865 / 1,259
八百三十五話 注意されない程度に
しおりを挟む
「お前ら、騎士たちに注意されない程度に吞んで食って騒ぐぞ!!!!」
「「「「「「「「「うぉおおおおおおお!!!」」」」」」」」」」
一人の高ランク冒険者が音頭を取り、全員がカップに入っているエールを一気に煽る。
当然、その中にはソウスケやミレアナ、ザハークたちもいる。
とある酒場の店主が貸し切りにし、戦争の最前線で活躍した冒険者たちに料理や酒を提供しようと決めた。
当たり前だが、参加している冒険者たちは店主にそれ相応の金を払っている。
「なぁ~、ソウスケ~~~」
「なんですか? てか、もう顔が赤くなってません?」
「安心しろ、まだ酔ってねぇから」
男としては、今日一日を通して騎士たちに注意されない程度に騒ぎ続け、酔い潰れる予定。
「なぁ~~~、俺たちのクランに来ねぇか~~~」
勧誘。
間違いなくそうだと理解した同じ他のクランに所属する冒険者たちは、自分たちもと二人の間に割って入る。
「おいおい、抜け駆けはズルいぜ」
「何言ってんだ。もう戦争は終って、王都に戻ってきたんだ。それなら、うちに来てくれって口説いても問題ねぇだろ」
確かに問題は一つもないのだが、ソウスケとしてはどんな条件を出されたとしても、それらの勧誘を受けてどこかのクランに加入するつもりはない。
「何度もそういう話を持ち掛けてくれるのは嬉しいですけど、俺はどこかのクランに所属するつもりはありませんよ」
肉料理を堪能しながら、普段と変わらない様子で同業者たちの誘いに対して、キッパリとした答えを伝える。
「ソウスケ~、どうせ上に行くならどっかのクランには所属しといた方が良いぜ~」
「できれば自分のクランにという思いはあるけど、全面的にこいつの意見には賛成だね。僕らはそんなつもりなんて一欠片もないけど、バカな奴はバカな行動に出る」
今酒場で吞んで食って騒いでいる者たちは、あのラストバトルで激闘を制したソウスケの強さをしっかり目に焼き付けていた。
レヴァルグという超が三つ……それ以上の名槍を持っていたからこそ勝てた、という論外な考えを浮かべる者はいない。
そもそも高ランクの冒険者、経験を積んでいる将来有望な騎士であれば、名槍や名剣の一つや二つ装備してない方がおかしい。
今回の戦いでは、決闘相手であるヤンキー騎士である男も中々の名槍を装備していたため、冷静に考えてソウスケがレヴァルグという激ヤバな武器を装備していたから勝てたと答える様な者は……もはやただの馬鹿である。
「あぁ~~、全然ありえそうだな」
「全部のクランから、幹部クラスの連中が参加したわけじゃないものね~」
「……クランに加入しなかったら、夜道や森の中で襲い掛かってくるってことですか」
「簡単に言えば、そういうことになるかもな」
先輩冒険者たちが話す内容は、決して誇張ではない。
過去にその様な事件が起こり、将来有望な冒険者が闇の中に消えた例はそれなりにある。
「良かったな、ザハーク。今回みたいに実力がそれなりにある連中、命懸けの戦いが出来るかもしれないぞ」
「ふむ。実にそうなる可能性が高そうだな……ソウスケさん、そいつらは全員殺しても良いのか?」
「夜道や森の中で奇襲を仕掛けてくる連中に、正当な言い分なんてある訳がないだろ。こっちが逆にそいつらを闇に葬っても問題無い」
「はっはっは!! それもそうだな。奇襲に特化した者であっても、それなりに楽しめはするだろう」
もしかしたら実力者から襲われるかもしれないというのに、全く怯えた様子はない。
「ザハークは一人で赤毛のアシュラコングやクリムゾンリビングナイトを倒してるんで、大抵の相手なら問題無く倒せますよ。あっ、最初の挑戦の時はジェネラルに進化したんだったっけ?」
「そうっだったな。あれは本当に良い体験を出来た」
二人の会話に、周囲の冒険者たちはやや引いていた。
しかし……本当に頭が少しおかしい連中がソウスケたちを闇に葬るのであれば、ルティナ・ヴィリストやレジル・アルバティア、ジェリファー・アディスタクラスの圧倒的な猛者が最低でも三人は必要。
なので、物理的に三人を闇に葬るなど、基本的に不可能な話だった。
「「「「「「「「「うぉおおおおおおお!!!」」」」」」」」」」
一人の高ランク冒険者が音頭を取り、全員がカップに入っているエールを一気に煽る。
当然、その中にはソウスケやミレアナ、ザハークたちもいる。
とある酒場の店主が貸し切りにし、戦争の最前線で活躍した冒険者たちに料理や酒を提供しようと決めた。
当たり前だが、参加している冒険者たちは店主にそれ相応の金を払っている。
「なぁ~、ソウスケ~~~」
「なんですか? てか、もう顔が赤くなってません?」
「安心しろ、まだ酔ってねぇから」
男としては、今日一日を通して騎士たちに注意されない程度に騒ぎ続け、酔い潰れる予定。
「なぁ~~~、俺たちのクランに来ねぇか~~~」
勧誘。
間違いなくそうだと理解した同じ他のクランに所属する冒険者たちは、自分たちもと二人の間に割って入る。
「おいおい、抜け駆けはズルいぜ」
「何言ってんだ。もう戦争は終って、王都に戻ってきたんだ。それなら、うちに来てくれって口説いても問題ねぇだろ」
確かに問題は一つもないのだが、ソウスケとしてはどんな条件を出されたとしても、それらの勧誘を受けてどこかのクランに加入するつもりはない。
「何度もそういう話を持ち掛けてくれるのは嬉しいですけど、俺はどこかのクランに所属するつもりはありませんよ」
肉料理を堪能しながら、普段と変わらない様子で同業者たちの誘いに対して、キッパリとした答えを伝える。
「ソウスケ~、どうせ上に行くならどっかのクランには所属しといた方が良いぜ~」
「できれば自分のクランにという思いはあるけど、全面的にこいつの意見には賛成だね。僕らはそんなつもりなんて一欠片もないけど、バカな奴はバカな行動に出る」
今酒場で吞んで食って騒いでいる者たちは、あのラストバトルで激闘を制したソウスケの強さをしっかり目に焼き付けていた。
レヴァルグという超が三つ……それ以上の名槍を持っていたからこそ勝てた、という論外な考えを浮かべる者はいない。
そもそも高ランクの冒険者、経験を積んでいる将来有望な騎士であれば、名槍や名剣の一つや二つ装備してない方がおかしい。
今回の戦いでは、決闘相手であるヤンキー騎士である男も中々の名槍を装備していたため、冷静に考えてソウスケがレヴァルグという激ヤバな武器を装備していたから勝てたと答える様な者は……もはやただの馬鹿である。
「あぁ~~、全然ありえそうだな」
「全部のクランから、幹部クラスの連中が参加したわけじゃないものね~」
「……クランに加入しなかったら、夜道や森の中で襲い掛かってくるってことですか」
「簡単に言えば、そういうことになるかもな」
先輩冒険者たちが話す内容は、決して誇張ではない。
過去にその様な事件が起こり、将来有望な冒険者が闇の中に消えた例はそれなりにある。
「良かったな、ザハーク。今回みたいに実力がそれなりにある連中、命懸けの戦いが出来るかもしれないぞ」
「ふむ。実にそうなる可能性が高そうだな……ソウスケさん、そいつらは全員殺しても良いのか?」
「夜道や森の中で奇襲を仕掛けてくる連中に、正当な言い分なんてある訳がないだろ。こっちが逆にそいつらを闇に葬っても問題無い」
「はっはっは!! それもそうだな。奇襲に特化した者であっても、それなりに楽しめはするだろう」
もしかしたら実力者から襲われるかもしれないというのに、全く怯えた様子はない。
「ザハークは一人で赤毛のアシュラコングやクリムゾンリビングナイトを倒してるんで、大抵の相手なら問題無く倒せますよ。あっ、最初の挑戦の時はジェネラルに進化したんだったっけ?」
「そうっだったな。あれは本当に良い体験を出来た」
二人の会話に、周囲の冒険者たちはやや引いていた。
しかし……本当に頭が少しおかしい連中がソウスケたちを闇に葬るのであれば、ルティナ・ヴィリストやレジル・アルバティア、ジェリファー・アディスタクラスの圧倒的な猛者が最低でも三人は必要。
なので、物理的に三人を闇に葬るなど、基本的に不可能な話だった。
143
あなたにおすすめの小説
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」
勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、
ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。
追放すらできない規約のせいで、
“事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。
だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。
《超記録》――
敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。
生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。
努力で《成長》スキルを獲得し、
記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。
やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。
対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、
記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。
一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。
さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。
街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。
優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。
捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。
爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる