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七百十四話 性格が悪い
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マグマリザードマンの解体と細身のレッドゴーレムの回収が終わり、三人は再びモンスターを倒しながら遺跡にある宝箱を探し続ける。
「あああぁぁ……」
すると、どこからともなく悲鳴、叫び声に似た何かが聞こえたが、直ぐに消えてしまった。
「今、どう考えても人の叫び声だったよな」
「そうですね。しかも複数の声がしました」
「……ちょっと行ってみるか」
何故叫び声が消えたのかは分からないが、それでも原因が気になったソウスケは声が聞こえた場所に向かった。
「行き止まり、だな……奥に宝箱があるけど」
三人の目の前にはトラップ、モンスターはない。
だが、奥に行けば宝箱がある。
「こっちから聞こえたよな」
「間違いありません」
ミレアナの聴力はソウスケやザハークより優れており、入り組んだ場所でも声が聞こえた位置を把握し、必ずその場に辿り着ける。
だが、目の前には叫び声の主であろう冒険者……もしくはその他の存在がない。
「……どうやら人はいたっぽいな」
ソウスケは指輪状の蛇腹剣が持つスキル、嗅覚強化を使って残り香を調べた。
やはりこの場には誰かがいた。
匂いから察するに、五人の冒険者がいた……しかし、現場の状況としては……その五人がいないというのが現実。
「とりあえず、あの宝箱は貰っちゃうか」
一般的な宝箱と比べて、外見が違う宝箱。
冒険者として、目の前に宝箱があるのに、引くという選択肢はない。
しっかりと、罠がないかを確認して……宝箱を鑑定で調べてから手に取る・
「さて、探索を続けるか」
「今開けないのですか?」
「探索が一段落してからにしようと思ってな」
ソウスケの考えに意見をするつもりはなく、三人は再び遺跡を探索し……もう宝箱が残っていないなと思ったら下に降りる階層へと向かう。
相変わら順調すぎる探索ペースで進むソウスケたちが、他とは外見が違う宝箱が手に入れてから約三十分後……転移系の罠に引っ掛かった冒険者たちがその場に戻って来た。
「ふぅ~~~、危なかったな」
「そうね。転移系のトラップだからモンスターハウスはある程度予想してたけど、Bランクのモンスターが複数もいるのはちょっとね……」
「正直、死ぬかと思った。まっ、今回のトラップは仕方ない」
ソウスケが残り香で存在を確認した五人が、トラップに引っ掛かった場所に戻って来た。
五人が引っ掛かってしまったトラップはかなり性格が悪く、一定間隔で消えたり現れたりする。
ダンジョンの中でも滅多に現れないトラップだが、存在は確認されている。
上級者向けダンジョンでも、過去にそのトラップに引っ掛かった例が存在する。
パーティーの斥候担当は自分のせいでパーティーメンバーが死にかけたと思って落ち込んでいるが、誰も斥候を責める者はいなかった。
結果として全員生き残り、モンスターハウスのモンスターを全て倒した褒美として、特別な宝箱を手に入れた。
まだ開けてはいないが、それでもただの宝箱でないのは明白。
ただ……メンバーの一人が転移トラップに引っ掛かる前に、目の前にあった宝箱の存在を思い出した。
「あの宝箱は……嘘でしょ」
自分たちがトラップに引っ掛かった場所に戻って来た。
その自覚があるからこそ、視界に入っていた宝箱の存在を思い出し……あの宝箱もゲットできると思っていた。
だが、そこに目を向けると……もう宝箱は残っていなかった。
「あちゃ~~。まっ、仕方ないっちゃ仕方ないよな」
「そうだな。誰かが、俺たちが戻る前に手に入れてしまった様だ」
これに関しては本当に仕方ないとしか言いようがない。
上級者向けダンジョンにはこの五人以外にも、他の冒険者たちがそれなりに潜っている。
当然、この下層にも少数ではあるが、冒険者たちが探索している。
五人がモンスターハウスで奮闘している間に、他の冒険者たちがゲットしてしまった。
女性冒険者もそれは理解出来る。
理解出来るが……宝箱の外見的に、モンスターハウスをクリアした報酬として手に入れた宝箱と同じく、普通の宝箱ではないと分かっていただけに、その悔しさは簡単に消えなかった。
「あああぁぁ……」
すると、どこからともなく悲鳴、叫び声に似た何かが聞こえたが、直ぐに消えてしまった。
「今、どう考えても人の叫び声だったよな」
「そうですね。しかも複数の声がしました」
「……ちょっと行ってみるか」
何故叫び声が消えたのかは分からないが、それでも原因が気になったソウスケは声が聞こえた場所に向かった。
「行き止まり、だな……奥に宝箱があるけど」
三人の目の前にはトラップ、モンスターはない。
だが、奥に行けば宝箱がある。
「こっちから聞こえたよな」
「間違いありません」
ミレアナの聴力はソウスケやザハークより優れており、入り組んだ場所でも声が聞こえた位置を把握し、必ずその場に辿り着ける。
だが、目の前には叫び声の主であろう冒険者……もしくはその他の存在がない。
「……どうやら人はいたっぽいな」
ソウスケは指輪状の蛇腹剣が持つスキル、嗅覚強化を使って残り香を調べた。
やはりこの場には誰かがいた。
匂いから察するに、五人の冒険者がいた……しかし、現場の状況としては……その五人がいないというのが現実。
「とりあえず、あの宝箱は貰っちゃうか」
一般的な宝箱と比べて、外見が違う宝箱。
冒険者として、目の前に宝箱があるのに、引くという選択肢はない。
しっかりと、罠がないかを確認して……宝箱を鑑定で調べてから手に取る・
「さて、探索を続けるか」
「今開けないのですか?」
「探索が一段落してからにしようと思ってな」
ソウスケの考えに意見をするつもりはなく、三人は再び遺跡を探索し……もう宝箱が残っていないなと思ったら下に降りる階層へと向かう。
相変わら順調すぎる探索ペースで進むソウスケたちが、他とは外見が違う宝箱が手に入れてから約三十分後……転移系の罠に引っ掛かった冒険者たちがその場に戻って来た。
「ふぅ~~~、危なかったな」
「そうね。転移系のトラップだからモンスターハウスはある程度予想してたけど、Bランクのモンスターが複数もいるのはちょっとね……」
「正直、死ぬかと思った。まっ、今回のトラップは仕方ない」
ソウスケが残り香で存在を確認した五人が、トラップに引っ掛かった場所に戻って来た。
五人が引っ掛かってしまったトラップはかなり性格が悪く、一定間隔で消えたり現れたりする。
ダンジョンの中でも滅多に現れないトラップだが、存在は確認されている。
上級者向けダンジョンでも、過去にそのトラップに引っ掛かった例が存在する。
パーティーの斥候担当は自分のせいでパーティーメンバーが死にかけたと思って落ち込んでいるが、誰も斥候を責める者はいなかった。
結果として全員生き残り、モンスターハウスのモンスターを全て倒した褒美として、特別な宝箱を手に入れた。
まだ開けてはいないが、それでもただの宝箱でないのは明白。
ただ……メンバーの一人が転移トラップに引っ掛かる前に、目の前にあった宝箱の存在を思い出した。
「あの宝箱は……嘘でしょ」
自分たちがトラップに引っ掛かった場所に戻って来た。
その自覚があるからこそ、視界に入っていた宝箱の存在を思い出し……あの宝箱もゲットできると思っていた。
だが、そこに目を向けると……もう宝箱は残っていなかった。
「あちゃ~~。まっ、仕方ないっちゃ仕方ないよな」
「そうだな。誰かが、俺たちが戻る前に手に入れてしまった様だ」
これに関しては本当に仕方ないとしか言いようがない。
上級者向けダンジョンにはこの五人以外にも、他の冒険者たちがそれなりに潜っている。
当然、この下層にも少数ではあるが、冒険者たちが探索している。
五人がモンスターハウスで奮闘している間に、他の冒険者たちがゲットしてしまった。
女性冒険者もそれは理解出来る。
理解出来るが……宝箱の外見的に、モンスターハウスをクリアした報酬として手に入れた宝箱と同じく、普通の宝箱ではないと分かっていただけに、その悔しさは簡単に消えなかった。
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