593 / 1,259
五百七十二話 念のため結界を展開
しおりを挟む
「……今日はこれぐらいにしましょう」
一日で三回層ほど降りたミレアナはセーフティーポイントに無事到着。
そこには他の冒険者もおり、突然現れたミレアナの姿に見惚れる者が多くいた。
しかしミレアナはそんな状況に気を取られることはなく、早速夕食の準備を始めた。
今日の間に倒したモンスターの肉を魔法袋から取り出し、香辛料などを使いながら味付けをしていく。
その間に道中で見つけた食べられる果実をカットしていき、せっせとダンジョン内にしては豪華な夕食が作られていく。
「お、おい。あれって香辛料だよな」
「あぁ、そうだな。しかも超新鮮そうな果実まで……う、羨ましい」
ダンジョン内で実っているか実は運が良ければ害を受けることなくゲットできるが、大抵の場合はその果実を狙っているモンスターが近くに生息しており、実に近づく者に襲い掛かる。
故に、モンスターとの戦闘を避けたい冒険者たちは目先に果実があっても、取ろうとしない。
しかしそんなことはハイ・エルフのミレアナには関係無い。
襲い掛かるモンスターをあっさりと仕留め、さらっと果実を回収。
果実だけではなくモンスターの素材や魔石も手に入り、一石二鳥。
ミレアナとしては、何故モンスターを倒してでも果実を得ようとしないのか謎だった。
「さて、お腹を満たしましょう」
上手に焼いた肉を皿に移し、食べやすいサイズにカットしてからいざ実食。
「……いつも通りの味ですね」
そんな感想が口から漏れた。
そしてそれを聞いていた同業者は驚愕のあまり、目が点になっていた。
ついさっき夕食を食べたのに、ミレアナが作った料理の匂いに食欲をそそられ、再びお腹が鳴りだした。
だが、そんな周囲の冒険者たちの事情など知らず、ミレアナは食事を進める。
皿はあっという間に空になり、食べ終わってしまった。
「あっ」
同じセーフティーポイントで過ごしている冒険者たちは、ただただミレアナが夕食を食べてるところを見るだけで、結局声を掛けることは出来なかった。
夕食を食べ終えたミレアナは本日使用した短剣などの刃を研ぎ、風の結界を重ねて張る。
そして結界内で魔法袋の中からソウスケが造った簡易的な風呂を取り出し、お湯を投入。
のんびりとダンジョン内での入浴タイムを楽しみ、その他諸々が終わったミレアナは使用者の疲労を癒す効果が付いた寝袋に入り、睡眠に入った。
セーフティーポイントなので、モンスターは襲い掛かって来ない。
だが、同じ冒険者は話が別。
二十三階層まで一人で潜ってくるという点を考えれば、いかにミレアナの実力が桁外れなのか解る。
解る筈なのだが、一線を超えようとするおバカさんはそういったことを冷静に考えられない。
なので、ミレアナは入ってきたら殺すという意味も込めて、触れた相手を斬り裂く風の結界を重ね掛けして展開した。
これにより、仮に……万が一ミレアナを襲うと思った冒険者が実行しても、ミレアナが目を覚まして攻撃態勢に入るまでの時間は稼げる。
「……おそらく、朝ですね」
結局ミレアナを襲うなどと考える馬鹿はおらず、風の結界は無事。
約八時間後に起床。
起きたミレアナは顔を洗い、風の結界を消さないまま朝食の準備を始めた。
先日の夕食と同じ様な食事を作り、腹を満たす。
量は夕食時と比べて控えめであったので、直ぐに食べ終えて結界を解除。
「少し早いかもしれませんが……問題ありませんね」
まだ完全に朝を迎えていない。
だが、そこは気にせず下に降りていく。
準備万端なミレアナは軽く屈伸運動を行い、再び最下層に向かって走り出した。
「あっ……本当にソロで探索してるんだ」
風の結界が消え、ミレアナが姿を現した。
先日は声を掛けるタイミング全くなかったが、結界が消えて出てきたら声を掛けようと思っていたパーティーがいくつもあった。
ソロでダンジョン内を探索するのは危ない。だから一緒に行動しないか?
ありふれた誘い文句だが、決して言葉の内容は間違っていない。
だが、そんな誘いを受ける前にミレアナは二十四階層に繋がる階段を探し始めた。
一日で三回層ほど降りたミレアナはセーフティーポイントに無事到着。
そこには他の冒険者もおり、突然現れたミレアナの姿に見惚れる者が多くいた。
しかしミレアナはそんな状況に気を取られることはなく、早速夕食の準備を始めた。
今日の間に倒したモンスターの肉を魔法袋から取り出し、香辛料などを使いながら味付けをしていく。
その間に道中で見つけた食べられる果実をカットしていき、せっせとダンジョン内にしては豪華な夕食が作られていく。
「お、おい。あれって香辛料だよな」
「あぁ、そうだな。しかも超新鮮そうな果実まで……う、羨ましい」
ダンジョン内で実っているか実は運が良ければ害を受けることなくゲットできるが、大抵の場合はその果実を狙っているモンスターが近くに生息しており、実に近づく者に襲い掛かる。
故に、モンスターとの戦闘を避けたい冒険者たちは目先に果実があっても、取ろうとしない。
しかしそんなことはハイ・エルフのミレアナには関係無い。
襲い掛かるモンスターをあっさりと仕留め、さらっと果実を回収。
果実だけではなくモンスターの素材や魔石も手に入り、一石二鳥。
ミレアナとしては、何故モンスターを倒してでも果実を得ようとしないのか謎だった。
「さて、お腹を満たしましょう」
上手に焼いた肉を皿に移し、食べやすいサイズにカットしてからいざ実食。
「……いつも通りの味ですね」
そんな感想が口から漏れた。
そしてそれを聞いていた同業者は驚愕のあまり、目が点になっていた。
ついさっき夕食を食べたのに、ミレアナが作った料理の匂いに食欲をそそられ、再びお腹が鳴りだした。
だが、そんな周囲の冒険者たちの事情など知らず、ミレアナは食事を進める。
皿はあっという間に空になり、食べ終わってしまった。
「あっ」
同じセーフティーポイントで過ごしている冒険者たちは、ただただミレアナが夕食を食べてるところを見るだけで、結局声を掛けることは出来なかった。
夕食を食べ終えたミレアナは本日使用した短剣などの刃を研ぎ、風の結界を重ねて張る。
そして結界内で魔法袋の中からソウスケが造った簡易的な風呂を取り出し、お湯を投入。
のんびりとダンジョン内での入浴タイムを楽しみ、その他諸々が終わったミレアナは使用者の疲労を癒す効果が付いた寝袋に入り、睡眠に入った。
セーフティーポイントなので、モンスターは襲い掛かって来ない。
だが、同じ冒険者は話が別。
二十三階層まで一人で潜ってくるという点を考えれば、いかにミレアナの実力が桁外れなのか解る。
解る筈なのだが、一線を超えようとするおバカさんはそういったことを冷静に考えられない。
なので、ミレアナは入ってきたら殺すという意味も込めて、触れた相手を斬り裂く風の結界を重ね掛けして展開した。
これにより、仮に……万が一ミレアナを襲うと思った冒険者が実行しても、ミレアナが目を覚まして攻撃態勢に入るまでの時間は稼げる。
「……おそらく、朝ですね」
結局ミレアナを襲うなどと考える馬鹿はおらず、風の結界は無事。
約八時間後に起床。
起きたミレアナは顔を洗い、風の結界を消さないまま朝食の準備を始めた。
先日の夕食と同じ様な食事を作り、腹を満たす。
量は夕食時と比べて控えめであったので、直ぐに食べ終えて結界を解除。
「少し早いかもしれませんが……問題ありませんね」
まだ完全に朝を迎えていない。
だが、そこは気にせず下に降りていく。
準備万端なミレアナは軽く屈伸運動を行い、再び最下層に向かって走り出した。
「あっ……本当にソロで探索してるんだ」
風の結界が消え、ミレアナが姿を現した。
先日は声を掛けるタイミング全くなかったが、結界が消えて出てきたら声を掛けようと思っていたパーティーがいくつもあった。
ソロでダンジョン内を探索するのは危ない。だから一緒に行動しないか?
ありふれた誘い文句だが、決して言葉の内容は間違っていない。
だが、そんな誘いを受ける前にミレアナは二十四階層に繋がる階段を探し始めた。
123
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
虹色のプレゼントボックス
紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。
安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。
わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。
余計わけのわからない人物に進化します。
作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。
本当に尋常じゃないほど早いです。
残念ながらハーレムは無いです。
全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。
未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。
行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。
なかなかに最悪な気分になりました。
お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。
というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。
お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる