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四百三十七話 どちらが上という事は無い
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「……こいつは色々と見境が無いな」
もう少し日が沈む前に、一団に一体のモンスターが襲い掛かった。
「丁度良い夕食が手に入りましたね」
「そうだな。性格というか……本能に正直過ぎるところは良く無いが、こいつの肉は美味いからな」
襲ってきたモンスターはオーク。
ランクDのモンスターであり、ゴブリンと同じで人族やその他の種族を異常なまでに性対象として見ている害悪な存在。
しかし、オークの肉はゴブリンと違って食える。そして美味い。
「はっはっは、オークを一撃とはな。流石の威力だ。もしかして発勁か?」
「はい。心臓を潰したんで動かないと思います」
体術のスキルレベルを上げることで会得できる技、発勁。
己の力を敵の体内に浸透させる。
敵の防御力によってはその威力が浸透しない場合もあるが、ソウスケの力ならば通常のオーク程度の防御力など話にならない。
「俺も、もう少し覚えられる筈だ。覚えたら早速実戦で使おう」
「魔力の消費量も少ないんで使い勝手は良いと思いますよ」
「そうか。それは良い事を聞いた」
攻撃系のスキル情報ならある程度集めることが出来る。
しかしそれはあくまで聞いた情報である。目の前で使用したソウスケから受け取った情報とは信用度が違う。
ソウスケがオークを瞬殺した様子を見ていたダイアは一緒に隣で見ていたザハークに声を掛ける。
「あれってザハーク君も出来るのかい?」
「あぁ、俺も出来る。というか、俺が三人の中で一番体術に特化しているんだ。出来なければおかしいだろう」
「確かにそうかもしれないね。……あれって、俺にも出来るようになると思う?」
「さぁな、それは知らん。ただ努力次第では今からでも遅く無いだろう。実戦と訓練を積めばな」
「……なるほどね。休みを返上して頑張ってみるか」
ダイアは基本的に剣士タイプの冒険者だが、長剣が折れた時の為に体術も多少はレアレスから教わっていた。
ただ、ソウスケの発勁を実際に見てひとまず新しい目標が出来た。
突然現れたオークの存在にアーガス達は自然と一歩下がってしまっていた。
しかしそれは当然の結果と言える。ソウスケやミレアナが異常なだけであって、通常のEランクならば強敵の存在に対して恐怖し、一歩下がってしまう。
だがそんな存在に対して同ランクのソウスケが一歩前に出て……一撃で、そう……一撃で倒してしまった。
アーガスを一対一で圧倒してから、投擲だけでボアを倒した時から何となく嫉妬の様な感情は消えていた。
そして本能が、思考が認め始めていた。自分達とソウスケは明らかに違う存在なんだと。
ソウスケの様な存在が英雄と呼ばれる存在になるのかもしれないと、同じEランクなのに自分達より強力な武器や防具を装備して強い仲間を得ている事に対しての怒りが鎮火する。
だが、一人だけ・・・・・・現実を、圧倒的なまでの実力差を見せられても嫉妬と怒りが鎮火しない者がいた。
(クソ、クソ、クソッ、クソッッ、クソがッ!!!!!! なんで、なんでッ!! なんでここまで差があるんだよ!!!!!)
認められない、意地でも認めたくなかった。
同じランクで、自分とそう歳が変わらない奴が何故自分より遥か高みに立っているのか。
ソウスケがアーガスを超える努力をしているからか?
確かにソウスケは暇な時間にしっかりと動けるか確認することがあり、ザハークやミレアナと軽い模擬戦を行う事もある。
だが、アーガス程上に上がると、成り上がるという必死さは無い。
アーガスの努力を自信を高める為の努力。それに対してソウスケの努力はいざ実戦を行う時に自分が思った通りに動けるようにする為の努力。
どちらの努力が上なのか? そのような結論を出すことは出来ないだろう。
多くの意見があるかもしれないが、どちらとも自分の為に努力している事に変わりは無い。
(絶対に、絶対に今回の依頼で成果を上げてやるッ!!!!!!)
今ここでアーガスの心が更なる熱を持った。
ただ……それが正しい熱かどうか話は別。
もう少し日が沈む前に、一団に一体のモンスターが襲い掛かった。
「丁度良い夕食が手に入りましたね」
「そうだな。性格というか……本能に正直過ぎるところは良く無いが、こいつの肉は美味いからな」
襲ってきたモンスターはオーク。
ランクDのモンスターであり、ゴブリンと同じで人族やその他の種族を異常なまでに性対象として見ている害悪な存在。
しかし、オークの肉はゴブリンと違って食える。そして美味い。
「はっはっは、オークを一撃とはな。流石の威力だ。もしかして発勁か?」
「はい。心臓を潰したんで動かないと思います」
体術のスキルレベルを上げることで会得できる技、発勁。
己の力を敵の体内に浸透させる。
敵の防御力によってはその威力が浸透しない場合もあるが、ソウスケの力ならば通常のオーク程度の防御力など話にならない。
「俺も、もう少し覚えられる筈だ。覚えたら早速実戦で使おう」
「魔力の消費量も少ないんで使い勝手は良いと思いますよ」
「そうか。それは良い事を聞いた」
攻撃系のスキル情報ならある程度集めることが出来る。
しかしそれはあくまで聞いた情報である。目の前で使用したソウスケから受け取った情報とは信用度が違う。
ソウスケがオークを瞬殺した様子を見ていたダイアは一緒に隣で見ていたザハークに声を掛ける。
「あれってザハーク君も出来るのかい?」
「あぁ、俺も出来る。というか、俺が三人の中で一番体術に特化しているんだ。出来なければおかしいだろう」
「確かにそうかもしれないね。……あれって、俺にも出来るようになると思う?」
「さぁな、それは知らん。ただ努力次第では今からでも遅く無いだろう。実戦と訓練を積めばな」
「……なるほどね。休みを返上して頑張ってみるか」
ダイアは基本的に剣士タイプの冒険者だが、長剣が折れた時の為に体術も多少はレアレスから教わっていた。
ただ、ソウスケの発勁を実際に見てひとまず新しい目標が出来た。
突然現れたオークの存在にアーガス達は自然と一歩下がってしまっていた。
しかしそれは当然の結果と言える。ソウスケやミレアナが異常なだけであって、通常のEランクならば強敵の存在に対して恐怖し、一歩下がってしまう。
だがそんな存在に対して同ランクのソウスケが一歩前に出て……一撃で、そう……一撃で倒してしまった。
アーガスを一対一で圧倒してから、投擲だけでボアを倒した時から何となく嫉妬の様な感情は消えていた。
そして本能が、思考が認め始めていた。自分達とソウスケは明らかに違う存在なんだと。
ソウスケの様な存在が英雄と呼ばれる存在になるのかもしれないと、同じEランクなのに自分達より強力な武器や防具を装備して強い仲間を得ている事に対しての怒りが鎮火する。
だが、一人だけ・・・・・・現実を、圧倒的なまでの実力差を見せられても嫉妬と怒りが鎮火しない者がいた。
(クソ、クソ、クソッ、クソッッ、クソがッ!!!!!! なんで、なんでッ!! なんでここまで差があるんだよ!!!!!)
認められない、意地でも認めたくなかった。
同じランクで、自分とそう歳が変わらない奴が何故自分より遥か高みに立っているのか。
ソウスケがアーガスを超える努力をしているからか?
確かにソウスケは暇な時間にしっかりと動けるか確認することがあり、ザハークやミレアナと軽い模擬戦を行う事もある。
だが、アーガス程上に上がると、成り上がるという必死さは無い。
アーガスの努力を自信を高める為の努力。それに対してソウスケの努力はいざ実戦を行う時に自分が思った通りに動けるようにする為の努力。
どちらの努力が上なのか? そのような結論を出すことは出来ないだろう。
多くの意見があるかもしれないが、どちらとも自分の為に努力している事に変わりは無い。
(絶対に、絶対に今回の依頼で成果を上げてやるッ!!!!!!)
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