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六百四十話 クソで臭い
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ギリスたちとグローチの戦いは………終わりを迎えた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……クソッ!!!!!」
ギリスは力の限り拳を地面に叩きつけた。
だが、どれだけギリスが怒りをダンジョンにぶつけようとも、死んだクランメンバーは戻って来ない。
十数体のグローチを討伐する。
それは色々な面で中々の功績だが、全てのグローチを倒し終えるまでにギリスを含めて十人いたメンバーの内、三人がグローチに体を食い千切られ、出血多量で亡くなった。
「ギリスさん、申し訳ありません。俺たちがもっと上手く戦えていたら……」
「……それは、私も同じ気持ちだ」
ギリスたちの実力は低くなく、非常にグローチを相手に上手く立ち回っていた。
タンクが足りないという不利な状況の中で本当にうまく戦い、普段以上の実力を発揮出来ていた。
しかし相手もCランクのモンスターであり、昆虫系のモンスターは攻撃を食らっても殆ど痛みがないため、行動不能になるまである程度動き続ける。
(クソッ!!!! 私が……私がもっと強ければ!!!!)
己の弱さを悔むギリス。
もっと強ければ……クランマスターであるフルード・ガルザックの様に強ければと思っても、仲間が死んでしまったという現状は何も変わらない。
そんな状況の中でも、ギリスにはまだ自分たち氷結の鋼牙を馬鹿にしたミレアナたちを襲撃したいという気持ちは残っている。
ただ……ソウスケたちに辿り着く前に仲間が死んでしまったことで、少しだけ冷静さを取り戻した。
「……お前たち、これからどうするか決めるんだ。このまま降り続けてあいつを予定通り襲撃するか、それとも三十層のボスを倒して後、地上に戻る。それか、今から二十一階層に引き返すか」
現在ギリスたちがいる地点は二十八階層。
三十階層まで降りればボス部屋で待っているガーゴイル三体とグレートウルフ二体を倒せば、地上へ戻ることが出来る。
七階層という長い道を戻るという選択肢を選んでも、地上に戻ることが出来る。
ギリスの中ではミレアナたちを潰したいという思いは全く消えていないが、ここはクランメンバーたちの考えを尊重するべきだと決めた。
「私を気にする必要はない。お前たちの……正直な意見を聞かせてくれ」
念の為、使用すれば一瞬で地上に戻ることが出来る帰還石は持っているが、全員分の帰還石はない。
実力が低いメンバーたちだけを地上に戻して、残りのメンバーだけで地上に戻る?
それはそれで生存率が下がってしまう。
そしてギリスのプライド的に、ここで帰還石を持っているメンバーだけ地上に戻ることは許さない。
「ここまで来て何を言ってるんですか、ギリスさん」
「そうですよ。ここまで来たら、俺たちを馬鹿にした奴らを絶対に潰してやりましょう!!!」
「その通りです。それに、こいつらもダンジョンに潜っているからには、こうなるかもしれない覚悟は持っていた筈です」
十人パーティーという、かなりの大人数で下層に向かっていても、イレギュラーに遭遇してしまっては無事にダンジョンから戻って来れない場合もある。
クランメンバーたちはそれを承知で潜っている。
「だから、こいつらの覚悟を無駄にしないように、また急いで駆け下りましょう」
「……あぁ、そうだな。ありがとう」
自分の我儘に付き合ってくれて有難う。
そんな思いが籠った言葉を零した。
だが、今回のソウスケたちを襲撃する件に付いてきたメンバーは元々ギリスに付き従う者たちばかり。
仮に仲間が死んでしまっても、ここで地上に戻りましょうと口に出す者はいない。
「よし!! 行くぞ!!!!」
「「「「「はい!!!!」」」」」
気合を入れなおして再び階層を降り始めるギリスたちだが……もし、仮にこの場にソウスケがいれば「いや、クソで臭過ぎるだろ」とツッコんでいた。
ただ、今のギリスたちは自分たちが傍から見ればアホだと思われる行動をしていたとは、一ミリも思っていなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……クソッ!!!!!」
ギリスは力の限り拳を地面に叩きつけた。
だが、どれだけギリスが怒りをダンジョンにぶつけようとも、死んだクランメンバーは戻って来ない。
十数体のグローチを討伐する。
それは色々な面で中々の功績だが、全てのグローチを倒し終えるまでにギリスを含めて十人いたメンバーの内、三人がグローチに体を食い千切られ、出血多量で亡くなった。
「ギリスさん、申し訳ありません。俺たちがもっと上手く戦えていたら……」
「……それは、私も同じ気持ちだ」
ギリスたちの実力は低くなく、非常にグローチを相手に上手く立ち回っていた。
タンクが足りないという不利な状況の中で本当にうまく戦い、普段以上の実力を発揮出来ていた。
しかし相手もCランクのモンスターであり、昆虫系のモンスターは攻撃を食らっても殆ど痛みがないため、行動不能になるまである程度動き続ける。
(クソッ!!!! 私が……私がもっと強ければ!!!!)
己の弱さを悔むギリス。
もっと強ければ……クランマスターであるフルード・ガルザックの様に強ければと思っても、仲間が死んでしまったという現状は何も変わらない。
そんな状況の中でも、ギリスにはまだ自分たち氷結の鋼牙を馬鹿にしたミレアナたちを襲撃したいという気持ちは残っている。
ただ……ソウスケたちに辿り着く前に仲間が死んでしまったことで、少しだけ冷静さを取り戻した。
「……お前たち、これからどうするか決めるんだ。このまま降り続けてあいつを予定通り襲撃するか、それとも三十層のボスを倒して後、地上に戻る。それか、今から二十一階層に引き返すか」
現在ギリスたちがいる地点は二十八階層。
三十階層まで降りればボス部屋で待っているガーゴイル三体とグレートウルフ二体を倒せば、地上へ戻ることが出来る。
七階層という長い道を戻るという選択肢を選んでも、地上に戻ることが出来る。
ギリスの中ではミレアナたちを潰したいという思いは全く消えていないが、ここはクランメンバーたちの考えを尊重するべきだと決めた。
「私を気にする必要はない。お前たちの……正直な意見を聞かせてくれ」
念の為、使用すれば一瞬で地上に戻ることが出来る帰還石は持っているが、全員分の帰還石はない。
実力が低いメンバーたちだけを地上に戻して、残りのメンバーだけで地上に戻る?
それはそれで生存率が下がってしまう。
そしてギリスのプライド的に、ここで帰還石を持っているメンバーだけ地上に戻ることは許さない。
「ここまで来て何を言ってるんですか、ギリスさん」
「そうですよ。ここまで来たら、俺たちを馬鹿にした奴らを絶対に潰してやりましょう!!!」
「その通りです。それに、こいつらもダンジョンに潜っているからには、こうなるかもしれない覚悟は持っていた筈です」
十人パーティーという、かなりの大人数で下層に向かっていても、イレギュラーに遭遇してしまっては無事にダンジョンから戻って来れない場合もある。
クランメンバーたちはそれを承知で潜っている。
「だから、こいつらの覚悟を無駄にしないように、また急いで駆け下りましょう」
「……あぁ、そうだな。ありがとう」
自分の我儘に付き合ってくれて有難う。
そんな思いが籠った言葉を零した。
だが、今回のソウスケたちを襲撃する件に付いてきたメンバーは元々ギリスに付き従う者たちばかり。
仮に仲間が死んでしまっても、ここで地上に戻りましょうと口に出す者はいない。
「よし!! 行くぞ!!!!」
「「「「「はい!!!!」」」」」
気合を入れなおして再び階層を降り始めるギリスたちだが……もし、仮にこの場にソウスケがいれば「いや、クソで臭過ぎるだろ」とツッコんでいた。
ただ、今のギリスたちは自分たちが傍から見ればアホだと思われる行動をしていたとは、一ミリも思っていなかった。
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