転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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二百八十四話多く見て来た者

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訓練場へやって来たソウスケと男は訓練場で摸擬戦や素振り、魔法や弓を使った的当てをしている冒険者達を眺める。

(・・・・・・基本的には若い冒険者が殆どだな。それ以外の人もある程度歳がいってる冒険者。その冒険者も自分の為に訓練をしてるんじゃなく若い奴らの為に指導をしているって感じだ)

訓練している冒険者、指導している冒険者を見る限り特別強い冒険者はいないとソウスケは感じた。

「君も混ざらないか」

「遠慮します。眺めているだけで十分です」

どのレベルの冒険者がどういった技量を持つのか、それが分れば儲け物。
そう思うソウスケだが、自身の訓練をこの場で行わないのは少し前に宿で自分達をダンジョンへ一緒に行かないかと誘って来たパーティーメンバーがいたからだった。

(ジーラスさんがいたからあの時は何事も無く済んだ。でも向こうは俺達に良い感情は持っていない。それは絶対だ。リーダーの奴が俺に阿呆みたいな挑発をしてくるようなDQNみたいな性格をしているとは思えないが・・・・・・あまり顔を合わせたくないのは事実だ)

しかもメンバー全員がこの訓練場に揃っている。前回ぱっと見て仲間も面倒な性格をしているとソウスケは感じなかったが、それでも少し面倒事な予感がしない訳では無い。

「・・・・・・ふふ。目の前の訓練光景を見ていてもやはり退屈かい?」

「なんでそう思うんですか?」

質問を質問で返すのは良くないと思いつつも即答で返す。
ソウスケとしてはこの会話も唯の暇つぶしでしかない。

「一見敬語を使えて後輩として接しているように見えるけど、冒険者歴が無い僕よりおそらくまだ冒険者になってそこまで月日が経っていない君の態度は余りにも堂々としている。理由が僕より圧倒的な人物、又はモンスターと対峙した事があるから。そしての線を超えて今に至る」

「・・・・・・俺の態度ってそんな解りやすいですか?」

「そんな事は無いと思うよ。大概の冒険者は君の礼儀正しい態度に対して気分を良くするだろう。冒険者になる多くの者は言葉遣いなんて学ばないからね。でも目ざとい・・・・・・というよりは多くの人種を見て来た者にとっては少し解りやすい態度かもしれないね。正確な実力は解らなくても、並みのルーキーでは無いなと経験から感じてしまうよ」

経験と才能が物を言う世界。
その経験も侮れないなと率直に感じたソウスケは目の前の冒険者に多少の交換を持てた。

「あなたはそこら辺の冒険者と違うんですね。ダンジョンの中で多少の冒険者は見てきましたけど、中にはゴミ屑も少々いた。それとは違います」

目の前の男は単純に自分に興味を持って話しかけて来た存在。
勿論そうでない可能性もあるかもしれないが、その時はその時で対処すれば良い話。

ソウスケから多少の好感を得ていた冒険者は後輩の言葉の中に聞き逃してはいけない内容があると理解し、直ぐにそれを確認する。

「ゴミ屑と言うのは・・・・・・そういう者のことなのか?」

「多分想像通りだと思います。他人の才能や努力に来るって道を踏み外れた屑共でした。でも安心してください、しっかりと処分しておいたので。被害も最終的にはゼロです」

「・・・・・・そうか、同僚が迷惑を掛けたみたいだね。そのゴミ共に変わって謝罪させて貰おう」

冒険者とは信頼関係で成り立っている。いくらランクが高くても揉め事を上手く隠蔽している屑もいる。
逆にランクは低くてもしっかりとした人格者もいる。

なので要らないと言われても男はソウスケに謝罪したいと思っている。
その思いとは別に、男はソウスケに既に人殺しの経験があることに内心驚いていた。

「受け取っておきます。それで・・・・・・こちらに向かって来ている奴らはこちらに用があるんですかね」

「あぁ、あの子達か。確か冒険者になって二年目ぐらいだけどルーキーの中では中々優秀な面子だと僕は思ってるよ。運良く冒険者の戦力として必要な能力が各々揃っているしね。そんな彼彼女たちだけど・・・・・・どうやら目線からして君に用があるんじゃないのかな」

予想通り面倒な事が起こりそうなので今すぐ逃げ出したかったが、面倒事は後に回すとよくない。
そんな日本で生活していた時の教訓を無駄にしない為、溜息を吐きながら逃げずにその場に留まった。
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