転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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六百四十一話 その速さは別

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「えっと……なんだこいつ?」

いつも通りダンジョンを探索していると、一体のモンスターと遭遇。
ダンジョンを探索していればモンスターと遭遇することなど当たり前。

それはソウスケも重々分かっている。

急いで下の階層に降りようとしていても、モンスターと遭遇することは決して珍しくない。

(分類的にはレッドゴーレム……いや、マグマゴーレムか?)

遭遇したモンスターが火の属性を有したゴーレムであることは分かる。

であれば、何にソウスケは驚いているのか?

それは……目の前のゴーレムの大きさだった。

「マグマゴーレム、ではないでしょうか。ただし、以上に大きいサイズではありますが」

「ミレアナの言う通りだな。かなり大きいサイズと」

基本的にゴーレムのサイズはソウスケたちよりも大きい。

しかし、三人の目前に立っているマグマゴーレムの大きさは通常の三倍はある。

「攻撃して来るぞ」

巨腕を振り上げ、全力で振り下ろされる拳。
とんでもない威力があるというのは感じ取れる……ただ、三人からすればそのスイングスピードはやや遅かった。

「……うん、威力はとてつもないな」

マグマゴーレム? が振り下ろした拳を三人は見事躱したが、振り下ろされ地面は大きく陥没。
まるで隕石が落ちた跡のクレーターの様になっている。

(とりあえず視てみるか)

鑑定を使って巨大なマグマゴーレム? を調べた結果、確かにマグマゴーレムであることに変わりはなかった。

だが、名前にはジャイアントの文字がある。

(ジャイアントマグマゴーレムか……確かにジャイアントと呼べる体の大きさだ。でも、ランクはCなんだな)

陥没した地面を見る限り、Bランクモンスター並みの攻撃力はある。

ソウスケのその感想は間違っていない。
だが、三人が感じた通り……ジャイアントマグマゴーレムの攻撃や遅いのだ。

同じマグマゴーレムの攻撃よりも少し遅いと感じるほどに……遅く、避けやすい。

(けどさ……再生のスキルを持ってるのは、ちょっとズルいよな)

ソウスケも含め、三人とも軽く攻撃するが、欠けた部分は数秒ほど経てば元通りになってしまう。

「こいつ、再生のスキルを持ってるぞ」

「治りが早いのはその影響か……ゴーレムであれば、環境次第で回復することを考えれば……動きは遅いが、厄介なモンスターではあるな」

現在、ソウスケたちが戦っている場所はマグマ地帯。
マグマゴーレムにとってはとても有難い環境。

動きが遅いのであれば、大きな攻撃を当てて倒せば良いのではないか?
そう思うかもしれないが、ゴーレムにもある程度の危機感知能力がある。

敵が大魔法を撃とうとすれば、まずはそれを潰そうとする。
その動きを封じれば良いと考えるかもしれないが、多少の攻撃ではまともに止めることが出来ない。

「ただ体が大きいだけではないのですね。他のパーティーが遭遇すれば……大抵は逃げるという選択肢を取る相手ですね」

「ん~~~……そう、かもしれないな」

厄介ない再生力と、当たればタンクでも吹き飛ばされるかもしれない攻撃力。

(逃げるという選択肢がベストなのかもしれないけど……ゴーレム系にはロケットパンチがあるからな。背を向けて逃げようとすれば、それはそれで危ない)

自身の腕は飛ばして相手に当てるロケットパンチ。
直ぐ手を再生出来るゴーレムだからこその面倒な攻撃。

ゴーレム系のモンスター自体は、目の前のジャイアントマグマゴーレムを含め、遅い。
だがそんな中でロケットパンチの速さだけはゴーレムの動きに関係無く、ある程度速い。

「さて、とりあえず四肢を斬り裂こうか」

「「了解」」

偶々遭遇したジャイアントマグマゴーレムがBランクモンスターに匹敵するである力を持つことは分かったが、三人は冷静に仕留める為の行動を開始。

ジャイアントマグマゴーレムの攻撃を食らわないようにしながら水の魔力を理想の形に留め、水刃を放つ。

ただの水刃ではなく、電動ノコギリの様に回転し続ける水刃。
この攻撃を同じ個所に連続で食らったジャイアントマグマゴーレムの体は見事に斬り裂かれ、切断に成功した瞬間にソウスケが直ぐに切断部分を亜空間に放り投げる。

こうしてジャイアントマグマゴーレムはサクッと六等分され、最後は丁寧に重要部位である魔石を抜かれ行動不能に
追い込まれてしまった。
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