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四百九十九話 のんびり観戦と雑談
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「どうも、この道場の師範のレガースと申します」
「ソウスケです。よろしくお願いします」
「ミレアナです」
「ザハークだ」
「……もしや、そちらはオーガ……ということでしょうか?」
自分達が出した依頼はテイマーの従魔と門下生を戦わせたいという内容。
この三人の中でそれらしい者はザハークしかおらず、レガースも最初はザハークのことを鬼人族かと思っていたが直ぐにオーガであることに気が付いた。
(言葉を喋るオーガ、か……もしや希少種か?)
レガースの疑問を察したソウスケがサラッとザハークの事を説明する。
「ザハークは希少種のオーガなので、普通のオーガとは見た目が少し違います。それに長剣や大剣、槍も使えて高い戦闘力を持っています」
「それは凄い。人型であれば素手での戦いを頼もうと思っていたが、それだけ武器を扱えるのであればそれらの戦いも試させてもらおう。さっそくですが、稽古の相手になってもらってもよろしいか」
「……そうだな。体をほぐさずとも問題無いだろう」
冷静に門下生たちの力量を視た結果、出た言葉がそれであった。
(サラッと門下生たちの実力をディスってるよな。ちらほらと自分達が嘗められてるって気付いてる連中がいるし)
殺気は漏れていないが、門下生たちからは戦意八割と敵意二割ほどが溢れていた。
「ふっ、気合は十分といったところか」
門下生たちが扱う武器は木刀。しかしそれはトレントの木で作られているので人を十分に殺すだけの威力を出せる。
それに対してザハークは素手で相手をする。
「ささ、どうぞ座ってください」
「失礼します」
二人は腰を下ろして楽な状態でザハークと門下生たちの戦いを観戦する。
「ザハーク、決定打は寸止めだからな。忘れるなよ!!」
「解っている」
若干熱が入っているザハークの解っているは、ソウスケやミレアナにとって少々心配な返事であった。
「大丈夫ですよ。うちには大量のポーションを保管していますからな」
「あっ、今回は俺達が治しますよ。二人共回復魔法が使えるんで」
「そうなのですか……お二人共冒険者として優秀なんですね」
(なんか……今更だが言葉遣いが柔らかいな。俺達が客人だからか? 門下生たちを相手にしていた時は普通に荒々しかったし、きっとそうなんだろう)
ワイルドの近い顔を持ちながらもダンディな雰囲気が混ざっているので、決して第一印象で怖がらせるような容姿では無い。
「まぁ、一応それなりに強いとは思ってます」
「謙遜なさらず。これでも多くの人やモンスターと出会ってきたので解ります。お二人も、従魔のオーガも強いと。それにしても、ソウスケさんは実力を隠すのが上手いですね」
「そうですか? そう感じてるなら嬉しいです。この見た目なんで色々と面倒事が多いんですよ」
「冒険者達は……いえ、冒険者に限らず人の技量を見た目だけで判断する人が多いですからね」
レガースは元々体格が良かったこともあり、今までの人生で他人に嘗めて対応されることは少なかった。
だが、友人や知人がそういった対応取られる場面を少々見てきたので、ソウスケがそういった愚かな連中から見下されるのは予測できた。
「いっそ開き直って力を誇示するのも一つの方法かと」
「私もそれを薦めたいという気持ちはありますが、ソウスケさんは有名になることを望んでいません」
「そうなのか? 珍しいな……ただ、いずれ有名になるのも時間だと思いますが」
「それは……まぁ、その時は仕方がないと思って諦めますよ。それより、ザハークの実力のほどはどうですか」
「ふふ、全くもって問題ありません。門下生たちの心がポッキリと折れてしまわないか少々心配ですがね」
心配などと言いながらもレガースの表情は笑っている。
師範であるレガースが直々に教えているということもあって今ザハークと戦っている門下生たちには少々驕りがあった。
だが、そんな驕りもプライドもザハークと模擬戦を行ったことでバキバキに砕かれていた。
「さぁ、時間はまだまだある。どんどん掛かって来い」
「ソウスケです。よろしくお願いします」
「ミレアナです」
「ザハークだ」
「……もしや、そちらはオーガ……ということでしょうか?」
自分達が出した依頼はテイマーの従魔と門下生を戦わせたいという内容。
この三人の中でそれらしい者はザハークしかおらず、レガースも最初はザハークのことを鬼人族かと思っていたが直ぐにオーガであることに気が付いた。
(言葉を喋るオーガ、か……もしや希少種か?)
