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五百八話 面白い依頼なら
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「そうだなぁ……だが、お前らが束になれば勝てないモンスターでも無いだろ。ダンジョンの中に生息してないのか? レガースに付き添ってもらえばある程度の深さまでは潜れるだろ」
「そ、それはそうかもしれないっすけど……師範を便利道具扱いはちょっと……」
「た、確かにそうだよな。トレントと戦うのは俺達だとしてもなぁ」
自分達の師範であるレガースを足代わりに使ってトレントが生息している階層まで連れて行ってもらうのは少々気が引ける。
そんな門下生たちの態度を見てザハークは思わずため息を吐いてしまう。
「はぁ~~~~……お前ら、もう少し頭を使え。レガースは冒険者としても活動しているのだろう。それならお前達が簡単に達成出来る依頼を受けて金を稼ぎ、レガースに自分達をトレントと戦うまでの護衛を頼めば良いだろ」
「……な、なるほど。それの手があったか」
「でも……集めた金がトレントの木剣より高いなんてことにならないか?」
「そこまでは知らん。それはそれで結果オーライだろ。自分達がそこまで潜れるようになれば素材の調達も自分達で出来るようになって必要経費は更に低くなる」
「……ザハークさんって、やっぱり結構考えて生きてる?」
「敵と戦う時は大して考えてないと言ってるだろ」
考えようと思えば考えられる。ただ、考えなくても良い時は考えない。
それがザハークだ。
「肉弾戦が出来るモンスターな尚更だな。己の五体を使って殴り合う……最高の瞬間だ」
「肉弾戦か……やっぱりある程度出来ておいた方が良いっすよね」
「お前らの主力武器である剣が飛ばされた時、もしくは壊されてしまった時に即座に使える武器だからな。剣と同時進行で鍛えておいても良いと思うぞ」
一対一の模擬戦が終わってからもザハークと門下生たちは和気あいあいと話を続け、約一時間後に正式に依頼は終了した。
「今日は本当に来てくれてありがとう。俺にとっても、門下生たちにも良い刺激になった」
「そう言っていただけると光栄です」
お互いに言葉を交わし、ソウスケ達が夕食を食べようとレストランを探しに行こうとした瞬間、一人の門下生がソウスケに声を掛けた。
「そ、ソウスケさん! もし僕達が依頼を出したら受けてくれますか?」
その言葉に対し、ソウスケはニヤッと笑いながら答えた。
「面白そうな依頼なら受けるぞ。じゃあな」
一応受けて貰える可能性があると知った門下生たちの表情に嬉しさが現れた。
そしてそれと同時に一緒に行動できるなら、今よりも強くなっていないと駄目だという思いが湧き上がり、訓練への意欲が溢れ出ていた。
門下生たち訓練に対する意欲が湧き上がったのを察したレガースは顔が綻び、再びソウスケ達が自分達の依頼を受けてくれて良かった感謝していた。
(冒険者の中で偶に高レベルの実力を持つルーキーが現れることはあるが、ソウスケ君ほどずば抜けた実力を持つルーキーはおそらく冒険者史上数名程しかいないのではないだろうか……何はともあれ、あそこまで色々と出来る冒険者は彼だけだろうな)
接近戦だけでなく遠距離戦も余裕でこなすことが出来て錬金術や鍛冶が出来る……そんな冒険者は確かにレガースが考えるようにソウスケしかいない。
(これからは剣の訓練だけではなく、体術の訓練も行おう……課外授業という名目でダンジョンの浅い階層で実戦もありだな)
その辺りは最近門下生たちの自主性に任せていたレガースだが、これからもっと積極的に取り入れていこうと思った。
だが……その前にやらなければいけない事があった。
(……門下生たちには悪いが、俺が生徒達に実戦の感覚を正確に教えられるように実戦訓練を積まなければな)
レガースは三つのダンジョンを全て冒険者と一緒に潜って攻略しているので、瞬時に目的の階層へと向かえる。
それらを考えるとレガースも門下生たちと同じく心が燃え上がっていた。
