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八百五十話 結果、割れなかった
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「一先ず、こんなところでよろしいでしょうか?」
ソウスケが依頼主たちに確認すると、令嬢たちは何度も何度も頷いた。
(良かった。何回か令嬢たちの近くで良い感じに止まったから、ご令嬢たちもそれなりに満足してくれたみたいだな)
対戦相手がソウスケということもあり、ザハークは縛りありという内容であっても、自然と笑みが零れていた。
「それでは……少し時間を置いてから、今度はザハークとミレアナとの模擬戦を行います」
「「「「ッ!!!???」」」」
令嬢たちにとっては非常に嬉しい言葉であり、結界を張っていた魔法使いたちにとっては、無慈悲な言葉だった。
結果としてソウスケとザハークの演舞で結界が壊れることはなかった。
しかし、二人の拳や脚がぶつかり合う度に起こる衝撃音に、魔法使いたちは何度も肝を冷やしていた。
正直なところ……もう模擬戦は止めてほしい。
とはいえ、眼をキラキラと輝かせてソウスケからの提案に感激している令嬢たちを見て、結界を張ってお嬢様たちを守り切れる自信がありません、とは言えなかった。
そして約十分後、今度はミレアナとザハークの演舞が行われた。
ミレアナはソウスケ程のパワーがないため、戦闘スタイルはヒットアンドアウェイと受け流しを組み合わせ、ザハークと舞い続ける。
「「「「「ッ!?」」」」
ザハークが攻撃を繰り出したのに、その大きな体が宙を舞う光景は令嬢たちにとって、非常に衝撃が強かった。
しかし、ミレアナの呼吸が解ってくれば、ザハークも攻撃を受け流されて体勢が崩れても、変則的な打撃を繰り出して攻撃を続行。
(やはり、ミレアナとのこういう戦いも、良いなっ!!!)
(ザハーク……解っていますよね? 私はソウスケさんほどの防御力はないのですよ。だから、あまりその笑みを……いえ、ご令嬢たちの依頼内容を考えると、これは受け入れなければ、ならないのでしょうね、ねっ!!!)
もうそれなりの期間一緒に冒険してきたからこそ解る。
その笑みは……心の底から、無意識に浮かべる笑みだと。
そして予定通り、二人は五分ほど演舞を続け、終了。
今回も肝が冷える場面が何度もあったが、それでも結果……一応ひび割れることはなかった。
「はぁ~~~~、本当に最高ですわ」
ザハークの雄味が強い顔を見れ、令嬢たちはご満悦な様子。
「あの、もっと本気で戦えばどうなるのですか?」
一人の令嬢がザハークの主人であるザハークに対してそのような質問をした。
「……おそらくですが、結界が壊れてしまうかと」
ソウスケの言葉に肩がブルっと震える魔法使いたち。
令嬢たちにとっては十分過ぎるほど迫力がある演舞だったが、三人は半分も実力を出していない。
「加えて、これ以上速く動いてしまうと、ザハークの動きや表情を確認出来なるかと」
「そ、そうかもしれませんね……その、それならどうすれば見えるようになるのでしょうか」
令嬢の質問に答えても良いのかと、彼女たちの従者たちに視線を送る。
ソウスケの考えを把握した従者たちは、渋い顔をしながらこくりと頷いた。
「……接近戦の訓練を行い、モンスターを倒してレベルを上げる。そうすれば自然と素早い動きが正確に追えるようになります」
手っ取り早い方法がある。
そんな方法を思い付いてしまったソウスケだが、少々非人道的であるため、この場で口にすることはなかった。
「モンスターとの実戦、ですか……」
当然ながら、令嬢たちは普段から守られてばかりの立場であり、自身がモンスターと戦う姿など全く想像出来ない。
「…………僭越ながら、お嬢様方は全員魔法の才はあるように思えます。モンスターとの戦いに関しては、魔力……魔法の扱いが重要となります。武器も一朝一夕で十全に扱えるような代物ではありませんが、決して出来ないことではありません」
ソウスケの言葉に何人かの令嬢が深く考え込む。
それらしいアドバイスを伝えはしたが、令嬢が乗り越えなければならない壁は決して少なくなく、出来なくはないが容易でもない。
ソウスケが依頼主たちに確認すると、令嬢たちは何度も何度も頷いた。
(良かった。何回か令嬢たちの近くで良い感じに止まったから、ご令嬢たちもそれなりに満足してくれたみたいだな)
対戦相手がソウスケということもあり、ザハークは縛りありという内容であっても、自然と笑みが零れていた。
「それでは……少し時間を置いてから、今度はザハークとミレアナとの模擬戦を行います」
「「「「ッ!!!???」」」」
令嬢たちにとっては非常に嬉しい言葉であり、結界を張っていた魔法使いたちにとっては、無慈悲な言葉だった。
結果としてソウスケとザハークの演舞で結界が壊れることはなかった。
しかし、二人の拳や脚がぶつかり合う度に起こる衝撃音に、魔法使いたちは何度も肝を冷やしていた。
正直なところ……もう模擬戦は止めてほしい。
とはいえ、眼をキラキラと輝かせてソウスケからの提案に感激している令嬢たちを見て、結界を張ってお嬢様たちを守り切れる自信がありません、とは言えなかった。
そして約十分後、今度はミレアナとザハークの演舞が行われた。
ミレアナはソウスケ程のパワーがないため、戦闘スタイルはヒットアンドアウェイと受け流しを組み合わせ、ザハークと舞い続ける。
「「「「「ッ!?」」」」
ザハークが攻撃を繰り出したのに、その大きな体が宙を舞う光景は令嬢たちにとって、非常に衝撃が強かった。
しかし、ミレアナの呼吸が解ってくれば、ザハークも攻撃を受け流されて体勢が崩れても、変則的な打撃を繰り出して攻撃を続行。
(やはり、ミレアナとのこういう戦いも、良いなっ!!!)
(ザハーク……解っていますよね? 私はソウスケさんほどの防御力はないのですよ。だから、あまりその笑みを……いえ、ご令嬢たちの依頼内容を考えると、これは受け入れなければ、ならないのでしょうね、ねっ!!!)
もうそれなりの期間一緒に冒険してきたからこそ解る。
その笑みは……心の底から、無意識に浮かべる笑みだと。
そして予定通り、二人は五分ほど演舞を続け、終了。
今回も肝が冷える場面が何度もあったが、それでも結果……一応ひび割れることはなかった。
「はぁ~~~~、本当に最高ですわ」
ザハークの雄味が強い顔を見れ、令嬢たちはご満悦な様子。
「あの、もっと本気で戦えばどうなるのですか?」
一人の令嬢がザハークの主人であるザハークに対してそのような質問をした。
「……おそらくですが、結界が壊れてしまうかと」
ソウスケの言葉に肩がブルっと震える魔法使いたち。
令嬢たちにとっては十分過ぎるほど迫力がある演舞だったが、三人は半分も実力を出していない。
「加えて、これ以上速く動いてしまうと、ザハークの動きや表情を確認出来なるかと」
「そ、そうかもしれませんね……その、それならどうすれば見えるようになるのでしょうか」
令嬢の質問に答えても良いのかと、彼女たちの従者たちに視線を送る。
ソウスケの考えを把握した従者たちは、渋い顔をしながらこくりと頷いた。
「……接近戦の訓練を行い、モンスターを倒してレベルを上げる。そうすれば自然と素早い動きが正確に追えるようになります」
手っ取り早い方法がある。
そんな方法を思い付いてしまったソウスケだが、少々非人道的であるため、この場で口にすることはなかった。
「モンスターとの実戦、ですか……」
当然ながら、令嬢たちは普段から守られてばかりの立場であり、自身がモンスターと戦う姿など全く想像出来ない。
「…………僭越ながら、お嬢様方は全員魔法の才はあるように思えます。モンスターとの戦いに関しては、魔力……魔法の扱いが重要となります。武器も一朝一夕で十全に扱えるような代物ではありませんが、決して出来ないことではありません」
ソウスケの言葉に何人かの令嬢が深く考え込む。
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