レガースの疑問を察したソウスケがサラッとザハークの事を説明する。
「ザハークは希少種のオーガなので、普通のオーガとは見た目が少し違います。それに長剣や大剣、槍も使えて高い戦闘力を持っています」
「それは凄い。人型であれば素手での戦いを頼もうと思っていたが、それだけ武器を扱えるのであればそれらの戦いも試させてもらおう。さっそくですが、稽古の相手になってもらってもよろしいか」
「……そうだな。体をほぐさずとも問題無いだろう」
冷静に門下生たちの力量を視た結果、出た言葉がそれであった。
(サラッと門下生たちの実力をディスってるよな。ちらほらと自分達が嘗められてるって気付いてる連中がいるし)
殺気は漏れていないが、門下生たちからは戦意八割と敵意二割ほどが溢れていた。
「ふっ、気合は十分といったところか」
門下生たちが扱う武器は木刀。しかしそれはトレントの木で作られているので人を十分に殺すだけの威力を出せる。
それに対してザハークは素手で相手をする。
「ささ、どうぞ座ってください」
「失礼します」
二人は腰を下ろして楽な状態でザハークと門下生たちの戦いを観戦する。
「ザハーク、決定打は寸止めだからな。忘れるなよ!!」
「解っている」
若干熱が入っているザハークの解っているは、ソウスケやミレアナにとって少々心配な返事であった。
「大丈夫ですよ。うちには大量のポーションを保管していますからな」
「あっ、今回は俺達が治しますよ。二人共回復魔法が使えるんで」
「そうなのですか……お二人共冒険者として優秀なんですね」
(なんか……今更だが言葉遣いが柔らかいな。俺達が客人だからか? 門下生たちを相手にしていた時は普通に荒々しかったし、きっとそうなんだろう)
ワイルドの近い顔を持ちながらもダンディな雰囲気が混ざっているので、決して第一印象で怖がらせるような容姿では無い。
「まぁ、一応それなりに強いとは思ってます」
「謙遜なさらず。これでも多くの人やモンスターと出会ってきたので解ります。お二人も、従魔のオーガも強いと。それにしても、ソウスケさんは実力を隠すのが上手いですね」
「そうですか? そう感じてるなら嬉しいです。この見た目なんで色々と面倒事が多いんですよ」
「冒険者達は……いえ、冒険者に限らず人の技量を見た目だけで判断する人が多いですからね」
レガースは元々体格が良かったこともあり、今までの人生で他人に嘗めて対応されることは少なかった。
だが、友人や知人がそういった対応取られる場面を少々見てきたので、ソウスケがそういった愚かな連中から見下されるのは予測できた。
「いっそ開き直って力を誇示するのも一つの方法かと」
「私もそれを薦めたいという気持ちはありますが、ソウスケさんは有名になることを望んでいません」
「そうなのか? 珍しいな……ただ、いずれ有名になるのも時間だと思いますが」
「それは……まぁ、その時は仕方がないと思って諦めますよ。それより、ザハークの実力のほどはどうですか」
「ふふ、全くもって問題ありません。門下生たちの心がポッキリと折れてしまわないか少々心配ですがね」
心配などと言いながらもレガースの表情は笑っている。
師範であるレガースが直々に教えているということもあって今ザハークと戦っている門下生たちには少々驕りがあった。
だが、そんな驕りもプライドもザハークと模擬戦を行ったことでバキバキに砕かれていた。
「さぁ、時間はまだまだある。どんどん掛かって来い」
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