(……師範を含め、今日は皆さんちょっと暑苦しいですね)
熱く燃え上がるレガースや門下生たちを見てターリアは思わず心の中でそう呟いてしまった。
「そ、それはそうかもしれないっすけど……師範を便利道具扱いはちょっと……」
「た、確かにそうだよな。トレントと戦うのは俺達だとしてもなぁ」
自分達の師範であるレガースを足代わりに使ってトレントが生息している階層まで連れて行ってもらうのは少々気が引ける。
そんな門下生たちの態度を見てザハークは思わずため息を吐いてしまう。
「はぁ~~~~……お前ら、もう少し頭を使え。レガースは冒険者としても活動しているのだろう。それならお前達が簡単に達成出来る依頼を受けて金を稼ぎ、レガースに自分達をトレントと戦うまでの護衛を頼めば良いだろ」
「……な、なるほど。それの手があったか」
「でも……集めた金がトレントの木剣より高いなんてことにならないか?」
「そこまでは知らん。それはそれで結果オーライだろ。自分達がそこまで潜れるようになれば素材の調達も自分達で出来るようになって必要経費は更に低くなる」
「……ザハークさんって、やっぱり結構考えて生きてる?」
「敵と戦う時は大して考えてないと言ってるだろ」
考えようと思えば考えられる。ただ、考えなくても良い時は考えない。
それがザハークだ。
「肉弾戦が出来るモンスターな尚更だな。己の五体を使って殴り合う……最高の瞬間だ」
「肉弾戦か……やっぱりある程度出来ておいた方が良いっすよね」
「お前らの主力武器である剣が飛ばされた時、もしくは壊されてしまった時に即座に使える武器だからな。剣と同時進行で鍛えておいても良いと思うぞ」
一対一の模擬戦が終わってからもザハークと門下生たちは和気あいあいと話を続け、約一時間後に正式に依頼は終了した。
「今日は本当に来てくれてありがとう。俺にとっても、門下生たちにも良い刺激になった」
「そう言っていただけると光栄です」
お互いに言葉を交わし、ソウスケ達が夕食を食べようとレストランを探しに行こうとした瞬間、一人の門下生がソウスケに声を掛けた。
「そ、ソウスケさん! もし僕達が依頼を出したら受けてくれますか?」
その言葉に対し、ソウスケはニヤッと笑いながら答えた。
「面白そうな依頼なら受けるぞ。じゃあな」
一応受けて貰える可能性があると知った門下生たちの表情に嬉しさが現れた。
そしてそれと同時に一緒に行動できるなら、今よりも強くなっていないと駄目だという思いが湧き上がり、訓練への意欲が溢れ出ていた。
門下生たち訓練に対する意欲が湧き上がったのを察したレガースは顔が綻び、再びソウスケ達が自分達の依頼を受けてくれて良かった感謝していた。
(冒険者の中で偶に高レベルの実力を持つルーキーが現れることはあるが、ソウスケ君ほどずば抜けた実力を持つルーキーはおそらく冒険者史上数名程しかいないのではないだろうか……何はともあれ、あそこまで色々と出来る冒険者は彼だけだろうな)
接近戦だけでなく遠距離戦も余裕でこなすことが出来て錬金術や鍛冶が出来る……そんな冒険者は確かにレガースが考えるようにソウスケしかいない。
(これからは剣の訓練だけではなく、体術の訓練も行おう……課外授業という名目でダンジョンの浅い階層で実戦もありだな)
その辺りは最近門下生たちの自主性に任せていたレガースだが、これからもっと積極的に取り入れていこうと思った。
だが……その前にやらなければいけない事があった。
(……門下生たちには悪いが、俺が生徒達に実戦の感覚を正確に教えられるように実戦訓練を積まなければな)
レガースは三つのダンジョンを全て冒険者と一緒に潜って攻略しているので、瞬時に目的の階層へと向かえる。
それらを考えるとレガースも門下生たちと同じく心が燃え上がっていた。
(……師範を含め、今日は皆さんちょっと暑苦しいですね)
熱く燃え上がるレガースや門下生たちを見てターリアは思わず心の中でそう呟いてしまった。
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