転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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八百一話 気が抜けない時間が続く

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両国が戦力を事前に決めていた量よりも、補充することはない。

それは万が一が起こらない限り、あり得ない。
とはいえ、参加する光景人数は何千。

両国の戦力が一度に放出される訳ではないが、先日よりも森の中で活動する冒険者や騎士の数は、確実に増えていた。

そんな中、ソウスケ本体は今日も一生懸命、敵を殲滅していた。

普段はグラディウスと炎の魔剣の二刀流で戦い、偶に交易魔法もぶっ放す。
乱戦に余裕が生まれれば、同じ部隊メンバーのサポートに回り、誰一人メンバーが死なない様に気を配る。

人は死ぬ時が来れば死ぬ。
戦場では、いつその死が訪れてもおかしくない。

そんな事はソウスケ本体も重々承知している。
戦場、戦争なんて関係無しに血生臭い職業に就いてれば、それぐらいは戦争に参加する前から解っている。

だとしても……色んな意味で特別な自分であれば、その死を回避することが出来る。
その傲慢や自信過剰とも思えなくもない心が、ソウスケ本体を必死にさせる。

「っ! おらっ!!!!」

ただ、先日よりも戦場で動く数が増えたため、一回戦闘を終えて油断していると、観察していた敵部隊に殺られる、なんて事態が良く起こる。

気が抜けそうな瞬間に襲い掛かる奇襲を防ぐために、ソウスケはそちらの方面にも力を入れた。

そしてその対策の一つが……超が複数付く名槍、レヴァルグ。
轟炎を纏う炎槍は、奇襲を狙う輩に向かって一直線に飛んでいく。

この時、投擲のスキルも発動している為、一流のタンクでも受け止めるのは困難を極める。

「っ!? っぶねぇ~!!」

離れた場所の相手を一網打尽にする、レヴァルグによる投擲。
非常に強力な一撃ではあるが、そういった攻撃は時に諸刃の剣となる。

ソウスケたちに奇襲を仕掛けようとしたルクローラ王国側の部隊は、レベル七の使い捨てマジックアイテムの鏡を使用。

先日、偶々ソウスケ本体が投擲による攻撃で部隊を壊滅に追い込んでいたのを、ルクローラ王国側の者たちが確認していた。
恐ろしい情報を得たルクローラ王国側は、直ぐに潰す為の案を考えた。

そして一部の冒険者と交渉し、逆にソウスケ本体を潰してしまう一手を実行。

その手は最良に近い一手だと言えた。
非常に強力な使い捨て切り札を躊躇することなく使用し、今のソウスケであれば殺られていた可能性は十分にあった。

戦力が分散しているとはいえ、ぶっ飛んだ存在であるソウスケが死ぬ可能性があるほど、レヴァルグの投擲は超高火力。

しかし、ソウスケ本体がレヴァルグが敵に当たった瞬間、即座に帰還の能力を発動すると意識していたことが幸い。
跳ね返って一気に距離が縮まった瞬間、既にレヴァルグはソウスケの手元に帰ってきていた。

(ふ、ふざけるなよ!!!???)

使い捨ての高ランクのマジックアイテムを使用した男は、心の中でそう叫ばずにはいられなかった。

その男だけではなく、同じ部隊の冒険者、騎士も同意見。
鏡は、効果通り一度だけであれば、どんな攻撃……魔法であっても跳ね返す。

跳ね返す攻撃の威力を倍増することは不可能だが、どんな攻撃でも跳ね返すという効果を考えれば、十分過ぎる切り札。
上の連中から頼まれた時は、現在砕け散った鏡を使用するか、非常に悩んだ。

彼や、その仲間にとっていざという時の、真の切り札。

だが……ソウスケ本体が放つレヴァルグの投擲攻撃を見て、使って良かったと思えた。
思えたのだが……それはほんの一瞬だけだった。

跳ね返った炎槍がソウスケ本体に直撃する前に、帰還の効果が発動され、無駄に切り札を捨てる結果となった。

そして現在、既に二回目の投擲だけではなく、他の冒険者や騎士たちの遠距離攻撃も飛んできていた。

「弾け!!!!!」

部隊のリーダーは瞬時に決断を下し、メンバーに対応を指示した。
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