転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
80 / 1,259

七十九話ガチ?

しおりを挟む

「ふわぁ~~・・・・・・」

二度寝をしてしまったソウスケは、暖かいベットからゆっくりと出ながら窓から外を覗いた。

「太陽が丁度真上・・・・・・大体十二時ぐらいか。取りあえず着替えて昼飯を食べよう」

もう一つ大きな欠伸をしながら普段着に着替え、食堂に降りて行った。
そしていつも通り昼飯を頼み、女将さんが料理を持ってきてくれた。

「はい、昼飯だよ。それにしても、あんたはよく昼間に起きるね。他の冒険者達は朝早くに起きていくけど、あんたは大丈夫なのかい?」

「そうですね・・・・・・ギルドに張り出されている依頼は、基本的に早いもの勝ちなんで、他の人達は張り出される依頼の中でも良い依頼を勝ち取るために朝早く起きているんだと思います」

ソウスケの推測は正しく、朝に張り出される依頼の中の好条件なのを勝ち取るために、中にはギルドが開く前にギルドの扉で待っている冒険者もいる。

「だったらあんたも早く行った方が良いんじゃないのかい?」

「俺は少し前に色々あって、お金には困っていないんですよ。それにランクを早く上げようとかも考えていないんで、眠たいのを我慢して急ぐ必要は無いんですよ」

「あらそうなのかい。若いのに随分と幸先が良いみたいだね」

女将は笑いながらソウスケの肩を叩き、キッチンの方へ戻って行った。

「幸先が良い、か。まぁ、確かに良かったかもしれないけど、そこにたどり着くまでには状況的には結構ハードだったけどな」

ソウスケはダンジョンの下層に転移した時の事を思い出していた。
スキルは充実していたが、レベルは一武器はオーソドックスな長剣短剣等ではなく、超マイナーな蛇腹剣。
武器が蛇腹剣と分かった時、ソウスケは思いっきり頭を抱えた。

「ワイバーンも結構強かったしな。本当にスキル様々って感じだったな」

ワイバーン戦の時に使った魔法を思い出しながら、残りの飯を胃に流し込んだ。

「さてと、飯も食い終わったしあそこに行くとするか」

ソウスケは上機嫌に鼻歌を歌いながら目的の場所に向かった。

「なんていうか・・・・・・本当に裏って感じがする場所だな」

表の通りから裏通りに入ったソウスケは、先日保険として金貨五十枚を預けた奴隷店へと向かっていた。
そして裏通りに入ってから約二十分、先日と同じく店主のお爺ちゃんが店の前を掃除していた。

「おっ、来たかい。随分と遅かったのぅ。もう昼過ぎじゃぞ」

「今日はギルドの依頼を受けるつもりは無いんですよ。それに俺は今そんなにお金には困っていないんで」

「なるほど、確かにそうじゃったな。さて、今日来たのは昨日の件の続きで合ってるかのう」

二人は店の中に入りながら会話を続けた。

ソウスケは先日見たハイ・エルフの奴隷以外に興味を引く奴隷はいなかったので、他に要件はなかった。

「そうですね。特にそれ以外に要件は無いですね」

中に入るとカウンターには先日の生意気な青年ではなく、低身長の無表情の女の子がいた。
女の子は店長と一緒に入って来たソウスケを見ると、直ぐに客だと判断して頭をぺこりと下げた。
それにつられて何故かソウスケまで頭を下げてしまった。

「お主まで頭を下げる事はないんじゃぞ」

「いや、ついつられてしまったというか・・・・・・というか、昨日の男性より随分と礼儀正しんですね」

ソウスケはお爺ちゃんに思った事をストレートに伝えた。
言ってしまってからソウスケは余計なことを言ってしまったかと思ったが、お爺ちゃんは笑いながらソウスケの言葉を肯定した。

「はっはっはっは。確かにお主の言う通りじゃ。あやつは仕事は普通に出来るが、正直阿保じゃ。半人前にもなっていのにも関わらず、儂を超えることなど出来る筈もないのにのぅ。それに比べてセイラ、あやつは優秀な娘じゃ。口数は少ないがのう」

目の前の女の子、セイラの説明を聞いたソウスケはやっぱりかと思った。

(無表情で無口・・・・・・別にそんな事で癪に障る訳ではないけど、この先やっていけるのかは気になるな。いや、ただ必要ない時は話さないだけで、仕事の時とかはしっかりと話すのかもしれないな)

お爺ちゃんはセイラにソウスケと地下へ行くことを伝えた。
それに対してもセイラはコクリと頷くだけだった。

(・・・・・・もしかしてガチの無口なのか?)

店長のお爺ちゃんにまで言葉を発さないセイラを見て、ソウスケは自分には今後そこまで関わる事は無い思っているが、少し心配になっていた。
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

虹色のプレゼントボックス

紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。 安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。 わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。 余計わけのわからない人物に進化します。 作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。 本当に尋常じゃないほど早いです。 残念ながらハーレムは無いです。 全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。 未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。 行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。 なかなかに最悪な気分になりました。 お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。 というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。 お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」 勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、 ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。 追放すらできない規約のせいで、 “事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。 だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。 《超記録》―― 敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。 生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。 努力で《成長》スキルを獲得し、 記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。 やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。 対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、 記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。 一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。 さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。 街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。 優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。 捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。 爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...