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五百二十一話 久しぶりの解錠
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二十一階層から攻略を再開させてから三日が経った……ソウスケ達はその間に二十七階層まで降りていた。
そして二十七階層の階段に近い場所で野営を行っている。
いつも通り熱々の美味い飯を食べ、風呂に入ってその日の疲れを癒す。
「ふぅ~~。さて、ちょっと開けていくか」
風呂から上がり、さっぱりしたソウスケは亜空間に溜まっていた宝箱を取り出し、次々と開けていく。
雷の魔力を利用した解錠方法に敵はなく、罠が仕込まれている宝箱も次々に解錠していった。
「……本職の斥候が見れば唖然とするでしょうね」
「かもしれないな。でも、雷魔法のスキルを習得していれば出来るって方法じゃなく……細かい作業を行える魔力操作がなければ無理だと思う。なんというか……鍵穴に入れ込む魔力量を細かい量で調整しなきゃならないんだよ」
軽々と開けていくソウスケだが、開ける時にはかなり集中して魔力を流し込んでいる。
「多少量を超えるのはギリセーフだけど、あまり量が多過ぎると罠が発動する」
「つまり、才少量から徐々に入れていけば問題無いと」
「使う魔力量はな。鍵を上げる魔力操作はまた別の話だ」
大変な作業なのだ。
そう説明しながらもソウスケはミレアナと喋りながら解錠を続けていく。
そして解錠を始めてからニ十分後、一旦そこで区切ることにした。
「とりあえず今日はこんなところで良いか」
「随分と開けましたね」
「そうだな……てか、やっぱりそこそこ溜まってたよな、ダンジョンで手に入れた宝箱」
発見して手に入れたのは良いが、解錠するのを忘れていた。
そんな宝箱がソウスケの亜空間には大量に残っている。
本来、冒険者はダンジョンで宝箱を発見すればその場で開ける。
もしくは、地上に持って帰ってから敵がいない場所で開けるものだ。
なぜなら……中に良質な物が入っていれば自分達で使う。そして使える道具だが、高く売れる物は売って金にしてしまう。
そして美味い飯を食べたい、泊まる宿のランクを上げたい。今使っている武器よりも質の良い武器を買いたい。
そういった理由があって、なるべく早い内に解錠してしまう。
だが、そんな欲望が少ないソウスケ達にとって直ぐに解錠する必要はない。
金は大量に貯め込んでおり、毎日好きなご飯が食べられる。現在所有している武器に不満は無い。
(……本当に今更だけど、モンスターの解体と一緒に宝箱の解錠も進めておかないとな)
モンスターの死体も宝箱もまだまだ溜まっている。
「次は中身の確認だな」
解錠に一旦区切りをつけたソウスケは中身の確認に移る。
「武器、武器、ポーション、鉱石、靴、盾、ポーション……果実?」
宝箱の中には価値のある道具、あまり効果ではない物……種類、質、共にバラバラだ。
武器は自分達が造れば高性能が物を完成させられると思ってしまう物や、ポーションも自分で造った方が良質な物が作れると感じてしまう質の低い物。
大概の物はソウスケにとって役に立つ道具ではないが、それでも宝箱を開けて中身を確認するのは楽しく感じる。
「これはスキル書……って、三冊も入ってるのかよ。もしかして当たりか?」
当たりかもしれないと思い、鑑定を使って調べる。
調べた三冊は体術、身体強化、爪術。
見事に武道家用の三冊だった。
「……うん、普通に考えればアリだと思うけど、俺としてはちょっと微妙だな」
「見事に専門的な三冊ですね。内容が纏まっているので三冊同時に売れば、割増しで買い取ってもらえると思いますよ」
「そうなのか? でもスキル書って一応貴重だしな……売るかどうかは一旦考えておこう」
あまり実戦では使わないだろうと思う質の武器や道具は纏めてギルドで売ると決め、まだまだ中身を確認していく。
そして宝箱の確認を終えたソウスケが一番興味を引いたのは……一つのコンロとフライパン、そして鍋だった。
「なぁ……これってちょっと馬鹿というか……いや、良いと思う。遊び心があると思うんだけど……ちょっと馬鹿じゃないか?」
「そう、ですね……こちらのフライパンと鍋、ミスリルを使われてますね」
武器を扱う者であれば、一度は憧れるミスリル製の武器。
そのミスリルが、フライパンと鍋の素材として使われていた。
セットになっているコンロも通常の者より火力の調節幅が広く、火が通りにくいモンスターの肉でも焼く時間を短縮できる。
そんな三セットがソウスケが一番興味を持った宝だった。
そして二十七階層の階段に近い場所で野営を行っている。
いつも通り熱々の美味い飯を食べ、風呂に入ってその日の疲れを癒す。
「ふぅ~~。さて、ちょっと開けていくか」
風呂から上がり、さっぱりしたソウスケは亜空間に溜まっていた宝箱を取り出し、次々と開けていく。
雷の魔力を利用した解錠方法に敵はなく、罠が仕込まれている宝箱も次々に解錠していった。
「……本職の斥候が見れば唖然とするでしょうね」
「かもしれないな。でも、雷魔法のスキルを習得していれば出来るって方法じゃなく……細かい作業を行える魔力操作がなければ無理だと思う。なんというか……鍵穴に入れ込む魔力量を細かい量で調整しなきゃならないんだよ」
軽々と開けていくソウスケだが、開ける時にはかなり集中して魔力を流し込んでいる。
「多少量を超えるのはギリセーフだけど、あまり量が多過ぎると罠が発動する」
「つまり、才少量から徐々に入れていけば問題無いと」
「使う魔力量はな。鍵を上げる魔力操作はまた別の話だ」
大変な作業なのだ。
そう説明しながらもソウスケはミレアナと喋りながら解錠を続けていく。
そして解錠を始めてからニ十分後、一旦そこで区切ることにした。
「とりあえず今日はこんなところで良いか」
「随分と開けましたね」
「そうだな……てか、やっぱりそこそこ溜まってたよな、ダンジョンで手に入れた宝箱」
発見して手に入れたのは良いが、解錠するのを忘れていた。
そんな宝箱がソウスケの亜空間には大量に残っている。
本来、冒険者はダンジョンで宝箱を発見すればその場で開ける。
もしくは、地上に持って帰ってから敵がいない場所で開けるものだ。
なぜなら……中に良質な物が入っていれば自分達で使う。そして使える道具だが、高く売れる物は売って金にしてしまう。
そして美味い飯を食べたい、泊まる宿のランクを上げたい。今使っている武器よりも質の良い武器を買いたい。
そういった理由があって、なるべく早い内に解錠してしまう。
だが、そんな欲望が少ないソウスケ達にとって直ぐに解錠する必要はない。
金は大量に貯め込んでおり、毎日好きなご飯が食べられる。現在所有している武器に不満は無い。
(……本当に今更だけど、モンスターの解体と一緒に宝箱の解錠も進めておかないとな)
モンスターの死体も宝箱もまだまだ溜まっている。
「次は中身の確認だな」
解錠に一旦区切りをつけたソウスケは中身の確認に移る。
「武器、武器、ポーション、鉱石、靴、盾、ポーション……果実?」
宝箱の中には価値のある道具、あまり効果ではない物……種類、質、共にバラバラだ。
武器は自分達が造れば高性能が物を完成させられると思ってしまう物や、ポーションも自分で造った方が良質な物が作れると感じてしまう質の低い物。
大概の物はソウスケにとって役に立つ道具ではないが、それでも宝箱を開けて中身を確認するのは楽しく感じる。
「これはスキル書……って、三冊も入ってるのかよ。もしかして当たりか?」
当たりかもしれないと思い、鑑定を使って調べる。
調べた三冊は体術、身体強化、爪術。
見事に武道家用の三冊だった。
「……うん、普通に考えればアリだと思うけど、俺としてはちょっと微妙だな」
「見事に専門的な三冊ですね。内容が纏まっているので三冊同時に売れば、割増しで買い取ってもらえると思いますよ」
「そうなのか? でもスキル書って一応貴重だしな……売るかどうかは一旦考えておこう」
あまり実戦では使わないだろうと思う質の武器や道具は纏めてギルドで売ると決め、まだまだ中身を確認していく。
そして宝箱の確認を終えたソウスケが一番興味を引いたのは……一つのコンロとフライパン、そして鍋だった。
「なぁ……これってちょっと馬鹿というか……いや、良いと思う。遊び心があると思うんだけど……ちょっと馬鹿じゃないか?」
「そう、ですね……こちらのフライパンと鍋、ミスリルを使われてますね」
武器を扱う者であれば、一度は憧れるミスリル製の武器。
そのミスリルが、フライパンと鍋の素材として使われていた。
セットになっているコンロも通常の者より火力の調節幅が広く、火が通りにくいモンスターの肉でも焼く時間を短縮できる。
そんな三セットがソウスケが一番興味を持った宝だった。
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