650 / 1,259
六百二十九話 あまり汚したくない
しおりを挟む
ソウスケとの模擬戦で多少はストレスが発散されたザハークは、翌日も自ら前に出て遭遇したモンスターを率先して倒していく。
(……ザハークの奴、結構倒すの上手くなったよな)
力任せに倒すのではなく、素材や魔石をギルドで売れるように気を付けて倒す。
その技術がすっかり慣れていた。
楽しめる相手だと戦う時間がなり、敵の体に傷が増えていくが、現在遭遇するモンスターたちではザハークの戦闘欲を満足させるような個体はいない。
そういうこともあって、ザハークは現在なるべく一撃で仕留めることに集中していた。
「下から来ます!」
ミレアナの言葉を信じ、二人はその場から大きく後ろに跳び退く。
「……ミレアナが遭遇したワームの上位種って感じか」
「そのようですね」
Cランクモンスター、メタルワーム。
ワームと同じく地中を縦横無尽に動き回る。
口の中には酸が含まれており、液弾として飛ばすことも可能。
体から毒液を飛ばすことも出来るので、迂闊に近寄れない。
口の中の歯もワームより鋭く硬くなっており、噛まれれば体を持って行かれる可能性が高い。
「さっきまでザハークばかりに戦ってもらってたから、今度は俺が戦うよ」
「……分かった」
メタルという名が付くだけあって皮膚はワームより固いが、あまりザハークにとって好ましいタイプではないのであっさりと引いた。
「武器は……使わない方が良いな」
ソウスケはメインウェポンとしてコボルトキングの素材を使ったグラディウスを使っているが、かなり気に入っているので溶けて使用不可能になるのは勘弁してほしい。
「魔石を抜き取るか……四つか五つぐらいに分断すれば終わりそうだな」
「シュワアアアァァアアアアアアッ!!!!」
メタルワームは殺る気満々な様子でソウスケを食いに掛かる。
「おっと」
口からは酸性の涎が零れており、触れれば皮膚が爛れる光景が容易に思い浮かぶ。
(基本的に酸液や毒液には触れたくないな)
そんな当たり前のことを考えながらメタルワームの咬みつきを躱し、風の刃を放ちながらジワジワと体力を削っていく。
そして中々攻撃が当たらないことにイラついたメタルワームは一度地面に潜ろうとしたが、ソウスケにとってとんでもないチャンスだった。
潜るという行為が罠ということも考えて、近づかずに離れながら特大ウィンドカッターを放ち、ズバッと一刀両断。
「後もう二回ぐらい…………あれ、これで終わりか」
先の一撃で魔石は破壊していない。
しかし体を斬られたメタルワームは少しの間苦しみながらも地面に潜ろうとしたが、途中で完全に停止してしまった。
「なぁ、ミレアナ。これで完全に終わりなの?」
「そうですね。ワームはトレントの様に周囲の物から生命力を吸収したりはしませんし……周りに鉱石などがあれば話は別かもしれませんが、今回はなかったようですね」
このダンジョンでは所々掘れば鉱石は見つかるが、あちらこちらにはないのでメタルワームが食べて自信の生命力に変えられる素材は一つもない。
仮に鉱石を食べたとしても、小さい切り傷であればまだしも特大ウィンドカッターで斬られた様な傷は回復不可能。
どちらにしろ、先程の一撃でメタルワームの死は確定していた。
「やはりソウスケさんの手に掛かれば瞬殺だったな」
「まぁ、結果的にそうだったな」
「これでもレアモンスターだったようですので、やはりこの辺りの階層に出現するモンスターは大した障害にはなりませんね」
体が大きいので地面に埋まった死体を引き上げ、ザハークも参加しながら速攻で解体を終わらせる。
しかし十九階層でレアモンスターであるにもかかわらず、もう一度遭遇。
今度はミレアナがソウスケと同じく切れ味高めのウィンドカッターを放ち、五秒ほどで戦いを終わらせた。
そしてその日の内に三人はニ十階層のボス部屋前に到着した。
(……ザハークの奴、結構倒すの上手くなったよな)
力任せに倒すのではなく、素材や魔石をギルドで売れるように気を付けて倒す。
その技術がすっかり慣れていた。
楽しめる相手だと戦う時間がなり、敵の体に傷が増えていくが、現在遭遇するモンスターたちではザハークの戦闘欲を満足させるような個体はいない。
そういうこともあって、ザハークは現在なるべく一撃で仕留めることに集中していた。
「下から来ます!」
ミレアナの言葉を信じ、二人はその場から大きく後ろに跳び退く。
「……ミレアナが遭遇したワームの上位種って感じか」
「そのようですね」
Cランクモンスター、メタルワーム。
ワームと同じく地中を縦横無尽に動き回る。
口の中には酸が含まれており、液弾として飛ばすことも可能。
体から毒液を飛ばすことも出来るので、迂闊に近寄れない。
口の中の歯もワームより鋭く硬くなっており、噛まれれば体を持って行かれる可能性が高い。
「さっきまでザハークばかりに戦ってもらってたから、今度は俺が戦うよ」
「……分かった」
メタルという名が付くだけあって皮膚はワームより固いが、あまりザハークにとって好ましいタイプではないのであっさりと引いた。
「武器は……使わない方が良いな」
ソウスケはメインウェポンとしてコボルトキングの素材を使ったグラディウスを使っているが、かなり気に入っているので溶けて使用不可能になるのは勘弁してほしい。
「魔石を抜き取るか……四つか五つぐらいに分断すれば終わりそうだな」
「シュワアアアァァアアアアアアッ!!!!」
メタルワームは殺る気満々な様子でソウスケを食いに掛かる。
「おっと」
口からは酸性の涎が零れており、触れれば皮膚が爛れる光景が容易に思い浮かぶ。
(基本的に酸液や毒液には触れたくないな)
