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七百五十五話 前者であれば……
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二度目の遺跡探索。
ソウスケたちは先日降りた場所まで一気に駆け下りていき、本格的に探索を再開。
(……微妙にだけど、下の階層にいるモンスターの方が、ちょっと強いな)
ダンジョンの様に正確に強さが別れている訳ではないが、体感としては下の階層に降りれば降りるほど、通路をウロチョロしているモンスターのレベルが少々高くなる。
(まっ、だからといって油断してたら、上の方の階層でボコボコにされるだろうな)
当たり前の様にCランクのモンスターも徘徊しているので、古代遺跡の探索にルーキーが参加すれば、一瞬でミンチにされる可能性は普通に高い。
とはいえ、そんなモンスターたちもザハークにとっては遊び相手。
今もソウスケの目の前で二体のリザードマンを捻り潰している。
「ソウスケさん、こいつが持っていたロングソードは普通じゃないよな」
戦闘が終わり、一体のリザードマンが装備していたロングソードを主人に引き渡す。
(吸魔の剣……どっかで見たことあるな)
ザハークから渡されたロングソードに見覚えがあるソウスケ。
それもそのはず。
以前、中級者向けダンジョンを探索している時に手に入れた宝箱に同じ品が入っていた。
ただ……質は同じではない。
(あれはランク三だったけ? でも、こっちはランク五か……えっ、ランク五!?)
先日の探索では、当然といえば当然なのだが、殆ど珍しい品が手に入ることはなかった。
手に入れた物も家具なので、もはやソウスケにとって、古代遺跡での楽しみは……もしかしたらあるかもしれない名槍のみ。
そう思っていたが、なんとも珍しい品をリザードマンが所有していた。
「……これを、そのリザードマンが持ってたのか?」
「あぁ、そうだ。上等な武器なのだろうが、普通のリザードマンではな……」
確かに武器の質はかなり上等。
斬りつけた相手、もしくは攻撃魔法などから魔力を斬り取ってしまう効果を持つ。
加えて、斬り取った魔力は剣に貯蔵できる。
ランクによってその貯蔵量や、一斬りで吸収できる魔力が変化するが……ランク五ともなれば、非常に戦闘で役立つレベル。
何故通常種のリザードマンが、こんな上等な剣を?
そんな疑問を持ったソウスケだが、直ぐにその疑問は解決。
(ダンジョンじゃないなら、吸収されないんだったな)
ダンジョン内で冒険者が死ねば、一定時間経つと、死体と共に武器などもダンジョンに吸収されてしまう。
しかし、三人が現在いる場所は古代遺跡。
例え冒険者が死んでも、死体や武器は残り続ける。
「別に貰っても良いよな」
「? 良いと思うが」
ランク五の武器を所有していたとなれば、それなりに高名な冒険者だったかもしれない。
ただ、落し物は基本的に自分の物にして構わない。
自己責任ゆえに、取り返そうとすれば……それなりの対価を支払わなければならない。
(というか……ちょっと待てよ)
ランク五の吸魔の剣が冒険者の所有物だったのか……それとも、遺跡内に残っていた品かは分からない。
しかし、仮に前者であれば、ランク五武器を所有するような強者を倒せるだけの実力を持つモンスターが、まだ遺跡内を徘徊している可能性がある。
「……ザハーク、もしかしたらヴァルガングみたいに、楽しめる相手がここら辺を徘徊してる可能性があるぞ」
「っ! それは……本当か」
「私も、その可能性はあると思いますよ」
リザードマンの死体を解体しているミレアナも、ソウスケと同じ回答に至った。
(ランク五の武器を持っていたとなれば……最低でもCランク。いや、Bランクの冒険者が妥当か)
遺跡にはダンジョンと同じく、三人から五人ほどで探索を行うのが一般的。
(複数のBランク冒険者を蹴散らした存在……って考えれば、相当強いよな)
その強敵はザハークに譲ろうと思いながらも、いったいどんなモンスターなのか、ワクワクが止まらず……数時間後、三人とっては運良く強敵に遭遇できてしまった。
ソウスケたちは先日降りた場所まで一気に駆け下りていき、本格的に探索を再開。
(……微妙にだけど、下の階層にいるモンスターの方が、ちょっと強いな)
ダンジョンの様に正確に強さが別れている訳ではないが、体感としては下の階層に降りれば降りるほど、通路をウロチョロしているモンスターのレベルが少々高くなる。
(まっ、だからといって油断してたら、上の方の階層でボコボコにされるだろうな)
当たり前の様にCランクのモンスターも徘徊しているので、古代遺跡の探索にルーキーが参加すれば、一瞬でミンチにされる可能性は普通に高い。
とはいえ、そんなモンスターたちもザハークにとっては遊び相手。
今もソウスケの目の前で二体のリザードマンを捻り潰している。
「ソウスケさん、こいつが持っていたロングソードは普通じゃないよな」
戦闘が終わり、一体のリザードマンが装備していたロングソードを主人に引き渡す。
(吸魔の剣……どっかで見たことあるな)
ザハークから渡されたロングソードに見覚えがあるソウスケ。
それもそのはず。
以前、中級者向けダンジョンを探索している時に手に入れた宝箱に同じ品が入っていた。
ただ……質は同じではない。
(あれはランク三だったけ? でも、こっちはランク五か……えっ、ランク五!?)
先日の探索では、当然といえば当然なのだが、殆ど珍しい品が手に入ることはなかった。
手に入れた物も家具なので、もはやソウスケにとって、古代遺跡での楽しみは……もしかしたらあるかもしれない名槍のみ。
そう思っていたが、なんとも珍しい品をリザードマンが所有していた。
「……これを、そのリザードマンが持ってたのか?」
「あぁ、そうだ。上等な武器なのだろうが、普通のリザードマンではな……」
確かに武器の質はかなり上等。
斬りつけた相手、もしくは攻撃魔法などから魔力を斬り取ってしまう効果を持つ。
加えて、斬り取った魔力は剣に貯蔵できる。
ランクによってその貯蔵量や、一斬りで吸収できる魔力が変化するが……ランク五ともなれば、非常に戦闘で役立つレベル。
何故通常種のリザードマンが、こんな上等な剣を?
そんな疑問を持ったソウスケだが、直ぐにその疑問は解決。
(ダンジョンじゃないなら、吸収されないんだったな)
ダンジョン内で冒険者が死ねば、一定時間経つと、死体と共に武器などもダンジョンに吸収されてしまう。
しかし、三人が現在いる場所は古代遺跡。
例え冒険者が死んでも、死体や武器は残り続ける。
「別に貰っても良いよな」
「? 良いと思うが」
ランク五の武器を所有していたとなれば、それなりに高名な冒険者だったかもしれない。
ただ、落し物は基本的に自分の物にして構わない。
自己責任ゆえに、取り返そうとすれば……それなりの対価を支払わなければならない。
(というか……ちょっと待てよ)
ランク五の吸魔の剣が冒険者の所有物だったのか……それとも、遺跡内に残っていた品かは分からない。
しかし、仮に前者であれば、ランク五武器を所有するような強者を倒せるだけの実力を持つモンスターが、まだ遺跡内を徘徊している可能性がある。
「……ザハーク、もしかしたらヴァルガングみたいに、楽しめる相手がここら辺を徘徊してる可能性があるぞ」
「っ! それは……本当か」
「私も、その可能性はあると思いますよ」
リザードマンの死体を解体しているミレアナも、ソウスケと同じ回答に至った。
(ランク五の武器を持っていたとなれば……最低でもCランク。いや、Bランクの冒険者が妥当か)
遺跡にはダンジョンと同じく、三人から五人ほどで探索を行うのが一般的。
(複数のBランク冒険者を蹴散らした存在……って考えれば、相当強いよな)
その強敵はザハークに譲ろうと思いながらも、いったいどんなモンスターなのか、ワクワクが止まらず……数時間後、三人とっては運良く強敵に遭遇できてしまった。
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