転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
237 / 1,259

二百三十六話報酬は目の前にある

しおりを挟む
「・・・・・・はぁあ!!??」

「えっと・・・・・・フォレストオーガが横から蹴り飛ばされた? って事で良いんだよな」

「そうみたいね。種族は・・・・・・エルフみたいね。にしてもフォレストオーガを蹴り飛ばすエルフなんて、かなりの武闘派みたいね」

「武闘派なのは分かる。でもフォレストオーガを不意打ちとはいえ蹴り飛ばせる冒険者なら少しぐらい顔が知られていてもいい気がするんだけど」

四人が横からいきなり自分達が戦っていたフォレストオーガを蹴り飛ばしたエルフに戸惑いを隠せず、どうしたら良いのか解らずにいた。
すると前からエルフの仲間と思われる少年が自分達の元までやって来た。

「先輩の冒険者さん達、良ければこれを使ってください」

「こ、これは傷を回復させる方のポーションか貰えるなら貰いたいが少年、俺達は今渡せるものが無いぞ」

勿論今まで倒してきたモンスターノ素材や魔石等は少なからずあるが、それらを渡してしまったら赤字となってしまう。
だが少年は自分達に金やモンスターの素材を求めなかった。

「料金なら、あのフォレストオーガを貰うので大丈夫です。だからこれは唯で上げます」

「えっと・・・・・・いやいやいや、流石にこのポーションを唯で貰う訳にはいかないよ!!」

女の冒険者は少年から受け取ったポーションを見つめ、それがランクの低いポーションでは無いと分かり、唯では貰えないと言い出す。
しかし少年は女の冒険者の言葉に対して首を横に振る。

「大丈夫ですよ。それは別に買った訳では無いので。それにそれを売った時の料金はあのフォレストオーガで十分に賄えます。だから気にしないでください」

「けど坊主、いくら俺達がフォレストオーガの魔力を削ったとはいえ、坊主とエルフの姉ちゃんと・・・・・・あのフードの奴だけだと流石に厳しいんじゃねぇか」

男の冒険者としては、唯でポーションを貰えるという待遇にこのままエルフの女性とフードを被った冒険者に、目の前の少年だけにフォレストオーガを任せるのは良くないと先輩として感じた。
勿論男としてはフォレストオーガの素材や魔石は貰わず、戦いにもう一度参戦するつもりであった。

「大丈夫ですよ。彼女は超強いですから。それじゃ、俺は彼女のサポートに入るので気を付けて帰ってください」

問題ないと四人に伝えると少年はフォレストオーガとの戦いに加わわって攻撃を開始する。

「・・・・・・どうするよ」

「私達の傷が治ったとしても、魔力は少ないから危ない事に変わりはないわ。今は少年のお言葉に甘えて絶対に上で見つけて礼をする。これで良いんじゃない」

「それがベストだろうな。ならとっとと地上に戻って美味い飯屋を探そう」

四人はフォレストオーガを蹴り飛ばしたエルフの女性と、自分達にポーションをくれた少年が勝つ事を信じて地上へと向かった。


「人払いは終わったぞ」

「かしこまりました。それではザハーク、隙が出来たと思ったら遠慮なく攻撃をぶち込んでください。フォローはこちらでします」

「ワカリマシタ。オソレズコウゲキヲシカケマス」

自分がいない間に色々と話がまとまった様子を察し、ソウスケはフォレストオーガの魔力を削る事に専念する。

「っし、ウォーターカッター・・・・・・だったら加減を間違えてうっかり切り落としそうだから、威力を落としたウィンドカッターで切り刻むか」

今までで一番使用頻度が高い風魔法を使い、ソウスケは周囲に多数の風の刃を出現させる。

「なら私も風魔法を使って相手をしましょう」

ミレアナもソウスケと同じように風魔法を使い、周囲に多数の風の矢を作りだす。

「さて、ザハーク。援護は俺達に任せて臆する事無くフォレストオーガを打ち倒せ」

「ハイ!!!!!」

過剰と思われる援護かもしれないが、それは二人の心配性から現れる行動。
ただ二人の少し過保護の援護によってザハークは迷うことなくフォレストオーガに向かって走り出す事が出来た。
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

虹色のプレゼントボックス

紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。 安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。 わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。 余計わけのわからない人物に進化します。 作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。 本当に尋常じゃないほど早いです。 残念ながらハーレムは無いです。 全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。 未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。 行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。 なかなかに最悪な気分になりました。 お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。 というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。 お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

【めっさ】天使拾った【可愛ぃなう】

一樹
ファンタジー
酔っ払いが聖女を拾って送迎する話です。

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

処理中です...