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八百八話 賢明な治癒があったからこそ
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「がっ!!!??? あ、あぁ……」
ソウスケ分身は今回の戦闘で、一人だけルクローラ王国側の戦闘者を生かしていた。
本人はフェイクがバレていないと思い、隙を見て逃げ出そうと考えていたが、蛇腹剣に腹を刺され……そこから生命力を吸われ、完全に息絶えた。
「どいてくれ、俺が治療する」
「し、しかし」
「あんたは魔力の使い過ぎだ。これで回復しろ」
まだ帰り道までに襲撃がある可能性を考え、先程まで治療に専念していた治癒師に魔力回復のポーションを渡し、二人の欠損部位がある患者の元の体に障る。
そして蛇腹剣で奪った戦闘者の生命力を使用。
「なっ……こんな、ことが」
欠損部位を纏っていた服や防具の復活は出来ないが、手と足が元通りに回復。
「あんたが、この二人は一定のラインまで回復させていたから、出来たことだ」
地面に横たわる二人に重傷度合い的に、魔力切れ寸前だった治癒師が回復に専念していなければ、時すでに遅しの状態になっていてもおかしくなかった。
「君は……」
「…………」
戦闘を終えたレガースは、まだ完全に正体が解らないソウスケ分身に声を掛けるが、声を掛けられた本人は顔を逸らしはないしないが、下手に会話を行わなかった。
(……おそらく、彼なのだろうな)
口には出さなかった。
しかし、レガースは仮面の男が身に付けている指輪に見覚えがあった。
(しかし、彼は彼で別の街からの出陣命で、招集されていた筈……何かしらのマジックアイテムを使っているのか?)
普通に考えれば、この場にいる筈がない。
そんな事は考えるまでもなく解りきっている事実。
しかし、身に覚えがある指輪……加えて、先程まで扱っていた木々どころから地面まで深く斬り裂く蒼剣。
レガースから注視されているソウスケ分身は、今になってやらかしに気付いた。
「うん、ひとまず感謝の言葉を述べるのが先だな。ありがとう、君のお陰で私たちは生き延びることが出来た」
部隊で一番の強者が謎の助っ人に感謝の言葉を述べ、握手を交わしたことで、残りのまだ気を失っていないメンバーたちも同じく感謝の言葉を伝え始めた。
「ありがとう」
感謝されれば、それらの言葉を受け取らない訳にはいかず、少々照れながらも受け取った。
「私たちは街に戻るが、一緒にどうだ?」
レガースの誘いに、同じ部隊の者たちは即賛同。
しかし、ソウスケ分身はその誘いを断った。
「嬉しい申し出だが、俺は今こちら側の者だと証明できる物を持っていない。だから、その言葉だけで十分だ」
その言葉に嘘偽りはなく、分身であるため、身分を証明できる物が何一つとしてない。
「しかし……では、どうやって生活しているんだ?」
レガースの疑問はもっともな内容。
今回の戦争に参加している者たちは、皆一番近い街に集まっている……もしくは、構えている場所がある。
基本的に、寝床がない者などいない。
「泊まる宿がなくとも、寝泊まりすることは出来る」
部隊に属する冒険者たちは、直ぐに「確かにそりゃそうだ」と納得した。
納得した彼らの中には、新米時代に護衛依頼の途中……あまりにも金がなく、地面に寝っ転がって睡眠を取ったことがあった。
ただ、だからといって現在の状況的に、それも致し方ないとは言えない。
「だが、あんたたちと共に、街に近くまでは行く。途中で死なれては目覚めが悪いからな」
「……かたじけない」
「気にするな」
最後の部隊を片付け、ポーションなどを使ってほぼ全回復はした。
だが、数名程まだ意識が戻らない者たちがいる。
背負って移動することは可能だが、道中でルクローラ王国側の部隊に襲撃されれば、今度こそ全滅するのは目に見えていた。