そんな当たり前のことを考えながらメタルワームの咬みつきを躱し、風の刃を放ちながらジワジワと体力を削っていく。
そして中々攻撃が当たらないことにイラついたメタルワームは一度地面に潜ろうとしたが、ソウスケにとってとんでもないチャンスだった。
潜るという行為が罠ということも考えて、近づかずに離れながら特大ウィンドカッターを放ち、ズバッと一刀両断。
「後もう二回ぐらい…………あれ、これで終わりか」
先の一撃で魔石は破壊していない。
しかし体を斬られたメタルワームは少しの間苦しみながらも地面に潜ろうとしたが、途中で完全に停止してしまった。
「なぁ、ミレアナ。これで完全に終わりなの?」
「そうですね。ワームはトレントの様に周囲の物から生命力を吸収したりはしませんし……周りに鉱石などがあれば話は別かもしれませんが、今回はなかったようですね」
このダンジョンでは所々掘れば鉱石は見つかるが、あちらこちらにはないのでメタルワームが食べて自信の生命力に変えられる素材は一つもない。
仮に鉱石を食べたとしても、小さい切り傷であればまだしも特大ウィンドカッターで斬られた様な傷は回復不可能。
どちらにしろ、先程の一撃でメタルワームの死は確定していた。
「やはりソウスケさんの手に掛かれば瞬殺だったな」
「まぁ、結果的にそうだったな」
「これでもレアモンスターだったようですので、やはりこの辺りの階層に出現するモンスターは大した障害にはなりませんね」
体が大きいので地面に埋まった死体を引き上げ、ザハークも参加しながら速攻で解体を終わらせる。
しかし十九階層でレアモンスターであるにもかかわらず、もう一度遭遇。
今度はミレアナがソウスケと同じく切れ味高めのウィンドカッターを放ち、五秒ほどで戦いを終わらせた。
そしてその日の内に三人はニ十階層のボス部屋前に到着した。
126
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
虹色のプレゼントボックス
紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。
安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。
わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。
余計わけのわからない人物に進化します。
作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。
本当に尋常じゃないほど早いです。
残念ながらハーレムは無いです。
全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。
未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。
行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。
なかなかに最悪な気分になりました。
お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。
というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。
お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」
勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、
ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。
追放すらできない規約のせいで、
“事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。
だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。
《超記録》――
敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。
生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。
努力で《成長》スキルを獲得し、
記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。
やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。
対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、
記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。
一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。
さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。
街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。
優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。
捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。
爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる