630 / 1,259
六百九話 対立しますか?
しおりを挟む
「ぷっ! だっさ……」
二人の会話がどう発展するの気になる物が多く、ギルド内にはある程度の静けさがあった。
だが、その会話の結果は……氷結の鋼牙に所属するギリスがこっぴどくフラれて終わった。
ミレアナの表情を見れば分かる。
強がりなどではなく、本気でギリス・アルバ―グルという男に……そして、氷結の鋼牙というクランに興味がないということに。
冒険者の中には勿体ないと思う者もいたが、氷結の鋼牙が気に入らないと思っている者だっている。
もっと言えば、ギリス・アルバ―グルという男が嫌いだと思っている者がそれなりに多い。
現在のランクはC。
このまま順調に成長し続ければ、Bランクという一流と呼べる壁を乗り越えられるかもしれない。
そして何より苗字持ち……つまり、貴族の令息なのだ。
貴族特有のそれなりに整った顔を持ち、自身もそれを理解している。
他者よりも自分の容姿の方が優れている。
故に、自然と性格がナルシストよりになってしまった。
今回の目的はミレアナのスカウト。
単純に戦力として……氷結の鋼牙の評価を上げる為に欲しい人材という思いはあった。
だが……そういうのとは別の感情で、スカウト対処が女性なら自分が相手をすれば絶対に受け入れてくれる。
そんな自信がギリスの中にはあった。
あったのだが、そんなしょうもない自信はミレアナのフルスイングで場外まで吹き飛ばされて粉々に砕かれた。
一人の冒険者が吹き出し、笑い始めたことでギルド内にはギリスの失態を笑い、嘲笑する者が増えた。
「ぐっ! き、貴様……よくもこの私に向かってそんな口を」
「あなたがどこの誰だかなんて知りません。それとも、あなたは私と喧嘩をするつもりですか? もしくは……氷結の鋼牙というクランが私と対立するのですか?」
一つのクランが一冒険者と対立する。
決して前例がない訳ではない。
有名どころのクランが一人の冒険者に、一つのパーティーに嘗められるのを良しとしない人物は少なからずいる。
「もし対立するのであれば…………私はあなた達を全力で潰します」
「「「「「ッ!!!???」」」」」
相手を威嚇するための冷気は殺気ではなく、質が本気で潰すと敵意を向けるものに変化した。
一気に変化したミレアナの圧に氷結の鋼牙の面々だけではなく、先程までギリスがフラれたことを笑っていた冒険者たちも思わず体を震わせてしまった。
冒険者たちの中にはこの空気に耐えられず、速足でギルドから出ていく者もいた。
「あぁ、因みに言っておきますが……私の仲間であるザハークは、一人でAランクのモンスターを倒します。勿論、私たちのリーダーであるソウスケさんはそれ以上の実力を持っています。私たちと対立するなら……あなた達では勝てないと思いますよ」
これは驕りではなく、純然たる事実。
ソウスケたちが仮に……本当に氷結の鋼牙と真正面からぶつかったとしても、氷結の鋼牙が勝てる可能性はゼロ。
ソウスケには純粋の己の力や高品質のマジックアイテムだけではなく、レグルスとレーラという最上級の悪魔と契約を結んでいる。
三人が直接手を出さずとも、二人だけでクランを潰す事だって出来る。
「あ、あまり調子に乗らないで貰おうか。私たちを相手に、たった三人で勝てるだと? それに言うに事を欠いて一人でAランクのモンスターを倒せる……更には子供がそれ以上の実力を持っていると? そこまでいくと滑稽過ぎるな。その話を誰が信じると?」
「……残念な人ですね。どうやら、あなたにはそれを理解するだけの力がないようですね……本当に残念な人です。そんなことを解からないのに、ここまで己の力ではなくクランの権威を借りイキり散らかすとは……口と顔だけのピエロなんですね」
まだ手を出さない……その代わりに口に寄る攻撃は全く遠慮しない。
口撃をする瞬間にミレアナの圧が和らぎ、野次馬たちは再び目の前の現状を笑う余裕を取り戻した。
二人の会話がどう発展するの気になる物が多く、ギルド内にはある程度の静けさがあった。
だが、その会話の結果は……氷結の鋼牙に所属するギリスがこっぴどくフラれて終わった。
ミレアナの表情を見れば分かる。
