転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
758 / 1,293

七百二十八話 障壁が必要

しおりを挟む
「……」

「……」

ソウスケがガルムの前に現れ……既に両者とも強化系のスキルを発動している。

だが、対面してから数十秒……ソウスケもガルムも一歩も動かない。

(できれば、なるべく傷付けずに倒したいけど、多分無理だよな)

バチバチに戦ってみたい欲はある。
しかし……Aランクのモンスターということから、鍛冶師として素材がとてつもなく欲しい。
そちらの欲も溢れてきているので、中々悩ましいところ。

それでもソウスケから溢れ出る闘争心を警戒し、逃げるつもりはないが……それでも中々一歩踏み出せない。

(欲を言えば……首をスパッと斬って倒す。それをイメージしながら戦うか)

簡単な最後を決め、先に一歩踏み出したのはソウスケ。

「ふんっ!!!」

「ッ!!」

大胆に距離を詰め、水龍の蒼剣を全力で振るった。
その一撃は先日戦った溶岩竜であれば、体を一刀両断……とまではいかないかもしれないが、高速回復能力では直ぐに治せない威力はあった。

「……ミレアナ、一応壁を用意しておくか」

「えぇ、そうしましょう。そうしておくべきです」

二人はソウスケの斬撃を見て、直ぐに水と風の障壁を生み出した。

今までソウスケが放ってきた中で、一番の高威力である斬撃。
余波で地面がバサッと斬り裂かれており、ガルムの毛がほんの少しだけ切られていた。

「やっぱり躱すよな」

初っ端の斬撃が毛を切るだけで終わったが、ソウスケが気落ちすることなく連続で攻め続ける。
現在ソウスケは、自身の身体強化だけではなく、蛇腹剣の身体強化も使用している。

二重の身体強化は常人が目で追えない速度で動いている。
だが、そんな動きにガルムは付いていっており……更にはブレスや爪撃をカウンターでぶち込んでいた。

(いや、本当に速いな。もしかして、今まで遭遇してきたモンスターの中で、最速?)

今のところ攻撃魔法は使わず、水龍の蒼剣を使って直接斬りつける……もしくは斬撃を飛ばす。
その二択だけで攻撃を行っているが、まだクリーンヒットはなく、毛が切れるだけ。

(割と全力で動いてるんだけど……当たらないな。なんでだ…………へぇ~~、そんなスキルあるんだ)

改めてガルムを鑑定して調べると、経験予測というスキルを確認。

ソウスケが更に強化系スキルを使用すれば、ガルムのスピードを越えることが出来なくもないが……経験予測というスキルを持っていると知ると、あまり更に強化しても意味は無いのかと思い、一旦脚を止めた。

「ふぅ……結構面倒な相手っぽいな」

Aランクのモンスターなので、ソウスケやザハークたち並みに強くとも、面倒と感じるのは間違いない。
加えて、ただ速いだけではなくガルムは経験予測のスキルを使い、ソウスケの攻撃はかなりギリギリではあるが、上手く躱されている。

「ッ!!!」

「クソッ! 考えさせてくれないか!!」

どうやって攻めようかと考えていると、先にガルムが呼吸を整え……爪に炎を纏いながら、ソウスケを潰すように全力で振るう。

(そりゃ速いだけじゃないよな)

爪撃は躱すことは出来たが、その跡を見たソウスケはやはり食らいたくないと思い、そろそろ攻撃魔法も使おうかと思った瞬間に速さが瞬間的に増した。

「うっ! おっ!!??」

空中にいる瞬間に爪撃を食らい、水龍の蒼剣で炎爪撃をガードすることは出来たが、思いっきり吹き飛ばされてしまう。

「っと……瞬動? 筋肉の溜め? ちょっとびっくりしたな」

いきなりの加速に少々驚かされたが、ギリギリ反応は可能。
吹き飛ばされはしたが、自身の後ろの風を発生させ、何十メートルも吹き飛ばされずに済んだ。

(まだちょっと、ブレーキがあったかな)

綺麗な素材が欲しいという願望が自分の中にあるのは理解していた。
だが、ガルムとの戦闘を開始し……少々その思いが強いなと感じ……強制的に意識を切り替えた。
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

忍者ですが何か?

藤城満定
ファンタジー
ダンジョンジョブ『忍者』を選んだ少年探索者が最強と呼ばれるまで。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

30代からはじめるダンジョン攻略!脱サラ男によるダンジョン攻略術。

神崎あら
ファンタジー
31歳、独身、職業攻略者。 世界にはダンジョンと呼ばれる不思議な建造物が出現して早20年、現在世界はまさにダンジョン時代と呼ばれるほどにダンジョンビジネスが盛んになった。  これはそんなダンジョン攻略者になったアラサー男性の冒険譚である。 ※話数の表記の修正と同じ話の整理を行いました。 18時更新します

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

処理中です...