオリティが下がる。
それは前回同じルーキー達を助けた時に、ソウスケは痛いほど実感した。
そしてその時ほど、自分のアイテムボックスのスキルが有難いものだと感じた事はなかった。
「冒険者に成り立ての者としては、これほど有難いスキルはないだろうな・・・・・・まぁ、その分厄介事が付きまわって来るんだろうけどさ」
今後自分に降りかかって来る面倒事を考えると、さっきまで満たされていた物が抜け落ちた。
変わりに悩みの種が沢山振って来たようにソウスケは思えた。
「・・・・・・俺的にはこの世界をゆっくりと楽しみたいんだけど、権力の事とかも考えておいた方が良さそうだな」
日本で暮らしていた時にはそこまで身近な物ではなかった権力だが、ソウスケはこの世界で生きていく上で有事の際にはある程度の権力は持っておいて損は無いと思い、今後の課題として頭の片隅に置いておいた。
「・・・・・・争い事になった時、なるべく先に手が出ないようにしとかないとな」
宿に戻って着替え、布団を被ったソウスケは小さく呟きながら眠りについた。
翌日、一度は九時ごろに起きたが眠気には勝てず、やはり二度寝してしまうソウスケだった。
(冒険者時代は基本的に売るという選択肢しか取れなかったから、ワイバーンの肉を食べれるのは正直嬉しいですね。ただ・・・・・・男性を自分の家に招き入れたのは初めてでしたね。ふ、普段から掃除はしているので散らかってはいないと思いますけど、ソウスケさんにどう思われているのかは少し心配ですね)
表情にこそ出ていないが、セーレに心臓はバクバクと大きく動いていた。
その心音を他人が聞けば、料理中に手元が狂ってしまわないかを心配する者もいるだろう。
(しかし、こうしてメイやソウスケさんと一緒にご飯を食べられるのは素直に嬉しいですね。メイは職場にいる数少ない心が純粋な後輩ですし、ソウスケさんはまだ初心なところがあるけれど、性格も良く実力も確かなルーキー。二人とは今後も仲良くしていきたいですね)
セーレは元冒険者という事もあり、一般人より多くの人種の人を見て来た。
中に羊の皮を被ったゴブリンの様なゴミ屑もいれば、素直で正義感があり過ぎるせいでその性格を利用され、上司の人間に良いように使われていた騎士もいた。
善人を装った冒険者ルーキーを殺して快楽を得ようとする殺人鬼。
中には勿論メイやソウスケの様に仲良くしていきたいと思う人物もいたが、それ程多くはいなかった。
なので二人に何か危害が及ぶような事は起きないで欲しかった。
(メイは本当に人が良いので今後人に騙される可能性は十分にあるでしょうね・・・・・・メイには厳しいかもしれないけど、護身の術は教えておいた方が良さそうですね。レベルに関しては追々考えましょう)
メイにどういった護身の術を教えるか、考えが纏まるとそれと同時に料理も出来上がった。
「・・・・・・うん、上手く作れた筈です。二人の所へ持っていきましょう」
セーレはおぼんに料理を乗せて、二人の味の感想を楽しみにしながらリビングへと向かった。
セーレとメイの二人とワイバーンの肉とその他のおかずを食べ終え、メイを家に送り届け帰路についているソウスケは、満腹感と幸福感によりかなりだらしない顔になっていた。
「いや~~~~~、マジで美味かったなワイバーンの肉。いや、ステーキか。下級のドラゴンのワイバーンでこの美味さだ。上位のドラゴンになるとどれぐらい旨いんだろうな・・・・・・まぁ、セーレさんの料理の腕前もあって、今回の美味さだったんだろうけどな」
セーレの料理はメインのワイバーンの肉のステーキ以外のおかずも、十分に美味しいとソウスケは感じた。
セーレが冒険者だったころのパーティーメンバーは、こんな美味いご飯を毎回食べられていたと思うと、とても幸せだったんだろうなと予想した。
この世界の食べ物は確かに美味い。日本人としてかなり舌が肥えているソウスケからしても、料理の腕がそこまでない人が作っても、ある程度の美味さは感じるだろう。
だが、食べる場所が野営地となると、格段にクオリティが下がる。
それは前回同じルーキー達を助けた時に、ソウスケは痛いほど実感した。
そしてその時ほど、自分のアイテムボックスのスキルが有難いものだと感じた事はなかった。
「冒険者に成り立ての者としては、これほど有難いスキルはないだろうな・・・・・・まぁ、その分厄介事が付きまわって来るんだろうけどさ」
今後自分に降りかかって来る面倒事を考えると、さっきまで満たされていた物が抜け落ちた。
変わりに悩みの種が沢山振って来たようにソウスケは思えた。
「・・・・・・俺的にはこの世界をゆっくりと楽しみたいんだけど、権力の事とかも考えておいた方が良さそうだな」
日本で暮らしていた時にはそこまで身近な物ではなかった権力だが、ソウスケはこの世界で生きていく上で有事の際にはある程度の権力は持っておいて損は無いと思い、今後の課題として頭の片隅に置いておいた。
「・・・・・・争い事になった時、なるべく先に手が出ないようにしとかないとな」
宿に戻って着替え、布団を被ったソウスケは小さく呟きながら眠りについた。
翌日、一度は九時ごろに起きたが眠気には勝てず、やはり二度寝してしまうソウスケだった。
171
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
虹色のプレゼントボックス
紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。
安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。
わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。
余計わけのわからない人物に進化します。
作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。
本当に尋常じゃないほど早いです。
残念ながらハーレムは無いです。
全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。
未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。
行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。
なかなかに最悪な気分になりました。
お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。
というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。
お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」
勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、
ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。
追放すらできない規約のせいで、
“事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。
だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。
《超記録》――
敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。
生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。
努力で《成長》スキルを獲得し、
記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。
やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。
対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、
記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。
一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。
さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。
街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。
優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。
捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。
爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる