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八百九話 病気と言えなくもない
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SIDE ソウスケ本体
「はぁ~~、一日だけとはいえのんびり休憩できるのは有難いな」
「そうですね」
「…………」
後方から人員が送られ、多少余裕が生まれたソウスケたちは、三日目だけ丸一日の休息を得た。
そんな貴重な休息を味わう二人とは別に、ザハークは隣で静かに迷走していた。
「疲れるとは思ってたけど、戦争って予想以上に疲れるんだな」
「……それは、ソウスケさんの勇気ある決断があるからこその疲れ、だと思います」
「勇気あるって、そんな褒めたって何も出ないぞ」
ミレアナに褒められ、ほんの少し照れるソウスケ。
しかし、褒めた本人にお世辞の気持ちは全くなく、心の底からソウスケの勇気を賞賛していた。
(もう一人のソウスケさんは、あなたと同じく敵に立ち向かい続けている。しかも、分身の方はたった一人で……普通は出来ませんよ)
分身スキルの練度が低いソウスケが分身すれば、たとえもう一人だけ増やしたとしても、身体能力や魔力総量は通常時と比べてかなり下がる。
ダンジョン産のマジックアイテムで身体強化をしているとはいえ、自身の戦力をわざわざ分散させる……そのリスクが解らないソウスケではない。
だが、リスクを背負っている本人は本人で、本体の方は仲間であるミレアナとザハークの力を信用している。
戦争時に限って、仲間は二人だけではなく、同じ部隊に属する者たちも仲間であるが……ソウスケは部隊の中で、二人のことを一番信用している。
「それに、お前たちがいるから、俺の方は心配する必要はない。それに、向こうの俺も蛇腹剣という切り札があるんだ……他の参加者たちからすれば、俺も分身の俺もズルいって思うさ」
「どの力も、ソウスケさんが得た力ですよ」
謙遜するソウスケだが、ミレアナは相変わらず彼をよいしょするのが上手い。
そんな中、ザハークだけが変わらず朝から静かだった。
「ありがとな……ザハーク、もしかして体動かしたいか?」
「いや、今日ぐらいはゆっくり休んだ方が良いと思っている」
予想していた答えと違っていたため、思わず首を傾げてしまう。
「そ、そっか。でも、何か言いたげなことはあるんじゃないか」
「……明日から遭遇した超強敵は、俺が相手をしたい」
「…………ははっ! なんだ、そんな事か。別に構わないぞ」
ザハークの要求を、ソウスケはあっさりと受け入れた。
戦争に参加する最前線の者たちばかりとぶつかる中で、総合的に視て強者ではない者などいない。
しかし、その中でも稀に群を抜いた力を持つ強者がいる。
「そうか……交代しながら、ではないんだな」
「あぁ、そうだな。解ってるとは思うけど、今俺は自分の意志で行ったとはいえ、万全の状態ではないからな」
万全ではない状態で戦争に参加している。
それはザハークも重々承知はしているが、それでも戦場での主人の活躍ぶりを見れば、怯えはなく体の奥で熱い闘志が燃え上がっているのが解かる。
なので、その一件に関しては正確に聞いておきたかった。
(まったく、ザハークらしい質問ですね)
普通に……考えずとも、ザハークの質問は少々アホでバカと思われても仕方ない。
考えがあまりにも死にたがり。
彼を知らない者であれば、病気なのではと疑う者がいて当然。
寧ろ、戦闘狂という病気に掛かっていると言えなくもない。
だが……ソウスケだけではなく、ミレアナもその戦闘力の高さを十分に理解しているからこそ、アホ過ぎる要望を止めようとはしない。
「今回は基本的にサポートに回るつもりだ。Cランク上位からBランク上位ぐらいまでなら、一人でも十分殺れると思うけど、Aランククラスと対峙するってなると、本気で周りを気にする余裕がなくなるからな」
戦争という乱戦中であれば、非常に危険な状態。
人によっては一対一という形に拘る者もいるが、そんな個人の意思や綺麗事が押し切れないのが戦争。
そしてこの日の夜、ソウスケたちは少々テンションが下がる一報を耳にした。
「はぁ~~、一日だけとはいえのんびり休憩できるのは有難いな」
「そうですね」
「…………」
後方から人員が送られ、多少余裕が生まれたソウスケたちは、三日目だけ丸一日の休息を得た。
そんな貴重な休息を味わう二人とは別に、ザハークは隣で静かに迷走していた。
「疲れるとは思ってたけど、戦争って予想以上に疲れるんだな」
「……それは、ソウスケさんの勇気ある決断があるからこその疲れ、だと思います」
「勇気あるって、そんな褒めたって何も出ないぞ」
ミレアナに褒められ、ほんの少し照れるソウスケ。
しかし、褒めた本人にお世辞の気持ちは全くなく、心の底からソウスケの勇気を賞賛していた。
(もう一人のソウスケさんは、あなたと同じく敵に立ち向かい続けている。しかも、分身の方はたった一人で……普通は出来ませんよ)
分身スキルの練度が低いソウスケが分身すれば、たとえもう一人だけ増やしたとしても、身体能力や魔力総量は通常時と比べてかなり下がる。
ダンジョン産のマジックアイテムで身体強化をしているとはいえ、自身の戦力をわざわざ分散させる……そのリスクが解らないソウスケではない。
だが、リスクを背負っている本人は本人で、本体の方は仲間であるミレアナとザハークの力を信用している。
戦争時に限って、仲間は二人だけではなく、同じ部隊に属する者たちも仲間であるが……ソウスケは部隊の中で、二人のことを一番信用している。
「それに、お前たちがいるから、俺の方は心配する必要はない。それに、向こうの俺も蛇腹剣という切り札があるんだ……他の参加者たちからすれば、俺も分身の俺もズルいって思うさ」
「どの力も、ソウスケさんが得た力ですよ」
謙遜するソウスケだが、ミレアナは相変わらず彼をよいしょするのが上手い。
そんな中、ザハークだけが変わらず朝から静かだった。
「ありがとな……ザハーク、もしかして体動かしたいか?」
「いや、今日ぐらいはゆっくり休んだ方が良いと思っている」
予想していた答えと違っていたため、思わず首を傾げてしまう。
「そ、そっか。でも、何か言いたげなことはあるんじゃないか」
「……明日から遭遇した超強敵は、俺が相手をしたい」
「…………ははっ! なんだ、そんな事か。別に構わないぞ」
ザハークの要求を、ソウスケはあっさりと受け入れた。
戦争に参加する最前線の者たちばかりとぶつかる中で、総合的に視て強者ではない者などいない。
しかし、その中でも稀に群を抜いた力を持つ強者がいる。
「そうか……交代しながら、ではないんだな」
「あぁ、そうだな。解ってるとは思うけど、今俺は自分の意志で行ったとはいえ、万全の状態ではないからな」
万全ではない状態で戦争に参加している。
それはザハークも重々承知はしているが、それでも戦場での主人の活躍ぶりを見れば、怯えはなく体の奥で熱い闘志が燃え上がっているのが解かる。
なので、その一件に関しては正確に聞いておきたかった。
(まったく、ザハークらしい質問ですね)
普通に……考えずとも、ザハークの質問は少々アホでバカと思われても仕方ない。
考えがあまりにも死にたがり。
彼を知らない者であれば、病気なのではと疑う者がいて当然。
寧ろ、戦闘狂という病気に掛かっていると言えなくもない。
だが……ソウスケだけではなく、ミレアナもその戦闘力の高さを十分に理解しているからこそ、アホ過ぎる要望を止めようとはしない。
「今回は基本的にサポートに回るつもりだ。Cランク上位からBランク上位ぐらいまでなら、一人でも十分殺れると思うけど、Aランククラスと対峙するってなると、本気で周りを気にする余裕がなくなるからな」
戦争という乱戦中であれば、非常に危険な状態。
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そしてこの日の夜、ソウスケたちは少々テンションが下がる一報を耳にした。
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