転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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七百話 そこまで鬼ではない

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「いや~~~、胸に染みる言葉だったな」

宴が終わった後、ソウスケはラップたちに誘われてミレアナとザハークと別れ、バーに来ていた。

(本当は二十歳になるまで呑まない方が良いんだろうけど……あんまり度数が高くないやつなら、本当に美味しいな)

酒の味が解る……なんて言えるほど色々と飲んではいないが、それでもラップたちに連れられてやって来た店のお酒は素直に美味しいと感じた。

「胸に染みるって……もしかして、俺がフォルクスに伝えた内容のことっすか?」

「おう、それだそれ」

ジャンは勢い良く飲み干し、店員にもう一杯頼んだ。

「自分を追い込んで追い込む……そうして手に入れられる強さもあるんだよ、実際にな」

「……俺としては、あんな事言った本人がこんなことを言うのもあれなんですけど、ちょっと酷な事を言ってしまったなと思ってます」

「まぁ、間違ってはいないな」

この場にはCランク冒険者の男性組が集まっており、ソウスケの言葉に一理あると思いながらも……それを実行するのが難しいと解っている。

「ジャンは斥候なのにたまに突っ走るからな……それが俺たちに勢いをくれることもあるけど、普通に心配だ」

「うっ、それは悪いと思ってるよ。でもよ、そうやって必死に……前に突っ走ったから、今の強さがあると俺は思ってる」

一時期、ジャンは自分の弱さを嘆き、休息の期間でも一人でダンジョンに潜ったり、訓練場で我武者羅に鍛え続けていたことがあった。

「ジャンの努力を……覚悟を否定するつもりはない。だが、やはりフォルクスたちにソウスケが伝えた内容を実行するのは……リスクが高い」

「そうじゃのう。仮にジープたちが本気で強くなりたいと……上を目指したいという気持ちがあったとしても、先輩としては、まず止める」

当たり前だが、普通の冒険でもいつモンスターや敵が襲ってきても大丈夫なように神経を尖らせ、集中力を使う。
そして冒険から帰ってくれば飯を食べ、酒を呑み……余力が残っていれば風呂に入ってから寝る。

その翌日は当然、休んで体調を万全にするもの。
訓練をするのも悪いことでは無いが、ほどほどにしなければ翌日の冒険や依頼に響く。

「そうしてください。我ながら身勝手な事を言ったと思います」

「いやいや、間違っちゃいないぜ。あいつらに才能が無いとは思わないけど、ソウスケ君たちみたいにぐんぐん上に行ける特別な力? 的なのはないんだよ。ぶっちゃけあいつらは順調に冒険者としての階段を上ってるんだよ。まぁ、最近良いところがあったかといえば……そうじゃないかもしれないけどよ」

「ジャンの言う通りだな。冒険者になってから数年でDランクまで上がってきたのは十分に上出来。ただ、ここ最近は少し停滞している気がする」

「停滞って……今回の討伐戦に選ばれたのを考えると、ギルドからの評価は高いですよね」

「ん、ん~~…………普通ならそう考えられるんだけど、今回の場合だと少しギルド側の考えは違ったと思うんだよね」

まだ三十代には突入してないが、冒険者としてそれなりに経験豊富なラップは、ある程度ギルドの考えを読めていた。

「今回の討伐戦には、お主やミレアナ……それにザハークもおったじゃろ。ギルドもソウスケたちの実力はBやA並というのは把握しておるはず」

「何か問題が起こったとしても、ソウスケたちがいれば解決してくれる……そう思っていたのだろう」

「てなると、フォルクスたちは先輩たちや実力者たちの背中を見て成長の糧にしろよ~~って、ギルド側には思われてたんだよ。多分だけどな」

要は、ギルド側は今回の討伐戦で……あまりフォルクスたちを戦力として考えていなかったのだ。

「あ、今のはあいつらに伝えるなよ。露骨に落ち込むだろうし」

「も、勿論分かってます」

ソウスケも説教した後に追い打ちをかけるほど鬼ではない。
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