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四百五話 欲していた物
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珍しい特技を持つ盗賊団を全員殺し終え、死体を蛇腹剣に喰わせたあと、お楽しみの貯めこんでるであろうお宝を捜索。
しかし、いつものように直ぐには見つからなかった。
「? 家の中は全部探したよな」
「そうですね。邪魔なところは壊してしっかりと探しましたが……」
「もしかしたらだが、床に隠してるんじゃないか?」
普通に家の中を探しても無かったが、偽造した床の下に隠されているかもしれない。
そんなザハークの考えに納得がいったソウスケはむやみやたらに地面を掘ろうとせず、家の地面に鑑定を使って調べた。
すると幾つかに分けられて宝は隠されていた。
「アジトも凝ってれば、隠し場所も凝るんだな」
「これは私の予想ですが、自分達が敵わないモンスターなどが襲ってきた時の為に宝だけは見つからない場所に隠していたのではないでしょうか」
「あぁ……そう、かもしれないな。でも、宝を欲しがりそうな奴ってドラゴンぐらいじゃないのか?」
ドラゴンは宝を集めるのが趣味、そんなイメージがソウスケの中には合った。
「人型のモンスターであれば何かしら興味を持つ筈です。それに鼻が鋭いモンスターならばすぐに見つけてしまうでしょう」
「もしそんなモンスターに襲われたら折角隠した努力も無駄になってしまうな」
その盗賊達の努力は全てソウスケ達が掻っ攫い、アイテムボックスの中にしまわれた。
貯め込まれていたお宝の中にはソウスケが目を引くような物もあり、今回の盗賊はかなり当たりだった。
「……なぁ、やっぱり対人戦だと盗賊の方が優れてるもんなのかな」
「そう、ですね。対人戦が優れているのもあるでしょうけど、奇襲に関しては断然盗賊の方が慣れているでしょう。稀にまだ自分達の存在が冒険者や商人に気付かれていないのにも関わらず、自分達のアドバンテージを無駄にしてしまう馬鹿もいると聞きますが」
「それは流石に馬鹿過ぎるな。自分達の腕に自信がるのか……そういう作戦なら解るが、そうで無ければやはり馬鹿だな」
ソウスケが手に入れたお宝の中には、やや盗賊団の実力に見合わない武器があった。
(絶対にあれは冒険者か騎士? から殺して奪った武器だ。もし、これの持ち主の知り合いに使ってるところをバレたら……いやいやいや、でも盗賊を倒せば貯め込んでいたお宝はその討伐者の物なんだし、別に焦る必要は無いよな)
ソウスケの考えは間違っておらず、盗賊を討伐した際に得たお宝は全て討伐者たちの所有物となる。
それは確かに世間一般的に認められているのだが、殺された知人友人の遺品が手に入るかもしれないと知った者が、どのような手段で奪いに来るかソウスケには読めない。
(……結構良い感じの武器だから手元に残しておきたいし、しっかりと自分の物だと主張しておこう。相手が面倒な手段で盗りに来ようとするなら、遠慮なく返り討ちにすれば良い話だ)
今回手に入れたお宝の中には優れた武器だけではなく、ソウスケが今まで欲していた本までもが貯め込まれていた。
「ソウスケさん、随分と嬉しそうな顔をしているな。何か欲しい物でもお宝の中に入っていたのか」
「おう、結構欲しかった物があったんだ。それが運良く盗賊が貯め込んでいたお宝の中にあったんだよ」
「いったいそれはどんな道具なんですか?」
「そうだなぁ……俺にとって面倒な相手をぶっ潰すのに丁度良い道具だ」
(正確にはぶっ殺す、だけどな。鑑定で視る限り、こいつは使用者が代償を払うことは無く、ただ単に持っている魔力を全て注げば良いだけ。今日は中々に運が良いな。いや、盗賊に襲われたことを運が良いと思うのは同業者やその他の人達に失礼か)
冒険者は騎士に商人、貴族に一般市民にとって盗賊は害悪な存在でしかないが、ソウスケ達にとっては自らお宝の場所を教えてくれる案内人でしかない。
ホクホク気分で道に戻り、街に辿りついたソウスケは直ぐに宿を取って夕食を食べ、自室へと入った。
しかし、いつものように直ぐには見つからなかった。
「? 家の中は全部探したよな」
「そうですね。邪魔なところは壊してしっかりと探しましたが……」
「もしかしたらだが、床に隠してるんじゃないか?」
普通に家の中を探しても無かったが、偽造した床の下に隠されているかもしれない。
そんなザハークの考えに納得がいったソウスケはむやみやたらに地面を掘ろうとせず、家の地面に鑑定を使って調べた。
すると幾つかに分けられて宝は隠されていた。
「アジトも凝ってれば、隠し場所も凝るんだな」
「これは私の予想ですが、自分達が敵わないモンスターなどが襲ってきた時の為に宝だけは見つからない場所に隠していたのではないでしょうか」
「あぁ……そう、かもしれないな。でも、宝を欲しがりそうな奴ってドラゴンぐらいじゃないのか?」
ドラゴンは宝を集めるのが趣味、そんなイメージがソウスケの中には合った。
「人型のモンスターであれば何かしら興味を持つ筈です。それに鼻が鋭いモンスターならばすぐに見つけてしまうでしょう」
「もしそんなモンスターに襲われたら折角隠した努力も無駄になってしまうな」
その盗賊達の努力は全てソウスケ達が掻っ攫い、アイテムボックスの中にしまわれた。
貯め込まれていたお宝の中にはソウスケが目を引くような物もあり、今回の盗賊はかなり当たりだった。
「……なぁ、やっぱり対人戦だと盗賊の方が優れてるもんなのかな」
「そう、ですね。対人戦が優れているのもあるでしょうけど、奇襲に関しては断然盗賊の方が慣れているでしょう。稀にまだ自分達の存在が冒険者や商人に気付かれていないのにも関わらず、自分達のアドバンテージを無駄にしてしまう馬鹿もいると聞きますが」
「それは流石に馬鹿過ぎるな。自分達の腕に自信がるのか……そういう作戦なら解るが、そうで無ければやはり馬鹿だな」
ソウスケが手に入れたお宝の中には、やや盗賊団の実力に見合わない武器があった。
(絶対にあれは冒険者か騎士? から殺して奪った武器だ。もし、これの持ち主の知り合いに使ってるところをバレたら……いやいやいや、でも盗賊を倒せば貯め込んでいたお宝はその討伐者の物なんだし、別に焦る必要は無いよな)
ソウスケの考えは間違っておらず、盗賊を討伐した際に得たお宝は全て討伐者たちの所有物となる。
それは確かに世間一般的に認められているのだが、殺された知人友人の遺品が手に入るかもしれないと知った者が、どのような手段で奪いに来るかソウスケには読めない。
(……結構良い感じの武器だから手元に残しておきたいし、しっかりと自分の物だと主張しておこう。相手が面倒な手段で盗りに来ようとするなら、遠慮なく返り討ちにすれば良い話だ)
今回手に入れたお宝の中には優れた武器だけではなく、ソウスケが今まで欲していた本までもが貯め込まれていた。
「ソウスケさん、随分と嬉しそうな顔をしているな。何か欲しい物でもお宝の中に入っていたのか」
「おう、結構欲しかった物があったんだ。それが運良く盗賊が貯め込んでいたお宝の中にあったんだよ」
「いったいそれはどんな道具なんですか?」
「そうだなぁ……俺にとって面倒な相手をぶっ潰すのに丁度良い道具だ」
(正確にはぶっ殺す、だけどな。鑑定で視る限り、こいつは使用者が代償を払うことは無く、ただ単に持っている魔力を全て注げば良いだけ。今日は中々に運が良いな。いや、盗賊に襲われたことを運が良いと思うのは同業者やその他の人達に失礼か)
冒険者は騎士に商人、貴族に一般市民にとって盗賊は害悪な存在でしかないが、ソウスケ達にとっては自らお宝の場所を教えてくれる案内人でしかない。
ホクホク気分で道に戻り、街に辿りついたソウスケは直ぐに宿を取って夕食を食べ、自室へと入った。
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