そしてソウスケ分身は宣言通りレガースたちと街の近くまで移動した後、別れて数日前から利用している森の開けた場所へ向かった。
ソウスケ分身は今回の戦闘で、一人だけルクローラ王国側の戦闘者を生かしていた。
本人はフェイクがバレていないと思い、隙を見て逃げ出そうと考えていたが、蛇腹剣に腹を刺され……そこから生命力を吸われ、完全に息絶えた。
「どいてくれ、俺が治療する」
「し、しかし」
「あんたは魔力の使い過ぎだ。これで回復しろ」
まだ帰り道までに襲撃がある可能性を考え、先程まで治療に専念していた治癒師に魔力回復のポーションを渡し、二人の欠損部位がある患者の元の体に障る。
そして蛇腹剣で奪った戦闘者の生命力を使用。
「なっ……こんな、ことが」
欠損部位を纏っていた服や防具の復活は出来ないが、手と足が元通りに回復。
「あんたが、この二人は一定のラインまで回復させていたから、出来たことだ」
地面に横たわる二人に重傷度合い的に、魔力切れ寸前だった治癒師が回復に専念していなければ、時すでに遅しの状態になっていてもおかしくなかった。
「君は……」
「…………」
戦闘を終えたレガースは、まだ完全に正体が解らないソウスケ分身に声を掛けるが、声を掛けられた本人は顔を逸らしはないしないが、下手に会話を行わなかった。
(……おそらく、彼なのだろうな)
口には出さなかった。
しかし、レガースは仮面の男が身に付けている指輪に見覚えがあった。
(しかし、彼は彼で別の街からの出陣命で、招集されていた筈……何かしらのマジックアイテムを使っているのか?)
普通に考えれば、この場にいる筈がない。
そんな事は考えるまでもなく解りきっている事実。
しかし、身に覚えがある指輪……加えて、先程まで扱っていた木々どころから地面まで深く斬り裂く蒼剣。
レガースから注視されているソウスケ分身は、今になってやらかしに気付いた。
「うん、ひとまず感謝の言葉を述べるのが先だな。ありがとう、君のお陰で私たちは生き延びることが出来た」
部隊で一番の強者が謎の助っ人に感謝の言葉を述べ、握手を交わしたことで、残りのまだ気を失っていないメンバーたちも同じく感謝の言葉を伝え始めた。
「ありがとう」
感謝されれば、それらの言葉を受け取らない訳にはいかず、少々照れながらも受け取った。
「私たちは街に戻るが、一緒にどうだ?」
レガースの誘いに、同じ部隊の者たちは即賛同。
しかし、ソウスケ分身はその誘いを断った。
「嬉しい申し出だが、俺は今こちら側の者だと証明できる物を持っていない。だから、その言葉だけで十分だ」
その言葉に嘘偽りはなく、分身であるため、身分を証明できる物が何一つとしてない。
「しかし……では、どうやって生活しているんだ?」
レガースの疑問はもっともな内容。
今回の戦争に参加している者たちは、皆一番近い街に集まっている……もしくは、構えている場所がある。
基本的に、寝床がない者などいない。
「泊まる宿がなくとも、寝泊まりすることは出来る」
部隊に属する冒険者たちは、直ぐに「確かにそりゃそうだ」と納得した。
納得した彼らの中には、新米時代に護衛依頼の途中……あまりにも金がなく、地面に寝っ転がって睡眠を取ったことがあった。
ただ、だからといって現在の状況的に、それも致し方ないとは言えない。
「だが、あんたたちと共に、街に近くまでは行く。途中で死なれては目覚めが悪いからな」
「……かたじけない」
「気にするな」
最後の部隊を片付け、ポーションなどを使ってほぼ全回復はした。
だが、数名程まだ意識が戻らない者たちがいる。
背負って移動することは可能だが、道中でルクローラ王国側の部隊に襲撃されれば、今度こそ全滅するのは目に見えていた。
そしてソウスケ分身は宣言通りレガースたちと街の近くまで移動した後、別れて数日前から利用している森の開けた場所へ向かった。
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