強がりなどではなく、本気でギリス・アルバ―グルという男に……そして、氷結の鋼牙というクランに興味がないということに。
冒険者の中には勿体ないと思う者もいたが、氷結の鋼牙が気に入らないと思っている者だっている。
もっと言えば、ギリス・アルバ―グルという男が嫌いだと思っている者がそれなりに多い。
現在のランクはC。
このまま順調に成長し続ければ、Bランクという一流と呼べる壁を乗り越えられるかもしれない。
そして何より苗字持ち……つまり、貴族の令息なのだ。
貴族特有のそれなりに整った顔を持ち、自身もそれを理解している。
他者よりも自分の容姿の方が優れている。
故に、自然と性格がナルシストよりになってしまった。
今回の目的はミレアナのスカウト。
単純に戦力として……氷結の鋼牙の評価を上げる為に欲しい人材という思いはあった。
だが……そういうのとは別の感情で、スカウト対処が女性なら自分が相手をすれば絶対に受け入れてくれる。
そんな自信がギリスの中にはあった。
あったのだが、そんなしょうもない自信はミレアナのフルスイングで場外まで吹き飛ばされて粉々に砕かれた。
一人の冒険者が吹き出し、笑い始めたことでギルド内にはギリスの失態を笑い、嘲笑する者が増えた。
「ぐっ! き、貴様……よくもこの私に向かってそんな口を」
「あなたがどこの誰だかなんて知りません。それとも、あなたは私と喧嘩をするつもりですか? もしくは……氷結の鋼牙というクランが私と対立するのですか?」
一つのクランが一冒険者と対立する。
決して前例がない訳ではない。
有名どころのクランが一人の冒険者に、一つのパーティーに嘗められるのを良しとしない人物は少なからずいる。
「もし対立するのであれば…………私はあなた達を全力で潰します」
「「「「「ッ!!!???」」」」」
相手を威嚇するための冷気は殺気ではなく、質が本気で潰すと敵意を向けるものに変化した。
一気に変化したミレアナの圧に氷結の鋼牙の面々だけではなく、先程までギリスがフラれたことを笑っていた冒険者たちも思わず体を震わせてしまった。
冒険者たちの中にはこの空気に耐えられず、速足でギルドから出ていく者もいた。
「あぁ、因みに言っておきますが……私の仲間であるザハークは、一人でAランクのモンスターを倒します。勿論、私たちのリーダーであるソウスケさんはそれ以上の実力を持っています。私たちと対立するなら……あなた達では勝てないと思いますよ」
これは驕りではなく、純然たる事実。
ソウスケたちが仮に……本当に氷結の鋼牙と真正面からぶつかったとしても、氷結の鋼牙が勝てる可能性はゼロ。
ソウスケには純粋の己の力や高品質のマジックアイテムだけではなく、レグルスとレーラという最上級の悪魔と契約を結んでいる。
三人が直接手を出さずとも、二人だけでクランを潰す事だって出来る。
「あ、あまり調子に乗らないで貰おうか。私たちを相手に、たった三人で勝てるだと? それに言うに事を欠いて一人でAランクのモンスターを倒せる……更には子供がそれ以上の実力を持っていると? そこまでいくと滑稽過ぎるな。その話を誰が信じると?」
「……残念な人ですね。どうやら、あなたにはそれを理解するだけの力がないようですね……本当に残念な人です。そんなことを解からないのに、ここまで己の力ではなくクランの権威を借りイキり散らかすとは……口と顔だけのピエロなんですね」
まだ手を出さない……その代わりに口に寄る攻撃は全く遠慮しない。
口撃をする瞬間にミレアナの圧が和らぎ、野次馬たちは再び目の前の現状を笑う余裕を取り戻した。
128
あなたにおすすめの小説
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました
朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。
魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。
でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる