転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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八百九十九話 文句など無い

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(傷など、後で治せば良い!!!!!)

アドレナリンがドバドバの状態とはいえ、それなりに熱さと痛みは感じている。
正直、予想外な攻撃ではあったが、それでも拳は……脚は動く。

ザハークはその体を止めることなく最後のラッシュに入る。

スラウザーマンモスも自身の体が限界に近い事を感じ取っていた。
今はまだ全身を動かすことが可能だが、それでも…………体のどこであっても、もう一度鋭い打撃を食らえば、中が砕けてしまう。

「バォォオオオオオオオッ!!!!!!!!」

最後の足掻き……と呼ぶには余りにも激し過ぎる攻撃。
そこにザハークの本気のラッシュも加われば、ソウスケやミレアナであろうとも容易に近づけない……二体だけの空間。

「ぬぅううううああああああア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!」

「ッ!!!!???? バ、ァ……」

高速のフェイントと渾身の力をジャンプでスラウザーマンモスが絶対に取られたくない頭上に跳び……両手を組んで振り下ろす、そこら辺のハンマーよりよっぽど強力な一撃が叩きこまれた。

頭こそ最初から最後まで一度も攻撃を食らっていないが、終盤ということもあって魔力を大きく消費し、防御が手薄となっていた。

結果、最後の一撃で頭蓋骨を叩き割り、割れた頭蓋骨が脳へと刺さった。

「…………死してなお、倒れようとしないか。流石だ」

残りの体力と魔力、最後の最後に受けた渾身の一撃の威力を考えれば、そのまま地面に倒れ伏してもおかしくない。

しかし……最後までAランクモンスターらしい風格を崩すことなく、立ったまま息絶えた。

「お疲れ様、ザハーク」

「あぁ……やはり、強者との戦闘は生きていると実感させられる」

「そっか。それは良かったよ。ところでザハーク、直ぐにこれを飲んでくれ。ちょっと絵面がグロいことになってる」

観戦していた場所からはそれなりに離れているものの、目を凝らせば焼けて丸出しの筋肉が見えてしまう。

「むっ、そうだな。すっかり忘れていた」

「おいおい、しっかりしてくれよ。怪我を無視しても勝利を取りに行く気持ちは解るが、自分の状態ぐらいはちゃんと把握しててくれよ」

「すまんすまん、途中まではそれなりにダメージを負ったことを覚えていたんだが、勝利の余韻で忘れてしまっていた」

「……まぁ、あれだけ熱い戦いを制したんだ。そうなるのも仕方ないか」

一先ずその場で解体はせず、スラウザーマンモスの死体は回収。

ミレアナたちと合流し、再び下の階層へ向かおうとすると……先程までザハークとスラウザーマンモスの戦いに割って入れなかったモンスターたちが、唸り声を上げながら一斉に襲い掛かって来た。

「ザハーク、激闘終わりで悪いが、アネット様の護衛を頼んでも良いか?」

「お安い御用だ。任せてくれ」

幸いにも漁夫の利を狙おうとしているモンスターの中に、Aランクモンスターはいなかった。

レベルが高いCランクからBランクのモンスターだけであったため、ソウスケとミレアナ……アマンダたちだけでそこまで時間を掛けずに討伐することに成功。

「こりゃまた夜が忙しくなるな」

全死体を回収し、進める範囲まで進んだ後……急いでスラウザーマンモスの解体を行う。

「……すまん、ソウスケ。思った以上に骨がバキバキだ」

「何言ってんだ。別に俺は素材を気にして戦ってくれとは言ってないだろ。できれば十分以内に倒して欲しいって頼んだだけだ。んで、お前はしっかり十分以内にこのバカデカい象……いや、マンモスか。とにかくこのデカブツを倒してくれたんだ。文句なんてある訳ないだろ」

そもそも骨がザハークの鋭く重い打撃で砕けていようとも、そこら辺のモンスターとは比にならない程大きな体を持つスラウザーマンモスの骨なので、武器や防具の素材にするには特に問題無かった。
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