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九百八十話 自信に変えれば良い
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「ん~~~~…………流石、としか言いようがありませんね」
ソウスケたちの前で行われていた美しい剣戟戦はアマンダがクリムゾンリビングナイトのロングソードごと鎧を斬り、決着。
最後の美しくも力強い斬撃に、それまでの試合運びに……ソウスケは前回と同じく拍手を送った。
それに釣られ、女性騎士たちも盛大な拍手を送る。
「あまり褒めないでください。慢心してしまいます」
「慢心は良くないでしょうが、今回の戦績は……己の自信に変えても良いかと」
「……ふふ。では、そうさせていただきます」
紅蓮亡霊騎士の残骸と報酬の宝箱を回収し、ソウスケたちは地上へと帰還。
SIDE ザハーク
「ウォーターランス!!!!!」
二十一階層に転移したアネットは……訓練初日からバチバチに出現するモンスターたちと戦っていた。
(……暇だな)
主人に「任せてくれ!!!」とカッコつけたは良かったが、護衛が始まって数十分程度で退屈感が溢れてきた。
「ザハーク、ちゃんと起きていますか?」
「あぁ、心配するな。しっかりと周囲の警戒は継続している」
「それなら良いのですが……急に体を動かしたくなったからといって、いきなりモンスターの群れに突っ込んだりしないでくださいね」
「分かっている」
成人であれば、子供ではないぞと反論したくなる言葉だが……そもそもザハークは人間ではない。
加えて、自分の性格を理解している為、ミレアナからそういった小言を言われるのは仕方ないと受け入れている。
「はぁ、はぁ…………ミレアナさん、ザハークさん。私の戦いぶりは、どうだったでしょうか」
「とても後衛らしく、適切な距離からの正確な攻撃魔法でした……………………ザハーク、あなたからも何か言いなさい」
「? ミレアナが全て言ってくれただろう」
「であれば、アドバイスでも構いません」
従魔が王族にアドバイスをする、それは見た目的に大丈夫なのか? という疑問が一瞬だけ浮かんだが、ザハークはミレアナが言えと言ったのだからと、責任を放棄して口を開く。
「仕留めることだけに、攻撃を使う必要はない。動きを妨害し、最小限の威力で仕留める……それが出来れば、今の戦いよりも少ない魔力量で勝つことが出来るだろう」
とりあえず求められたので、それなりのアドバイスを伝えた。
(……表情を見る限り、間違ってはいないのだろうな。ただ……王女に必要かどうかは、疑問に思うところだな)
王女とは基本的に……守られる存在。
奇襲を受けた際、さらなる襲撃が襲い来るとは限らないが……己の身を、守ってくれる騎士と共に撃退するのであれば、何かを余す必要はない。
「……ミレアナ、こんなアドバイスで良かったのか?」
「えぇ、構いません。狙いを定め、相手の動きを妨害する……どこを狙えば妨害できると分かれば、奇襲を受けた際にも実際に使えるでしょう」
「あぁ、なるほど……まぁ、為になっているのであれば、構わないか」
主人に「任せてくれ」とは言ったが、やはり興味は持てない。
(王族らしい素質、才はある…………しかし、磨くのは今回の様な機会だけであろう…………勿体ないな)
王女には王女の立場がある。
モンスター故に完全には理解出来ないが、仕方ない何かがあることはなんとなく解る。
(…………俺たちは依頼を受けた立場。変なことを考える必要はないだろう)
熱き戦いを求めるザハークとしては……原石が、完成された宝石へと成長したタイミングで戦ってみたい。
同じタイプの戦闘スタイルではないことは解っている。
だが、短い付き合いの中でも、磨けば大きく光り輝くことだけは解る。
「……ミレアナ、姫騎士というのは世間体が悪いのか?」
「お転婆が過ぎる、と国王陛下よ王妃たちが心配するでしょう……ザハーク、変な事を考えていないでしょうね?」
「正直に言おう。少し変な事を考えた」
「…………素直に答えたことに免じて、小言は言わないでおきましょう」
とはいえ、何を考えたのかある程度理解できてしまい、心の中で大きなため息を吐いた。
ソウスケたちの前で行われていた美しい剣戟戦はアマンダがクリムゾンリビングナイトのロングソードごと鎧を斬り、決着。
最後の美しくも力強い斬撃に、それまでの試合運びに……ソウスケは前回と同じく拍手を送った。
それに釣られ、女性騎士たちも盛大な拍手を送る。
「あまり褒めないでください。慢心してしまいます」
「慢心は良くないでしょうが、今回の戦績は……己の自信に変えても良いかと」
「……ふふ。では、そうさせていただきます」
紅蓮亡霊騎士の残骸と報酬の宝箱を回収し、ソウスケたちは地上へと帰還。
SIDE ザハーク
「ウォーターランス!!!!!」
二十一階層に転移したアネットは……訓練初日からバチバチに出現するモンスターたちと戦っていた。
(……暇だな)
主人に「任せてくれ!!!」とカッコつけたは良かったが、護衛が始まって数十分程度で退屈感が溢れてきた。
「ザハーク、ちゃんと起きていますか?」
「あぁ、心配するな。しっかりと周囲の警戒は継続している」
「それなら良いのですが……急に体を動かしたくなったからといって、いきなりモンスターの群れに突っ込んだりしないでくださいね」
「分かっている」
成人であれば、子供ではないぞと反論したくなる言葉だが……そもそもザハークは人間ではない。
加えて、自分の性格を理解している為、ミレアナからそういった小言を言われるのは仕方ないと受け入れている。
「はぁ、はぁ…………ミレアナさん、ザハークさん。私の戦いぶりは、どうだったでしょうか」
「とても後衛らしく、適切な距離からの正確な攻撃魔法でした……………………ザハーク、あなたからも何か言いなさい」
「? ミレアナが全て言ってくれただろう」
「であれば、アドバイスでも構いません」
従魔が王族にアドバイスをする、それは見た目的に大丈夫なのか? という疑問が一瞬だけ浮かんだが、ザハークはミレアナが言えと言ったのだからと、責任を放棄して口を開く。
「仕留めることだけに、攻撃を使う必要はない。動きを妨害し、最小限の威力で仕留める……それが出来れば、今の戦いよりも少ない魔力量で勝つことが出来るだろう」
とりあえず求められたので、それなりのアドバイスを伝えた。
(……表情を見る限り、間違ってはいないのだろうな。ただ……王女に必要かどうかは、疑問に思うところだな)
王女とは基本的に……守られる存在。
奇襲を受けた際、さらなる襲撃が襲い来るとは限らないが……己の身を、守ってくれる騎士と共に撃退するのであれば、何かを余す必要はない。
「……ミレアナ、こんなアドバイスで良かったのか?」
「えぇ、構いません。狙いを定め、相手の動きを妨害する……どこを狙えば妨害できると分かれば、奇襲を受けた際にも実際に使えるでしょう」
「あぁ、なるほど……まぁ、為になっているのであれば、構わないか」
主人に「任せてくれ」とは言ったが、やはり興味は持てない。
(王族らしい素質、才はある…………しかし、磨くのは今回の様な機会だけであろう…………勿体ないな)
王女には王女の立場がある。
モンスター故に完全には理解出来ないが、仕方ない何かがあることはなんとなく解る。
(…………俺たちは依頼を受けた立場。変なことを考える必要はないだろう)
熱き戦いを求めるザハークとしては……原石が、完成された宝石へと成長したタイミングで戦ってみたい。
同じタイプの戦闘スタイルではないことは解っている。
だが、短い付き合いの中でも、磨けば大きく光り輝くことだけは解る。
「……ミレアナ、姫騎士というのは世間体が悪いのか?」
「お転婆が過ぎる、と国王陛下よ王妃たちが心配するでしょう……ザハーク、変な事を考えていないでしょうね?」
「正直に言おう。少し変な事を考えた」
「…………素直に答えたことに免じて、小言は言わないでおきましょう」
とはいえ、何を考えたのかある程度理解できてしまい、心の中で大きなため息を吐いた。
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