転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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五百五十一話 思春期の暴走

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「はぁ~~~、終わった終わった」

AクラスでもSクラスと同じ様な件が起き、三人で生徒たちのプライドをボコボコのボロボロにへし折った。
有名な学園に所属し、尚且つエリート組に所属しているとなれば、自然とプライドが肥大化してしまう。

そんなプライドはボキボキに砕かれ、四時間目には全員ソウスケたちの話を真面目に聞くようになった。

「お疲れ様、Aクラスはどうだった」

「……Sクラスと変わらなかったな。殆どの奴が俺を下に見て侮って、結局全負け」

「それはそうだろうな。ソウスケ君に勝てる学生なんて存在しないだろ。掠り傷を負わせられる子もいなかったか?」

「それもいなかったな。ただ、エリートクラスなだけあってやっぱり将来性がある奴は何人かいたな」

現時点でもそれなりに戦えてはいるが、戦いのプロと比べればまだ拙い部分はある。

しかし、卒業してから死ななければ十年後には高ランクになっているであろう生徒は何人か見受けられた。

「Sクラスと同じく、骨がある奴はそれなりにいた。完全に立ち直れるかはまた別だが……そこは腐ってもエリート、時間が解決するだろう」

「ザハークの言う通りかもしれませんね。模擬戦中にどう足掻いても超えられない壁は見せませんでしたし……完全に上を向く意思が消えることはないでしょう」

二人もエリート組に在籍する生徒たちに対して、将来的な可能性を感じていた。
といっても、ミレアナはその可能性を感じるだけで生徒たちには殆ど興味が無い。

だが、生徒たちの大半が……特に男子生徒がミレアナに興味津々。
クラスメートの女子生徒たちも十分魅力的な女性だが、男子生徒たちにはミレアナの方が圧倒的に魅力を感じていた。

しかし模擬戦でボコボコにされたということもあり、今のところ……特に何かアクションを起こそうと考えている生徒はいない。

(そういえば、ミレアナを恋愛対象として見てた生徒が結構いたな)

視線の種類についてある程度解かるので、パーティーのリーダーであるソウスケは頼れる相方がモテモテ状態であることを察していた。

ただ、ついでにミレアナがその男子生徒たちに全く興味を持っていないという点についても既に解っている。

(まだ全員見た訳じゃないけど、この学園で教師をしている先生たちも美人が多いけど……それでもやっぱりミレアナの美しさという美貌? は飛び抜けてるもんな。思春期の生徒が美人教育実習生に惚れてしまう……なんて展開は珍しくないだろう)

過去に臨時教師としてやって来た女性冒険者に一目惚れをし、告白した男性生徒は決して少なくはない。
その反対もあり、女子生徒が男性冒険者に告白するパターンも稀ではあるが、ないこともない。

思春期故の暴走とも言える行動だが、残念ながらその想いが実る可能性はほぼゼロパーセントに近い。

「学食で昼飯食べられるから、そこで食べようぜ」

「学食か……もしかしてタダ?」

「おう、勿論だ。好きなだけおかわりも出来る、学生に優しい食堂だ。味も中々だ」

「なら、昼飯はそこにしようかな」

どの店で食べたいという希望は特に無かったので、ダイアスに案内されるがままに付いて行き、生徒たちと同じく列に並ぶ。

その際に、当たり前だがフロアの生徒たちはソウスケたちに視線を向けていた。

「……意外とソウスケさんを下に見る視線が少ないですね」

「最高学年のSクラスに所属してる生徒たちが何も出来ず、ボロボロにやられたんだ。本人たちの口からその事実が漏れれば、他のクラスや学年は自然と信じる……まっ、例外はいるけどな」

話だけでは信じられない。そう思ってしまうのは仕方ない。
ザハークとミレアナが強いというのは、相手の実力が見抜けない者であってもなんとなく察しが付く。

しかし残念なことに、ソウスケの容姿からは強者感が感じられない。
現役の冒険者たちからすればアホ過ぎる判断だが、まだ本当の意味で修羅場を超えたことがない学生たちがソウスケの実力を初見で把握するのは極めて困難。

(う~~ん、もしかして関係無い学年の生徒から喧嘩売られたりする? でも俺の勤務時間は昼までだからな……そこは気分次第だな)
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